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2003/02/24(月)
スナック妙子は何処に
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これもツアーに向かう途中の話。いつものように車に機材を積み込み、夜9時に大阪を出発した。 とよだは今夜もハイテンション、るんるん気分で車は西名阪を東に向かう。 ひとしきりバカ話で盛り上がり、亀山に近づいた頃 「今日は東名阪乗らずに下道通って行かんか?」・・・悪い予感。 「どうせ時間あるし、今日は名古屋で呑まんとまっすぐ東京やし」・・・さらに悪い予感うむも言わさず、とよだは下道に。 「これ、四日市ぬけて桑名ぬけて行く道やろ、トラック多いんちゃうのん?」 「大丈夫や、俺にまかしとけ!」・・・やばい、いつものパターン、悪夢の展開。
しばらく走ると夜の工場地帯、まんざらでもない。鉄の塊ともうもうと煙を吐く何本もの煙突。黒の夜にオレンジ色に染まる無数の柱、まるでSF都市みたい。ぽーっとみとれていたら、いきなり渋滞。またこれだよ。すんなりいけばええのに。また車の中で二人きりの世界。もう話すネタもなく無言。こんなときは二人で空想の話でもして盛り上がるしかない。
「いつまでこんな事つづけるんやろ、俺たち」 「死ぬまでや」 「こうやってずっと歌、歌いながら、全国を旅出来たらええな」 「おう、ときにはひなびた漁師町、あるときにはひなびた山村、」ひなびたばっかりやんか。 「その漁師町では漁師小屋みたいなとこでライブやってよ、ギャラは採れたての魚や、ストーブで温まったワンカップを、おう、にいちゃんまあ一杯呑め、なんて言われてよ。今度は兄弟舟を歌え!なんてな」空想はどんどん広がる。
「ほんでひなびた山村では一軒だけスナックがあってな、妙子ちゅうスナックや。そこには風吹じゅんみたいな女将さんがおってな。(ぜったい風吹じゅんじゃないとだめらしい)今夜はしばれるねー、どっから来なさったん、」ますますエスカレート。 「今夜はもう遅いから泊まってっていいよ、くう〜。ほんで朝出発するとき、今度来るときには黄色いハンカチをのれんに下げとくからね。いやっほぅい」(おまえは高倉健か)
「よっしゃ、いまからスナック妙子さがしにいくど!」 「おう!見つかるまで片っ端からさがそうで」 バカな二人はライブのことなんかすっかり忘れて、夜どうし車で走り回ったのであった。そして午前4時疲れ果てた二人は恵那峡のSAでがあがあと爆睡していた。それから俺達のスナック妙子探しはいまだ続いている。スナック妙子は何処へ。女将さ〜ん!
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