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2004/04/17(土)
春爛漫・指骨折ツアー その2
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談合坂SAにて・・ 「今日はおしょうと対バンやで、根性入れていかんとぐりぐりにやられるど」 「ほんまやな〜、ドキドキワクワクするな〜」 実は俺は監獄の大ファンだ。ロックンロールだけやりにきました!という男らしさにはまっている。とよだもおしょうとは古くからの知り合いだ。数々のおしょうの伝説をとよだから聞かされている。おしょう神社裏で頭かち割り事件、ラーメン屋テーブル破壊事件、おしょう全裸居酒屋出入り禁止事件、なのにおしょうはいつももてもて事件、等など。
「そんなに気張らんといこうや、とって食われるわけでもないし」 「なに言うてんのや、勝負はここから始まっとんのや、おしょうらはいつも勝ち負けやからな。ここでバチっと着替えて迫力出して乗り込むど」 「勝負って、そんなにいきらんでも」 「いきってなんぼや、えーっと、どれ着ていくかな、おっ、たがみちゃんこれ着て行け、目立つど、この燃える赤は」・・・赤唐辛子になった気分や。 「ええやんか、ついでにこの金縁のサングラスしてみ、おっ、外人みたいや、かっくいい」・・・なにいうとんじゃ、まるで怪しいフィリピン人か何か勘違いしているコカコーラのにいちゃんみたいやんか。 「わしゃ、この赤のアロハにこのサングラスで、いやこっちのアロハが似あうんや、いややっぱり男はTシャツで・・」どうでもいいけど何枚服を持ってきとんのやこいつは。ほんで指の骨折はどうなったんや。
吉祥寺曼荼羅にて・・ トップは「おしょうと木村」次に俺たち。なんかやりにくいな、まあなんとかなるやろ。それよりとよだの指が心配や。あいつちゃんと弾けるかな・・。 やっぱり監獄はかっこいい。熱すぎる。俺たちとはまた違う熱さや。「これしかやりません、黙って聞け!」や。俺たちは「これしか、で・き・ま・せ・ん、どうだ!」やもんな。この違いやな。でもどちらも「やりたいことをやりたいようにやってやる」ってとこでは同じやけどな。そして俺たちの本番。
あれ?とよださん。えらい張り切って、のっているじゃないの。ムチャええギター弾いとるがな、音もええがな。ええ暴れっぷりや、どうした?やっぱりおしょうを見て燃えたか。なるほどさすがバンドマンやな、ノリノリになってきたで。指の骨折なんか微塵も感じさせないええプレイや。ほんまに骨折しとんのか?やるなあ、ええ根性しとるわ。おっー、目もすわっとるがな。ジャンプもいつもより高く飛んどるやないか。 かっこいい!じゅんちゃ〜ん!今日はなんかしらんがすごいええライブをやっとるがな、どないなっとんのや?もう〜、じゅんちゃんたら、やればできるじゃん。
「たがみちゃん、ちょっとギターたのむわ!」 本番終了後、だーっと脱兎の如くとよだが駆け出した。いったいどうしたんや?ギターを片付けていると、とよだがしょぼくれた顔をして帰ってきた。 「どないしたんや?」 「いやあのな、本番中に客席に15年前の彼女を見つけたんや、絶対俺に会いにきたと思ってな、ほんで指の痛さも忘れてむちゃくちゃ張り切ったんや」 「・・・・・?」 「それがな、さっきな、探しに行ったらな、く〜っ、人違いやったんや!せっかくあれだけぐりぐりに頑張ったのに、ちきしょう!」 ・・・なんじゃそれは!あのノリはそのせいか。おしょうも骨折も俺も曼荼羅も関係ないやんか!まあ気持ちは分からん事もないけど、でもだいたいお前は動機が不純や!なんちゅうやつや、ほんまに。今日はお前にいっぱい感動したり心配したりして損したわ。
帰りの中央道にて 「さすがにちょっと疲れたな、こんなときはアマチュアバンドのデモでも聞こうで」 打ち上げでみんなと別れて4時半、6時半には東京を出てちょうど眠たくなってきたところだ。ツアーの移動中、とよだがいつもどこからか仕入れてくるデモテープを聞くのが趣味になっている。なかには結構いいバンドもある。 「まずはこれから、えーっとなんていうバンドかいな、読めんがな、まあええか」 ガチャ、 「♪〜ドカスカドカドカギャイ〜ン、ウギャギャギャギャ〜♪」 「な、なんじゃこりゃ?」 「なんのジャングルじゃ、これは?わけわからんな」ジャングルじゃなくてジャンルやろ! 「もうええわ、頭が馬鹿になりそうや、次聞こう、」 ガチャ、 「♪〜コンコンコンコンなんとかかんとかコンコンキンコン〜♪」 車は中央道の一番長いトンネルの中だ。約8キロも延々と続いている。抑揚のない淡々としたメロディが長々と演奏されている。二人ともだんだん無口になってきた。 「・・・また分けのわからん怪しい音楽やなあ」 「・・・なんかお経を聞いとるみたいやで、地に吸い込まれてしまいそうや」 「・・・もう8分以上も続けとるで、なんやこいつは、気色悪いのう」 「とにかくトンネルをはよ出ようで、こんなん聞いとったらトンネルが崩れるかもしれん」 「気分悪うなってきた。事故でもしそうな感じや、もう切れ、切れ」 「セーフ、やっとトンネル抜けたな、もっとましなやつないんか、では次に期待してと」 ガチャ、 「♪〜シャカシャカシャカ#$%&¥〜グルグルぴ〜♪」 「・・・???」 「・・・またなにこれ??」 「こいつらふざけるにもほどがある!みんなが許してもわしが許さん!こんなやつは、こんなやつは、こうじゃ!」 おもむろにとよだはCDを取り出し、パワーウィンドを下ろすと思いっきり外に放り投げた。な、なにすんねんなー!CDは桜咲く春の山奥の谷間にフリスビーのように弧を描きながら消えていかれました。さようなら。
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