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2004/12/25(土)
いまさらながら...
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2年理数科の掲示板を見ていたら、「なぜT高校の先生は国公立大学を勧めるのか」という内容の書き込みがあったので、自分なりにいろいろ考えてみました。ここで全ては書きませんが、いくつか数字を見れば、その理由はある程度見えてくるのかなと思い、拾ってみました。以前教室後ろに掲示してあったものもあります。
■日本の論文の引用動向(1993-2003) http://www.thomsonscientific.jp/news/press/esi2004/ranking.html 大学の先生の論文が世界でどれだけ引用されたか、のランキング。上位の大学はそれだけ世界的に認められた、進んだ研究をしている、ということになります。旧帝大強し。
■科学研究費補助金 採択率・採択件数上位機関一覧(2004) http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/05_monbu_info/mon_040818/fuzoku_pdf_2004/05.pdf いわゆる「科研費」です。特に採択件数と配分額を見てください。やはり旧帝大は多いですね。上位30機関に私立は3校しか入っていません。私大は申請件数が絶対的に少ないようです。
■21世紀COEプログラム http://www.jsps.go.jp/j-21coe/
やはり国公立大学が並びます。補助金交付額を見ると、国公立大学が92%と圧倒的です。
■国家公務員T種合格者数 http://www.es-academy.com/es-paper/shingaku-4.html
上3つは主に大学の先生方の研究の充実度を示すものでしたが、学生はどうか、というと、まず国家T種は圧倒的に東京、次に京都。早稲田、慶応も頑張っていますが、学生総数が違います。
東京大学 15,258人(2003) 京都大学 13,099人 早稲田大学 44,688人 慶応大学 28,112人
例えば早稲田は学生数が東京の3倍多いのに、合格者数は4分の1、ということです。
■司法試験合格者数 http://www.toshin.com/daigakuranking/shihou.html
司法試験になると、私大は頑張っています。私大は学生数確保が至上命題ですから、合格者数が増えるなど実績をあげれば翌年の受験者が増える(=受験料や入学金による収入増)ので、学生の指導に必死です。ただ、これも分母が同じでないため、比較しにくいですね。また、受験資格に制限がないため、生涯にわたって受験のチャンスがあります。一説によると、
★2000年度度司法試験の現役合格率
1 阪大 3.3%(6名、定員180人 ) 2 東大 3.0%(18名、定員590人) 3 京大 2.5%(9名、定員360人)
だそうです。
その他詳しいデータを見たい、という人には、「大学ランキング2004年版」(朝日新聞社編)がオススメです。
ここまで見てきて、国公立大学には優秀な研究者がいて、研究費が潤沢で、施設が充実していて、学生数は私立より少ないためにきめ細かい指導がなされ、優秀な学生が切磋琢磨している(ちょっと言いすぎか?)、そういうイメージが浮かび上がってきませんか?もちろんいろいろな反論もあるでしょう。例えば、
「どんな大学へ行こうが、自分さえしっかり頑張ればそれなりにいい結果がだせるのでは?」
という意見はあるでしょう。確かに一理ありますが、人間誰しも、多かれ少なかれ自分の置かれた環境に影響をうけるものです。どんなに強い意志を持って勉強を頑張っていたとしても、例えば自分の周りに全然やる気のない学生しかいなかったら、モチベーションは下がるだろうし、お互いに議論しようとしてもできない状況ならば自分を高めていくことはできないでしょう。また、最先端の研究をしようと思ったら、やはり最先端の研究をしている先生に直接教えてもらえるほうが絶対に良いはずです。 もちろん私立大学の中にも素晴らしい大学はありますが、早慶にしても、人気は下降気味だそうです。なぜか、その考察はここでは控えておきます。 先生方がなぜ国公立を勧めるか、の話に戻りますが、私立大学志望の生徒が十分その大学のことをあらゆる観点から調べ尽くして、どうしてもそこへ行きたい、という強い信念があるのなら、誰も反対しないだろうと思います。ただ、もしそうでなく、なんとなく憧れとかイメージとかで志望しているのなら、上で述べたような理由(他にもありますが)で国公立を勧めるのだと思います。基本的に本校は、「行きたい大学に行かせてくれる高校」だと思いますよ。
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