ツアー日記 tour report
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2003/04/18(金) アナザードリーム
「おはよっす、めずらしく早いやんか」
3時半に、とよだはきていた。
「おう!やる気になっとんで〜今日は、いつもやけど。はようリハしようで」
あら、なにかあったん?
「はようリハ終わらせて、心斎橋のコメ兵にいこうで」
心斎橋にコメ兵ができたらしい。なるほどな。

そしてリハ。どうもまずい。あんだけ練習してきた「夢のかけら」が、しっくりこない。とよだもなんかやりにくそう。
この歌、二人でやるには難しくお蔵入りしてた曲。でももったいないし、何とかアレンジを考え今日のために練習してきた。きっと微妙なところなんやろうけどなんか違う、なんやろな。

「まあ、本番前に雰囲気みて曲きめようや、なんとかなるやろ?さあいこうで、コメ兵に」
もう気持ちはコメ兵にいってしまってるとよだ。そしてコメ兵に着いてみると、肝心の中古楽器や古着がない!!
「なんや、がっかりやのう、まあついでに俺の村、アメ村にアロハ見にいこうで」いつからお前の村になったんや? 結局楽器屋、アロハめぐりして何も買わず帰ってきた。でもええアロハをいっぱいみて気分は上々、曲の事なんかすっかり忘れてる。

よし、政宗屋(アナザーのちかくの居酒屋)に直行だ!でも呑みすぎんように。待っててくれてたみんなと合流し、2階の座敷に。ありゃりゃ、これ打ち上げ状態やで。とにかく呑みすぎんように、とか思いながらビール瓶が一本,二本と空いていく。ええかげんにしとかんな、またやっちゃいますで、懲りんやつやな、俺。だれかが言うとった。酔っ払って本番ぼろぼろになる事を「たがみる」って言うらしい。

アナザーに帰って二人で作戦会議。
「どうする?曲。どっちにしても一曲はずさんなあかんな、時間的にも無理やな」
「でもせっかく練習してきたんやし、夢のかけらやってみるか、そのかわりバーボンおごってえや」
はあ??まあええけど。しばらくしてとよだが得意気な顔をして帰ってきた。
「どうだ!!これこれ、これみてみい」
誇らしげに差し出されたグラスに、なみなみとバーボンが入っている。

「店のにいちゃんに頼んでいっぱいに入れてもろたんや、これ、ぐいっとのんで一発ぶちかまそうで、がははは」
「よっしゃ、ぐだぐだ言わんとがあーっとのんでドカンと一発やっちゃうか、ぎゃははは」
そしてバーボンをぐいと空けた俺は、いつしかバカボンになっていた。ライブは大いに盛り上がり絶好調!

その後打ち上げ前に二人で反省会。
「やっぱ、ちゃんとやらんなあかんよなあ、言い訳にもならんしな」
「たがみとよだの雰囲気は出せて楽しく盛り上がったんやけどなあ、あかんよなあ」
「おう、おんなじところで二人とも歌詞がとんどるしなあ、そこまで息あわさんでもええやろ」
「わかった、今度からバーボンやめてビールだけにしょう??」
ちゃうやろ!

2003/04/13(日) たがみ★とよだ、寺の小坊主になる?
対バンしてくれる人の中にも熱い奴、変な奴、おもろい奴がいる。そしてなにかイベントがあれば、必ずみんな誘ってくれる。この話も、そんなおもろい奴とのイベントの話。

面白そうなイベントには必ず参加するたがとよ。今回もワクワクしながら指定された場所へ。そこで、そいつが待っててくれてるはず。

「おかしいな、ここ住宅街やで、こんなとこにライブできるようなとこないで」
「ありゃ、ほんまやな。でもここで間違いないで」
「あいつ、不思議なやつやからなぁ」
「きっと向こうも俺らのことそう思ってるわ」
しばらく待ってるとそいつがやってきた。

「お疲れです、今日はよろしくお願いします。ああ楽しみにしてました」
うれしそうな笑顔。
「今日はセッションやりましょうね、曲も用意してますし」
聞いてないで?
「ここ、ここ。ここが今日の会場です」
!?ほんまかいな、どうみたってお寺やんか。しかも本堂やんか。
「スタートは7時ですが、みなさんが集まってからはじめましょう」
ええけどほんま客くるんか?どんな客やろ?

7時前からお客さんが入ってきた。
皆さん手に数珠をもっている?相当お年を召していらっしゃる。
・・・・・おじいちゃん、おばあちゃんばっかりやないか!!
俺らのライブ見て、ほんまに成仏したらどないすんねん!
ほんまに腰抜かしたらどうすんねん!
入れ歯はずれるど!

そうこうしてるうちに寺の住職の有難いお経がはじまった。
たがみとよだも神妙な顔をして手を合わしてお経を聞いている。
なんでこんなことに?ありがたやありがたや。

そしていよいよライブのはじまり。もう入れ歯が飛んでも知らんからな。
いきなり最初からぶっとばす。本堂で飛んだりはねたり。
住職は仏壇が倒れないか心配顔、おろおろしている。仏さんもきっとビックリしてるに違いない。

「いえ〜い!おじいちゃん、おばあちゃん、ノッテルか〜い!」
とよだいつもの調子、いつもと全然変わらず。
「愛してるよ〜おばあちゃん」
そこまで言うか、さすがとよだや!

おじいちゃんおばちゃんは口をポカンとあけている。
頼むから腰を抜かすなよ。そして俺達のライブも無事終わり、いよいよセッション。何やるんや?廊下で待機していると、そいつが小道具もってやってきた。

「このヅラ、かぶってください。」
ええ???二人分の『ハゲヅラ』渡された。
「坊さんロックンロールやりましょう。大丈夫、スリーコードですから」
そんな問題ちゃうやろ!
「詩は勝手にアドリブでお願いします」
はあ?
「おもろいやないか、かぶろかぶろ、たがみちゃん」
とよだは大乗り気。でもアロハにハゲヅラは、似合わんで。

「おまたせしました〜!盛り上がっていきましょう!坊さんロックンロールショータ〜イム、いえ〜い!」
「のってますか〜!手拍子手拍子、青春をとりもどそうぜ!いやっほーい!」
今思い出しても恥ずかしいあの姿。ビデオにとっとけばよかった。
たがとよは、なんでもありかよ!

なんかようわからんイベントやったけど、おじいちゃんおばあちゃんには、いい冥土の土産になったでしょう。
いつまでも長生きしてね。またどこかでお会いしましょう、
生きていればね。

ちなみにあのハゲヅラ、記念に持って帰りました。どこかで使う事あんのかな?


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