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2008/05/28(水)
樹木の胴吹きは何を意味するのか
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樹木の胴吹きは何を意味するのか。 春の植物観察調査 08.5.5 参加者5名 下の写真は、5月5日の調査日に撮影したものです。 太い方はコナラ、細い方はシラカシの木です。後ろ見える金網は、処分場周囲に張り巡らされている二重金網の外側です。金網の内側は日の出町となり、直下にエコセメント工場があります。こちら側の尾根道からは青梅市です。 写真の二本の樹木は、エコセメント工場から100mほど離れていますが、工場直近の広葉樹木です。 この地帯は、二年ほど前から胴吹きの様子が顕著に見られ始めました。このほかに数本の胴吹き樹木が見られます。又、処分場周辺では何箇所かで見られます。 エコセメント工場用地の造成工事による土壌の削減、工事での土壌粒子の飛来、重機の排ガス、その後約二年間の工場本格稼働に伴う昼夜24時間、年間310日にわたる工場からの排熱、排ガスなど環境の変化がありました。 調査活動などをしているとこの地帯に近づくと鼻を突く異臭と生ぬるい風を感じることが多いです。 <胴吹き> 樹木が何らかの環境変化により、生存を脅かされ始めて対応する環境応答活動。 調査例として「三宅島における森林植生の回復に関する試験」―東京都林業試験場年報 平成15年度版―で健全なタイプ、胴吹きタイプ、萌芽タイプに分けての調査を行った事例が掲載されている。
<AERA MOOK 植物学がわかる P96 環境と適応○4 緊急事態に植物は胴立ち向かうか 大橋裕子>より 「生物は環境からのシグナルに応答して生命現象を営んでいる。シグナルとは信号、合図などと訳される。植物は地上部や地下部のさまざまな器官でこれらの環境シグナルを受けとる。環境シグナルには、温度、湿度、光、そして空気や水に含まれる種々多様な成分のほか、風、雨、霰のような物理的なストレス、病原微生物感染、害虫による食害などの生物的なストレスが含まれる。これらのん環境シグナルに対応して、植物はもともと備わっている基礎代謝に関する遺伝プログラムを修飾し、細胞レベルで代謝活性をかえ、細胞の増殖,分化、生と死を制御する。このようなシグナルが順当に個々の細胞に伝わり、細胞がそのシグナルを適切に受容し、細胞内の反応をその環境に適するように制御することが、環境応答であり、生物が生きていくための必須の条件である。」
エコセメント工場の本格稼動と時を同じくして見られ始めた工場直近の樹木の胴吹きは、コナラやシラカシがどんな環境シグナルを受け取り、反応しているのでしょうか。 いずれにせよ、焼却灰の飛散の抑制により少し状態が良くなった処分場周辺の植物、特にアオキなどが、エコセメント工場の本格稼働に伴って再び面的に状態の悪化が見られ始めています。
<胴吹きのコナラとシラカシ>
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