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2004/03/02(火)
卒業式の袴
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本日のNHK「おしゃれ工房」は市田ひろみさんによる「卒業式の着物」。お振袖と袴を取り上げていた。 日頃から袴を履く者としては「袴」の方について感想を述べたい。 ★袴には振袖は合わせない: 「お振袖には裾に柄があるのでもったいない」とのこと。 わざわざレンタルにお振袖を選ぶのはナンだが、手持ちの振袖を使って袴を履いても問題ないと思う。振袖の華やかさが袴でキリっと引き締められて帯とはまた違った風合いをかもし出す。 ★正道は色無地か江戸小紋: 全くもってその通り。やはり一番綺麗だと思う。 黒紋付もいいと思うのだが、今は宝塚音楽学校の卒業式位でしか見られないようだ。 同じ色無地でも「長袖」と呼ぶ袖丈の長いものは華やかで良い。 今は「小振袖」と呼ぶ業者もいる。 今回の例では「京小紋」と呼ぶ華やかな柄の小振袖を選んでいた。最近はこういった華やかなものやアンティーク柄が人気とか。 ★銘仙や矢絣を合わせてもいい?: 時間が限られていたためか、ここには触れなかった。 銘仙や矢絣の格はお家によって実は違っていた。 縮緬や小紋の買えるお家にとっては銘仙は普段着物。 一方、経済的に余裕のないお家では銘仙はよそ行き。 当時、どの辺のランクでこれが線引きされるのかは不明であるが、1枚でも買えるか、兄弟や親戚筋から借り受ける手段があれば正絹ものを着たようだから、銘仙で式に出るというのは相当下位になるのではないかと思われる。 私の家も全く以て経済的に余裕のない家であったが、三つの祝着は父方の親戚筋を転々としてきた着物で私の使用後に更に年下の従妹達の間を転々としていった。十五のときの振袖は母が結婚式に用いたもので、成人式にも用い、その昔には母方の祖母のものであったというシロモノ。 というわけで、「銘仙に袴」はいかにも大正浪漫ぽくて良いが、実は普段の通学着なのである。 ★半幅帯はなくても良い: 普段着付けに私はこの方法で着ていたが、「最初の頃は半幅帯は用いなかった。伊達巻のまま」とのこと。なにやらお墨付きを得たようで嬉しい。 但し、個人的には着崩れた際に伊達巻が見えることになるので、それなりの席に出る場合には奨めない。 またぎっちり袴の紐を締めるには苦しいという欠点もある。 私のしているのは、「帯板を帯揚げで巻いて結ぶ」という方法。帯揚げは綸子や縮緬などを用いる。これなら見えても安心だし、最初から帯のように意図的に見せていても良い。 帯板を入れるのはしっかり結んでも痛くないため。帯板幅全体に力が掛かるので腰の一部が締め付けられるという心配がない。 ★袴での出席は約64%: 最近は袴での出席が大多数を占めるようだ。私の頃は「宝塚か女子師範くらいだ」と言われて、教職も取らなかった社会学系の大学を出た私に父は目一杯反対してくれて、スーツで出た。 今では社会学系であろうとも袴で式にのぞむ学生は多いので、きっと出られたろうと思う。でも、そのときに袴を履いていたら、今頃こんなに袴に執着しなかったかもしれない。「塞翁が馬」なのかもしれない。 ★袴の前紐の結ぶ位置: 「左脇に蝶結び」としていたが、真ん中でも良い。 また、女袴は十二単の緋袴の流れをくむので、右脇に片結びという方法もある。右側に結び人は滅多にいないので、見かけたら、装束の着装経験者である可能性が高い。 添付の写真では分かり難いが右脇に片結びにしている。
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