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2004/03/03(水)
洋子さんのこと、2。
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お金が貯まったので、バイトをやめて北海道に行った。戻ってきたときには洋子さんはいなかった。 連絡先を教えてもらって電話をした。実家でひとり暮らしをしていたお母さんの健康状態が思わしくないし、自分も今のような暮らしはそろそろ終わりにしたくなって戻ったのだと洋子さんは言った。旦那さんと娘さんの住む家はすぐ近くなのに、戻ったことを言うつもりはなくて、ひっそりお母さんを病院に連れて行ったりしながら暮らしているらしかった。 洋子さんは自分でも自分は意地っ張りだと以前から言っていた。だけれども、それでも郷里に戻ったのは、生活を変えようと思ったのは、旦那さんの言葉があったからなのではないのか。なのにどうして会いにすら行かないのか。でもそれが洋子さんが決めたことなのだ。
5年ほど経って、またお金が貯まったのでツーリングに出かけた。洋子さんが戻ったはずの郷里の方面に行ったので、できたら会いたくて電話をした。ずっと病気のお母さんと二人でひっそりと暮らしているそうだった。遊びに行きたいと言ったら、今の自分を見られたくないので会いたくない、と断られた。少なからずショックだったけれど、それも洋子さんが決めたことなのだ。 旦那さんや娘さんのことは聞いたか、聞かなかったか、忘れてしまった。書こうとして、忘れてしまったということに気づいた。
元気であって欲しい、少しでも幸せであって欲しい、と思うばかりなのだ。そして、手をつないで散歩のようにホール廻りをしたことや、怪しげな店やゲイバーに連れて行ってもらったことを、楽しかったよねって思い出すのだ。
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