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2006/07/06(木) さよなら妊婦さん
妊婦さんが産休に入る最後の日。私は、いつもより遅くまで職場にいた。妊婦さんに挨拶しなきゃ。いっぱい話しなきゃ。
もう、ずっと会えなくなるし、私が異動したら、もう一緒には働くことはないだろう。

彼女は、本当によく仕事をしてくれた。
賢い人だ。穏やかで、思慮深く、強い人。
なんか、皇室の「紀子さま」に似ていて、すごく上品だった。

大きいお腹で、頑張ってくれた。バカ殿主任がこき使って、最後の最後まで仕事をさせたけど、弱音一言もはかなかったんだよね。
私にはできないな、あんなに大きなお腹で頑張るのなんて。

丈夫な子供を生んでね。体いたわってね。仕事のことなんか、全部忘れて、家のことに専念してね。

いっぱい話して、お別れした。
私の治療の話をしたのは、ちょうど2ヶ月前かな。彼女は、大泣泣きした。そんなに苦しい思いをしていたのに、私が顔色1つ変えないで仕事してたなんて、1つも気がつかなくて、ごめんなさい、ごめんなさいって、言っていた。

私は、妊婦さん見ても、「畜生!」なんて、思わない。
思ったこともない。畜生!って、思ったのは、治療がうまくいかない「自分」に対してだけ。
だって、妊婦さんに何も罪はないんだもの。

私の苦しみの分、そして、何よりも大きなお腹の彼女が頑張った分、強くてたくましい元気な子が生まれてきますように。


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