|
2004/04/10(土)
家族の一員
|
|
|
実家の犬の具合が悪い。 悪いどころか、検査をしてみたら悪性腫瘍。 兄がペットショツプから事後承諾で連れてきてから12年。 「面倒なんて見ないよ」 そういっていた母が一番可愛がっている愛犬。 中型犬より大型犬よりで、長毛種で手がかかる。 散歩に行くと狩猟犬の本能が呼び起こされ、 のんびり昼寝をする猫を起こし追いかける。 そのたび母は引きずられ、転んだ事も一度ではない。 「手がかかるけど性格がいいから。」 そういう母は散歩に行くのを楽しみにしていた。 暑い日はアスファルトの熱が冷めるのを待ち、手で確かめてから出かけていた。 寒い日は日没が早い。 暗くなると落し物を拾えなくなるからと、懐中電灯と私の着古したダウンジャケットで完全防備で出かけていった。
いつもなら一声かければ引き綱をいっぱい伸ばして駆け寄ってくるのに、 澄んだ目をこちらに向けるだけで立ち上がる事もしない。 おとなしく横になり、時折水を欲しがる。 娘にどう説明しよう。 「天国に行く日が決まってしまった。」 そう言ってみた。 いつもなら自分が理解できない事を、しつこくしつこく聞き返す娘が、 今日は何も言わない。
|
|
|