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2004/07/13(火)
曼荼羅ツアーその1 やっぱり70年代やで!
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「見てみぃ、今回はこれを持ってきたで」 とよだが得意そうに見せたのは発泡スチロールの箱と保冷剤。 「これさえありゃ、ビールも冷酒もなんでもこいよ。俺って頭ええよな」 何年ツアー行っとんのや、そんな事誰でもわかるわ、何で今頃気づくんや? 「よっしゃ、そこのローソンで酒を仕入れようで。高速では売ってないからな」 出発が遅れてもう10時半、まだ天理のあたりをうろうろしている。まあええか、たまにはのんびり行こうか、今夜は酒もあることやしな。機嫌のいいとよだは得意気に車をローソンに止めて店に走りこんだ。 「ど・れ・に・しようかな、ビールと日本酒とつまみはこれで、いややっぱりこれにして」 「またいっぱい買うたな、こんだけ飲んだら酔うてまうど、で、これなんや?」 酒やビールが入っているかごの中に食パンを一斤みつけた。 「これか?これはつまみよ。残ったら明日の朝めしじゃ、一石二鳥や、頭ええやろ」 つまみって食パンはつまみにならんやろ?お前の神経がわからんわ。残ったらってどうせ朝までに全部ひとりで食ってしまうんやろ。 「実はな、家からソントンのピーナッツバター持ってきとんのじゃ。頭いい〜、俺」 「・・・頭よすぎる」 「さあ元気出して東京さ、いくぜ!」 「はぁい、行きましょう」
「たがみちゃん、もうひとつええもん持ってきとんのや」 「なんや?干物と七輪でも持ってきたんか?」 「これやがな、70年代のヒットコレクション。どうだ!」 「ええやんか、どうしたんや、誰かの盗ってきたんか?」 「あほな、友達が収録してくれたんや、2枚組やで」 「分かったから早う聞こうや」 スピーカーから懐かしい歌が流れてきた。 「ええのう、やっぱり70年代は」 「言葉がはっきりしとる。単純でわかりやすい。やっぱこれやで」 アバ、ロッド、グランドファンク、ドゥービー、シカゴ、フランプトン、次々と流れる聞きなれた曲に思わず音量をあげる。いつのまにか絶好調になっている二人。 「この曲もようコピーしたな〜。俺がヴォーカルでよう歌ったわ」 「えー!淳ちゃんがヴォーカル?英語で歌ったんか?」 「おう、かたかな英語でな」なんやそれ? 「おー?シェリーに口づけや、懐かしい〜」 「ミッシェル・ポルナレフやろ、みんな知らんやろな」 「おー、シュガーベイビーや」 二人で歌いだした。♪シュガ〜ベイビ〜ラ〜ブ、シュガ〜ベイビ〜ラ〜ブ〜♪なぜか二人ともそこしか歌えない。いつのまにか両手にピースサインを出して踊っている二人。おいおいハンドルから手を放すなよ。曲はザッツ・ザ・ウエイに変わった。 「この曲今CMで使われとるよな」 「この頃こんな曲いっぱい使われとるで、きっとプロデューサーも同じくらいの年やで」 「この時代ってやっぱ面白かったよな。みんな活気があって踊りまくってたよな」 「ソウルトレインか?アフロやんか」 「わしらもアフロでライブに出るか?」 「アロハにアフロか?」 「おう、二人で高木ブーの雷様みたいにな。俺は黄色や、たがみちゃんは赤、どうや」 「そりゃおもろいけど、馬鹿受けするか馬鹿にされるか、どっちかやで、ついにあの二人気が狂ったっていわれるど」 「ほんまやな、でもやっぱりええなあこの頃の曲は」 「おう?この曲マンダムや、なつかし〜」 「ブロンソンやろ?誰が歌ってるか知らんけど。最後まで聞くのもはじめてや」 「なるほど、こういう間奏になっとったんか」 「う〜ん、マンダム」 なぜか二人とも右手であごをさすっている(この意味わかるかな〜?)
車は快調に夜の高速をぶっ飛ばしている。10ccの曲が流れてきた。 「たがみちゃん、なんで10ccっていうかしっとるか?」 「?知らんわ」 「あいつらな、ひとりの精液の量が5ccずつらしいわ。ほんで二人合わせて10ccなんやて。これほんまやで、知らんかったやろ」 「な・なんじゃ?あほなこと言いな!どっから仕入れてくるんやその話」 「いや、ほんまやて、これは確かな情報や」 「・・ほんまか、ほんまなら負けたみたいやな、その馬鹿さかげんに。ほんならわしらも名前変えて5リットルにしようやないか」 「5リットルはなんぼなんでも無理やろ、せめて5デシリットルにしようや」 「よっしゃ、今日からたがみ☆とよだ5デシリットルや。ってなんのこっちゃ」
その後駐車場で星空を眺めながら、二人だけの宴会が始まったのはいうまでもない。発泡スチロールの箱の中にはギンギンに冷えたビールと酒が詰まっている。とよだはビールを開け、ピーナッツバターをたっぷり塗った食パンをがつがつほおばっている。もう夜中の3時すぎやで。 「やっぱりピーナッツバターだけじゃあかんわ。今度はマヨネーズとケチャップ持ってこよっと、ハムとレタスもな」 俺はあたりめをかじりながら日本酒に口をつけ、とよだを見ながら思った。 ・・・こいつほんとはアメリカ人じゃないかしら?あまりにもワイルドすぎるわ。
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