|
2003/11/17(月)
着物と経済観念
|
|
|
週末に呉盟会で買ってきた帯を仕立てる。名古屋帯を芯なしで。 薄いながらも西陣の織物。装束で言えば二倍織物の類。 帯板を入れれば十分だろう。 文様は有職の立沸柄。元値から半額はお値打ち。
さて、本日は、もう一点。「経済性」について考えたい。 着物を着ていると「お金持ちに見られる」または「お金持ちぶって」などとも言われるらしい。ムキになって「これはリサイクル屋で500円で買ったのだから、あなたの着ている洋服より安いのよ」などと返す人もいるという。 まぁ「お高いんでしょう?」といわれたときの想定金額がいくらを想定しているのかわからないけど、言った当人が、ブランド物の服やバッグを持っての言動だとすれば、「あなたの着ているものと同じ位よ」でいいような気もする。
化繊の反物なら3900円。これが12mだから、325円/m その辺の生地屋で売っている木綿の生地だって300円から700円位である。 生地幅が着物は半分だから、換算して650円/mといってもまだ同程度。
よしんば、正絹小紋着てたって10万円がとこ。よそゆきの衣類なんて、結構それくらいのを着ている人はいる。
まぁ、問題は、着物を知らない人にとって、見えているのがこの10万円の小紋や100万円の振袖だってこと。化繊のミシン仕立ての着物が仕立て上がりで5000円程度で出回っていることは知られていない。浴衣だって、洋服で言うとこのアッパッパーな粗雑なミシン仕立(洋服の普段用の安物と道程の縫製品質)だと、3900円くらい。洋服の似たようなもん買ったって、やっぱりそれくらいはするもんである。
呉盟会もその辺を狙っているのか、留袖、振袖、訪問着といった類の場所を抑え、「しゃれ帯」と称して名古屋帯を所狭しと置き、小紋や紬類の売り場も大きくしていた。 彼らは「日本の職人さんたちが作ったものを提供する」のであるから、ちょっと高めなことはしかたがない。 が、これはこれで一つのランクとしてあって良いと思う。
問題は化繊や木綿市場なのよね。どっかでがーっとまとめて「きもの市」でもしてくれるいいと思うのだけど、どこも継子扱いで積極的な宣伝すらしない。
今、着物を着ようとする人は増えている。子供だって「わぁ、着物」と見れば寄ってくる。「着てみる?」などといえば、飛んでくる。ソレくらいに着物を求める人は増えている。 が、彼らの手の届く範囲にまだ着物は来ていない。 普段着ているものだって、木綿や化繊じゃないか。背広やスーツをバシっと着ているのは会社で位だ。そういうスーツランクじゃない着物をもっとアピールして欲しい。
|
|
|
|