優妃 讃良の着物についておもうこと
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2004/04/16(金) ご贔屓(ひいき)
着物を買うということに凝ってくると、コンビニで買い物をするのとは異なる買い物の仕方という楽しみが出てくる。

店にとって品物を買う人は全て「お客様」である。しかし、どんなに大量に、多額に買おうとも、それだけでは「ご贔屓のお客様」とは呼ばない。客と店が相互に相手を知った上で商売をしている間柄を「贔屓筋」と呼ぶのではないかと思う。
お客の側からすると、店の主人の人柄やものを選ぶセンスを好み、自分の好むものを選んでくれると信頼できる店、また店からすると、客が何を要求しているのかがわかるような相手。

先日は「おまかせ」というのをやった。
気に入った江戸小紋をの反物を選んだのだが、八掛の色が見本の中から気に入ったものがない。一つ紋を刺繍でと決めたが、さて糸の色は。これを「お任せいただけますか?」と主人から言われた。「おまかせします」といえるのは、こちらの好みに仕上げてくれると信用できる相手ならではであろう。
出来てきた着物の八掛は小紋の地色と同じ色に裾ぼかしに染めたもの。一つ紋の糸は若干藍に寄った色で糸線縫い。いい仕上がりである。実は、この店で仕立てるのはこれが初めて。
でも、反物を選ぶときに一緒に選んだ帯の色、帯に合わせた帯締めと羽織帯の色合わせの良さ、反物を選ぶ上での会話の中から、これは私の望むものを、「コレ」と確かめなくても大丈夫な相手だと感じた。そして信じた。

もっとスゴイ「お誂え」もの。これは何回か付き合いのある店。展示会にしかあわないのだが、ある展示会で半幅帯を所望した。「では次までに研究してみます」と。それから次の展示会まで半年か4ヶ月程だったろうか。着物用の反物を惜しげもなく切って仕立てたという帯は二種類。「海外旅行でパーティにも使える」という金糸を織り込んだものと、逆に古風な色合いの亀甲柄と。
亀甲柄の方が好みだったが、地色は今ひとつ気に入らなかった。でも、せっかく作ってくれたのでより気に入った亀甲柄を選ぶ。しかし、使ってみると、この帯は普段にもちょっとしたオシャレ着向きにも会い、またどんな色の着物にも合う。気になった地色の柿色が実は要に映える。さすがである。私の手持ちの着物を知りきったような色だ(全てを知っている筈はないが、幾つか見ていれば傾向が見えるのかもしれない)。

もちろん「頼んだのだから」と何でも受け入れる必要はない。考えたものと違えば「違う」といえばよい。そうすれば、店の方では「私」というものに対する情報はどんどん蓄積され、不要なものが修正されて、より広範囲に「おまかせ」が可能になる。

もっと前には先織の反物でもあった。「黄色の染めのを」と言ったところ、余りにも期待通りのものが出てきたので「なぜ?」と思ったところ、「前にこういう色が欲しいって言っていたでしょ」と。ちゃんと覚えていて、機会があったときにその色の糸を選ったのだそうな。それでいて「できてますよ」とは言わない。私が再度「あの色を」というのを待っていたという。すごすぎる。

これらのことは、「売る」という意味で店としては当然のことをしただけかもしれない。でも私としては「私のために、ここまでしてくれた」と思う。相手への感謝を忘れない。そして、それがまた、店が私を信用してくれることにもつながっているのだと思う。

これを読んで、この間柄に憧れる人がいるかもしれない。
しかし、注意して欲しい。こちらから情報を与えなければ、この関係は築けない。「お客なんだから」とふんぞり返っていては、満足のいく出来のものは得られない。
また、どんな店とでもうまくいくというものでもない。店の主人と感性がある程度共通していないとできない。これは、相手にどんなに経験が豊富でも駄目なときは駄目である。私が悪いわけでも店が悪いわけでもない。「合わない」それだけである。
私にも合わない店、店員はいくらでもあった。老舗だから合うわけでもない。逆にチェーン店の知識も不足なオバサンでも何故か信用に足る相手もいたりする。合わない相手とはサッサと切れて、合う相手を探した方がお互いのためだと思う。


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