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2005/06/28(火)
三国ヶ丘FUZZ
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楽屋に無造作にだれかの曲順表が張ってある。みるとかまやつひろし、ここで登場って書いてある。懐かしい曲名がずらりと並んでいる。壁にたくさん貼られたバックパスをみると名だたるミュージシャンがずらりと並んでいる。
ここは大阪のディープサウス、堺の三国ヶ丘だ。今日は電車でとことこやってきた。でも天王寺からそんなに離れていない。快速で二駅だ。ドアを開け店に入るとリハが始まっていた。ツエッペリンをやっている。今日は「ROCKの殿堂」というイベントだ。俺たち出てもええんかいな?関係ないよな、ハートはロックやからな。
「おう!暑いな〜」・・・またお前なんちゅう格好や?
野球帽にタンクトップ、半ズボン。 真夏か?ここは真夏の淀川河川敷か? 誰一人そんな格好してるおっさん、おらんやろ? それで電車乗ってきたんかいな。
若者に近づこうとする努力は認めるけどね、とよだくん。 顔がちっちゃくて線の細い兄ちゃんなら似合うけど、そのでかい体にでかい顔。まるで弱そうなプロレスラーやんか。 ちょっと無理があるんじゃないですか、とよださん? それか、赤えんぴつ耳にはさんだ西成のほうにいっぱいおる変なおっさんやで。どうみてもそっち系や。 でも本人はえらい気に入ってるみたいやから黙っとこ。
リハが終わって店の上にある居酒屋へ。生ビール180円、うむも言わさずとよだが入っていく。
「安いやんか?6時半までやけどな」 「何食べる?俺、もずく食いたいな」 「ええの、いうやんか、実は俺はもずく大好きなんや」・・俺が食うんや。 「酢はな体にええんや、俺、夏は毎日酢を飲むもんな」・・酢を飲む? 「酢を飲むって、生で飲むんか」 「おう、ビンからそのままな」・・酢ってそのまま飲むもんなんか?? 「でもな1本飲んだら死ぬらしいから気をつけんとな」・・アホか、酢を1本飲む奴なんかみたことないわ。だめだ、まともに話してたら脳が溶けてくる。
「ビール安いの6時半までやからな、はよ飲もうで」 「まあ、ゆっくり飲もうや、ちょっと疲れたしな」 「くぅ〜、やっぱり夏はビールやな」・・おっさんか!?うん、おっさんや、間違いない。
一気にジョッキをあおったとよだは、もう2杯目を注文した。 ・・今日はライブやで、ほどほどにな、俺も今日5時起きやったんや。とかなんとか思いながらがんがんビールを飲んでしまった。
ステージでは熱いロックが演奏されていた。もちろん俺たちも熱い演奏をした。飲んだビールが汗となって飛び散った。いつものようにフラフラになった。打ち上げで俺たちの前にやったマグネットノーズのベースの菅原くんが話しかけてきた。
「実は15年くらい前にタイバンしたことがありますよね」 「え〜、俺と?そうやった?古い話やな」 「とよださんもゴールドラッシュのときよく知ってますよ」 「いや〜そうなんや、長い事やってたらいろいろあるよな」
話がどんどん弾む。そして気がついたら終電ぎりぎりだ。とよだと菅原クンと3人で急いで駅に向かい天王寺へ。天王寺駅で最終環状線のアナウンス。楽器を抱えた怪しいおっさん三人が天王寺駅のホームを走る。電車にすべり込み、はぁはぁ肩で息をする3人。まだまだやるな〜、俺たち。
「今度ツアー行くときベースで参加してくれ」 「ぜひ、やらしてくださいよ」 「ほんまやな〜、連絡するからな」 「待ってますよ」
あ〜あ、知らんで菅原ちゃん、とんでもない事になるよ?人生狂っちゃいますよ?俺たち、ただのおっさんじゃないからな。人生を勘違いしている、変なおっさんやからな。
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