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2010/07/27(火) 第26回市民環境問題講演会(2)
 へその緒(被害者から集めた)の水銀を測ってみたら、まさにその当時のチッソの生産量と結果は一致する。つまり子宮は環境だということです。環境を汚せば子宮も汚れるということを示している怖いデータですね。
 私は水俣病が起こったから差別が起きたとずーつと思っていました。しかし、世界の色んな所に行って見ますと、社会の中でのマイナスの部分、ここの例でいえば、廃棄物です。マイナスの物をどこに持っていくかですが、力の弱い所に持っていくんですね。世界を歩いてみたら差別されている所に、公害が起こっています。
生物学的にも、お腹の中の赤ちゃんとか弱い人に症状が出るんですね。
世界のあちこちに調査に行って、地元の問題、自分がやっている問題も大事ですけど、地元の問題をちゃんとやるためにも世界と繋がらなくてはならないということが分かったんです。世界は今、我々が水銀の影響がないと切り捨てたところで、水銀の影響がどうなっているかという議論をしています。ところが日本では線を引っ張っちゃって、ここから上だけが水俣病であとは知らんとやっているわけです。
本当に公害というのは、差別のあるところにしわ寄せが来るということだと僕は実感を持ちました。
 2009年7月から水俣病の特別措置法というのが出来ました。マスコミは一斉に進歩したというのですが、中身で実質があるのはチッソの分社化だけです。診断基準を増やしたことは意味がありません。むしろこれから大変だと思います。(有害物質の)安全基準を決めるにも、二つの物質三つの物質四つの物質と重なった時、そんなものが人体にどんな影響を及ぼすかなんて、誰も実験していないし、どの本にも書いていません。今、我々はそういうとんでもない時代に突入しているんだという自覚が必要だと思います。今から起こる公害というか化学物質の汚染というのは、安全基準など決められる訳がないです。非常に危険なところに立っていると思います。
 水俣病の問題の一つの悲劇というか失敗は、これほど社会的なしかも幅の広い事件を、医学だけに丸投げしたことです。そうでなくて、色々な人が参画する、特に被害者自身が参画して一つの学問を作っていく、そういう立場で熊本大学に「水俣学」の講座を開設し、センターを作り、現地にも出張所作っています。本来ならば、寺子屋じゃないけれど、あちこちで名乗りをあげて色々と研究をやれる、色々な学問領域の縦割りの壁を取り外して、一つのことに関して研究していくことをやるのが理想でした。一番の専門家は、当事者ですから。そこに住み、そこで生活し、そこで影響を受けた人がやっぱり一番の専門家だろうと思います。そのへんをちょっと考えるきっかけになればくらいに思って「水俣学」を始めたのです。本当は大学の中じゃなくて水俣市内に水俣学講座みたいに出来たらよいと考えていたことなんです。今5年目です。こちらでも、そういうのを作られたらいいのじゃないですか。
現場に行って、いろんな事を知っている地域の人から、専門家と言われる人たちにどうやって学ばせるかという作業が必要だろうと思います。
              −講演録から抜粋― 吉田千佳子さん作成

会場には若い方も含め90名近い方で一杯でした。先生の水俣での長年の取り組み、世界各地の現実などを権力の側に立たない姿勢と人柄を通しての話に皆うなづきながら聞き入りました。遠路の講演感謝いたします。 
高木仁三郎市民科学基金・パタゴニア助成活動


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