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2004/11/12(金)
吉祥寺曼荼羅つかみはばっちりだぜ!
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談合坂SAの小高い丘の休憩場所。弦を張り替えながら二人で作戦会議。 「今日の曼荼羅はどうやってせめてやるか」 「アコボの井上君とミナミも見に来てくれるらしいからな」 「あれやるか、あれ、突然後ろから登場!」 「ええな、久しぶりにびっくりさせたろか」 作戦は決まった。今回は客席から登場だ。とよだはエレキを使うため腰にぶら下げたミニアンプの位置をしきりに変えている。落ちないようにガムテープでストラップにぐるぐる巻きつけている。・・・あほやな〜本番までにまたはずさんとあかんのに。
「よし、とりあえずこれで練習や。まず曼荼羅の入り口に立ったとこからや。立ち位置はえ〜っと、こっちが俺で」 「このへんが俺やな、ほんでここで一声叫んで、客席に飛び出す」 「それから客席の真ん中で二人がクロスして、ステージの前に立ち、暴れる、と」 「完璧や。これでみんなぶっ飛ぶぞ、よしリハーサルや」
「いくぞ、エントリーナンバー3番、今日一番さわやかでかっこいいバンドたがみ☆とよだ様じゃー!おう、いえ〜い!」♪じゃんじゃんじゃかじゃかじゃ〜ん。 「あかん、あかん、本気だしてやらんと、もう一回や」 「よっしゃ、エントリーナンバー3番〜・・・」 「ミニアンプの位置が決まらんと音が聞こえへんな・・」 「どうもしっくりこんな、きっとこのへんに客が座ってるからここをこう回って・・」 あほな二人は演奏する曲の練習もせずに登場の練習ばかりしていた。しかも3時間。SAで休憩中の家族連れの人たちはポカンとした顔で俺たちの遠吠えを聞かされていた。
「いよいよやな、むふふふ」ステージでセッティングしながら顔を見合わせた。よし、セッティングも終わった。一度楽屋にひいて、また登場すると思わせてと。それダッシュだ!とよだとギターを抱えて表の入り口まで走った。時間はわずかしかない。入り口のドアを開けて飛び出した。客はみんなステージに注目している。大成功や、トラ・トラ・トラや。
「いえ〜い、こんばんは〜。大阪からやってきたたがみ☆とよだで〜す!」お客はびっくりしている。やった、淳ちゃんこれでつかみはばっちりや!よっしゃ、歌い始めるぞ、いくぞ?あれ、ありゃりゃ。その瞬間に俺の指からピックがどっかに飛んでいってしまった。げーっ、なんだ〜?手で引いても音が聞こえへんやないか。でももう止められない。とよだはミニアンプを振り回して暴れている。知らん顔して弾くしかない。とほほ、あんなに練習したのにここでこけるなんて。俺の指は一曲目から血だらけになっていた。
ライブが終わり井上君とミナミと三人で打ち上げ。とよだは後からみんな連れてくるらしい。久しぶりに井上君の笑顔とダイナマイトミナミに会えて嬉しくなった。今夜はとことん飲もうぜ。とよだがみんなを連れてくるまで拓郎の話で盛り上がりまくった。ほんとに二人ともフォークが大好きなんだ。ここまで堂々とフォークを語れる二人を俺は大好きになった。ここにもこんな熱いやつらがいたんだ。話はどんどん熱気を帯び、ビール瓶がじゃんじゃん並ぶ。しばらくして豊田たちも合流してまた朝方まで打ち上げは続いた。
早朝、俺たち3人は車で諏訪湖に向かっていた。いつもの温泉に入るためや。紅葉の始まりかけている景色は二日酔いを忘れさせてくれる。3人?なぜかミナミが同行していた。そうか、昨日温泉に行こうぜって誘ったらついてきたんや。まあ男?やからええか。男どうし仲良く温泉に入ろうぜ。車の中でミナミがしゃべくりまくっている。2時間しか寝てない俺たちにはミナミのおもしろトークが眠気覚ましになっている。しかしミナミも根性あるよな、俺たちに付き合うなんて。とよだも疲れているはずなのに上機嫌だ。
「ミナミ、男ならお前は今日から名前を変えろ」えー!(ミナミ) 「俺たちが男らしいぴったりの名前を考えてやる」男らしいって?(ミナミ) 「ミナミ春夫、春之助、為三、・・しっくりこんな」そんな無茶苦茶な!(ミナミ) 「・・権三?これや!今日からごんぞうにせえ、うん男らしい」権三って!(ミナミ) 「権三、ええなあ、山口権三!ええやんけ、なあ権三」・・はい、くすん(ミナミ)
諏訪湖の温泉で・・ 「お〜い、権三、もうあがるど〜」 「おいーっす、了解しました、権三もあがりま〜す」 う〜ん、男らしい。でもなんであいつ女湯にはいっとんのじゃ?
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