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2004/06/18(金)
アナザードリーム 逆境に強いが女にゃ弱い？
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三日前に喧嘩別れをしたばかりで今日のライブはうまくできるんやろうか？とよだは用事でリハに間に合わないらしい。仕方ないのでリハではとりあえずギターの音だけでも作ってもらった。オペの山本君は俺達の音をよく知っているので安心や。とよだと俺のアコギの音を作るのに5分とかからなかった。
「なんか一曲歌っとこか？」
「大丈夫でしょ、いつもどおり」
「大丈夫やな、いつもどおりで。ほな本番よろしくお願いします」
実はいつもどおりやないんやけどな。リハなしの本番一発やし、うまく噛み合えばええけどな。まあなんとかなるやろ。ステージに上がると、いつもなんとかしてきたもんな。
本番前、楽屋でとよだと打ち合わせ。グラスになみなみと注がれたバーボンをとよだが調達してきた。もうその一杯だけにしとけよ、さっきビール2本も飲んだやろ。
「今日はもう一つのバンドはギャルバンやで」
「おうぅぅ！ギャ、ギャルバン？う〜ん、燃、え、て、きたー！」単純明快な奴・・・。
「よしゃあ、やるど〜！」なんなんだこいつは？この前のことなんかすっかり忘れている。
「ゴーゴーコンビもリハで聞いたけど勢いあって、ええバンドやで」
「おう、このバンド知っとる。あのベースの子、俺のバーボン時代の後輩や。さっき話してきた」さすがとよだ君。顔がでかいだけじゃなくて、顔が広い。
「今日はたっぷりやってもええってよ。40分以上2時間以内ならいいですって、メタル君が言うとったで。冗談やけどな」
「さすがメタル君、わしらの事をようわかっとる。この俺様にまかせとけ」ほんまかいな。
ステージではゴーゴーコンビもがんがんに盛り上がってる。だんだんいつものええ感じになってきた。そして俺達の出番。どうだ？どうなのよ？今日のお客さんは反応もいい。客席も盛り上がってきている。演奏もステージングでのとよだとのからみもばっちりや。
あら、あいつ今日はまた一段と張りきってるがな、ええ汗かいてるやんか。どうよ、いい感じじゃないの。これひょっとして無茶ええライブやってるんとちがうか、なあ、とよだくん。やっぱり逆境に強い俺達や。ほんまにええライブやで。
打ち上げはゴーゴーコンビとギャルバンとスタッフ、その他大勢。大宴会の様相をなしてきた。俺達のテーブルにはとよだとなんとギャルバンのお姉ちゃんたち。俺もとよだもお姉ちゃん達に挟まれてどうしましょう。とりあえず乾杯をしたけど実は緊張して何をしゃべっていいかわからない。だって自分の娘みたいな年やで、この娘たち。
むこうではゴーゴーコンビが暴れている。借りてきた猫みたいになっているたがみ☆とよだ。とよだと時々目で話す。
（こ、これってあの有名な合コンっていうやつなんか？）
（そ、それに近いもんがあるんやないか？・・・）
（こんなときはどう対応したらええんや？）
（そんな事聞かれても、わしにもわからんし・・）
（最近こんな近くに女の子が座った事ないもんな、じつはドキドキしてま〜す僕、えへへへ・・・）
（僕もで〜す。あははは・・・）
（とにかくカッコつけとかんとな・・・）
（そりゃそうや、ええとこみせとかんとな・・・）
とか言いながら、いいように小娘たちにあしらわれている情けない俺達。今日のライブのしゃべりがまるで嘘のようや。とにかく飲んで食ってしゃべりたおさんと。すると女の子が話しかけてきた。
「ししゃも焼けたけど食べますか？」
「あ、はい食べちゃいます。俺、ししゃもって大好きなんよな」でーっ、実はししゃも嫌いなのに、何やってんのや俺。隣でとよだも大きな声で必死で盛り上げている。
「来たでー、たこのゲソ。俺、このたこのゲソ大好きなんや、一番先に食べちゃおっかな〜」ってゲソいうたらイカやろ、たこはたこの足やろ。もう二人ともめろめろや。ほんまええオッサンが情けない、とほほほ。
「女の子のバンドはそれだけで何やってもええよな〜」
「ほんまや、ステージではみんな可愛く見えるしな」フォローになってないやんか。
「あの衣装と曲の終り方がええよな」ほめるとこ間違ってるし。
「オールディーズはええよな、俺、家でいつも聞いてるで」って聞いてないやろ。
宴会はギャルバンが帰った後も遅くまで続いた。合流したゴーゴーコンビの連中ははじけまくっている。こういうイキのいいバンドはやっぱりいいよな。なんといっても今日は俺達も十分満足できたええライブやった。でも女の子達にはやられっぱなしやったな。今度はアフターライブのしゃべりも考えとかんと・・・なんてね。
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