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2005/03/13(日)
西川口「如何屋」
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初めて来た街、西川口。とよだに振り回されて着いたのはまだ昼の1時すぎ。
「ついたで、埼玉に」 「で、どうすんのよ?今から5時まで」 「とりあえず店まで行ってみようか」 「・・・しょうがないな」
俺はだいぶご機嫌ななめ。これじゃ昨日の夜に出発せんでも朝早く出て間に合ったやんか。いつも俺たちは行き当たりばったりなんやから。いや、俺たちじゃなくて約1名やけど。
「ところで埼玉の首都はどこや?」・・県庁所在地やろ! 「俺もよう知らんけど、なんか合併したんやろ?」 「埼玉市か?大宮っちゅうのも聞いた事があるで」 「だから俺も知らんて」
そういえば夜に大阪を出るときも変なことを言っていた。
「埼玉って東京のどこらへんになるんや?」 「埼玉は埼玉やろが」 「千葉の右のほうか」・・右に行ったら太平洋です! 「千葉の上のほうか」・・千葉がどこかしってんのか?もう行ったらわかるわい!
いつも遠足気分のとよだは気分上々。おまけに朝からたらふく食ったから満足そう。馬鹿な話をしているうちになんとか店に着いた。幸い店にスタッフが一人いて、店の中で待たせてもらえることになった。いい雰囲気の店だけど、昼間にきても何にもないし、音が出せないからすることもない。薄暗い店内でとよだと暗く時間をつぶしていた。
だめだ、俺はもう耐えられない。ちょっと西川口の街を探索に。夕方にはミナミが来るはずや。今回、新しいCDの製作をミナミに手伝ってもらった。そのCDの袋づめを一緒にしてもらう事になっている。 今回、本当にミナミには世話になった。感謝、感謝。 ミナミと合流した俺たち三人は、並んで黙々と作業に入った。とよだがいちいち指図する。うるさいわい、黙って仕事をせえ!
しばらくして店長がやってきた。すごく気さくな面白い店長。ライブが終わってご馳走してくれた料理がこれまた格別にうまかった。話も面白い。なるほどこの店は常連で賑わうはずや。
リハを終わらせて街に出てみる事にした。今日は俺たち9時スタート、しかも2ステージや。まだ時間はある。西川口は風俗で有名らしい。もちろん俺たちはそんなところには行かない、っていうよりか行きたくても金がない。
「せっかくここまできたんやから、なんか珍しいもんでも食いたいな」 「ミナミもちょっとお腹がすいたよ」 「ミナミ、一段と身体がおおきくなったな、成長期か?」 「男は食わんなあかんのんじゃい」・・なんのこっちゃ?
とよだは先ほどからうろうろしている。どうやらまた立ち飲み屋を探しているらしい。埼玉まで来て立ち飲み屋かよ、しかもこんな時間に立ち飲み屋が開いてるかよ。
散々うろつきまわったあと、結局居酒屋で飲む事になった。でももう30分しかない。またとよだに振り回されたよ。熱燗を少し飲んだだけで、店に戻る事になった。
3人で歩いていると呼び込みに声をかけられた。
「お兄さん、キャバクラいかがですか」
しかも声をかけられたのはミナミだった。見事に男と間違えられたのだ!やるなあ、俺はつぼにはまって笑いが止まらなくなった。
「すごいやんか、ミナミ。お前スカウトされたんか?あはは」 「いや、どうみても男と間違えられたんや、ぎゃはは」 「さすが、権三、やるな〜、見事な攻撃や」 「薄化粧のハードロッカーみたいやもんな」
ミナミはショックのあまり言葉を失っていた。 そしてその後、俺たちのステージの休憩中に飛び入りで歌い始めた。なんかしらんけど思い切り熱く歌っていた。3曲も。しかもめちゃ長い歌。
途中でめがねを投げ捨てて歌いまくっていた。というより切れまくっていた。熱さがびんびん伝わってきた。めちゃかっこよかった。俺はある意味惚れ直した。・・??? 歌い終わった新宿のミナミはまるで熱唱を終えた中島みゆきのようだった。全部吐き出した充実感と虚脱感。俺はその気持ちがよくわかった。かっこいい!
でも歌い終わってめがねを探すミナミは、まるで漫才師の横山やすしのようだった。
「え〜っと、めがね、めがね、めがねはどこだ?」
ほんとに二人とも笑わせてくれるわ。
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