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2008/02/07(木)
第21回市民環境問題講演会
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「これからの教育・環境・社会は」 講師 自由の森学園中学校長 塩瀬 治氏 2008/2/3 青梅福祉センター 深夜からの雪により10cm近い積雪、当日予定の青梅マラソンも中止となりました。 そんな悪条件の中,38名の参加、講師の塩瀬先生から「こんな天候の中、これだけの方が集まるとは、この地域の住民の意識が高く、希望を見ます」と褒められました。 益々厳しくなる教育現場 ― 必要とされる自由の森学園 ○小学校よりの特進クラス、学力テストなど早期からの選抜意識の植え付け、学校での学習塾の営業などに見られる教育体制と現場の混乱と敗者と勝者の選別 ○新自由主義による短期的な成果、効率主義による学校現場の戦場化と競争の激化 ○現在の学校に適応できない子どもたちの増加と心の問題の深刻化 ◇テストはするかもしれないが序列化はしない、学ぶ楽しさや方法を共同で学ぶ ◇学校は敗者を作ってはいけない、人と人の係わりの中から学び成長していく ◇しかし、自分で考え、表現し、行動する人間の育成を快く思わない体制保持を望む勢力からの圧力は、ひしひしと感じる 当日、三名の学園の卒業生が参加しており、厳しい条件の中の学園の取り組みの成果として誇りを持って参加者に紹介してくれました。 日本とドイツ − 経済優先の自然と自然優先の経済 ・ドイツも日本と同じように敗戦国であり、戦後復興60年代までは、日本と同じように豊かさを求め経済優先の開発がおこなわれていた。70年代なり豊かになったが自然と共存する人間らしい生活だろうかという疑問が市民から出てきた。 ・1976年制定された「ドイツ連邦自然保護法」は、人工物となった自然を、もう一度、本来そこにあった自然にできる限り近づけることを基本とするとした。 自然を優先する環境政策と生き物の空間を作るための市民の意識を強く感じる。 その延長として、ビオトープという思想が出てきたのであり、市民社会用語である。 開発の免罪、高額な費用、箱庭的な日本での使われ方はかなり違ったものである。 ・例えば、農薬を使わない為の減収補償、コウノトリが煙突に営巣してしまった家の代替補償など環境を優先した行為に対しての公的補償がしっかりしている。 又、あらゆる自然を復元する民間会社、専門家のサポートなどが成立している。 ・循環経済廃棄物法により、製造から廃棄まで、厳しく生産者に責任が課されている。 そのことは、生産者にゴミとなるものを造らないメリットを明確に示している。 日本では、生産者には極めて甘く、消費者や自治体にその責任が課されている。 ・ドイツは杉やヒノキの単一林でなく混合自然林であり、その方が森林が強くなる。 ・北欧、オランダ、ドイツなどの街並みの美しさは、市民の思想の現れである。 ・ドイツでは人権と同じように、生き物にも権利を認める思想と施策がなされている。 ・ドイツでは、ゴミにならない消費生活、歴史から学ぶ具体的な方法、学校と社会の結びつきを深めるなど多様なニーズに対応できる環境教育施設が多数ある。 ・隣国と陸続きのドイツの人たちは、過去の自然破壊、戦争に対する責任、チェルノブイリーなどの汚染に対する恐怖など厳しい現実があり誠実生きざるを得ない。 自然に恵まれた、島国の日本の人たちとは少し意識の持ち方が違う。 子どもたち−人権と政治参加を通して民主的社会の形成者―への働きかけ ・人間は、自然を見ることにより自然から学び文明や文化や様々な製品を作り上げてきた。 子どもから大人までが、自然の中で遊び、自然を五感で感じ、共存を体験する。例えば、 川は汚水を流すだけでなく、生物の生息、人々の遊びの場であることを学び大切にする。 ・日本では子どもや若者の具体的な行動をサポートする公的な組織、民間団体,NGOなどが少なく意識は高いが具体的な行動が難しい。受け入れ行動をサポートしていくことが必要。 *高校生の調査例 日本(自由の森学園90人):意識30% 行動49% 何もしない21% ドイツ:(ケーテコルビッツ168人)意識17% 行動82% 何もしない1% ・問題の答えを与えたり求めたりするのでなく、問題解決の方法、手順、システムなどの学習を通して、市民参加の方法や社会を変革していく主体としての市民を育てていく。 自分たちが何かすれば変わっていくことの実感や体験を積み重ねていくことが大切。 ・時間的な経過や変化を映像や具体物を通して、五感を使う方法での提示が効果的であり、変化の実態が浮き彫りにされる。事例として、様々なごみのポリバケツでの時間的変化(自然に戻る、戻らない)、街並みの28年間にもわたる定点観察の絵などを見せてくれました。 ・「ニッチの箱」の内部は、生物相互が複雑に絡み合いその地域の自然環境が成り立っている。外来種が入ると何かが押し出され、開発で外枠が壊されると内部は壊れてしまう。 日本の社会の方向は − 私たちの役割は ・個人の尊重を基本に、地域での草の根、市民活動を大事にして、若者を育てていく。 ・日本の良さ(人との和、いい加減という感覚、技術力など)を生かしていく。
色々な映像や教材の提示と自由の森学園で、今取り組んでいる内容や課題を話していただきました。環境先進国といわれるドイツも、日本と同じように開発・成長・豊かさを求めた時代を経て、今があることを知りました。私たち日本の社会も本気で立ち止まって考える時だと強く感じました。
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