がてんこ、Dig Your Own Hole
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最新の絵日記ダイジェスト
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2004/02/05(木) 光速より速い光。
 おとつい、確定申告の申請書類を提出に行くことを口実に、やっぱりどうしても欲しくなってしまった「匂いの帝王」という本を探しに行った。
 無かった。その代わりゲーデルの不完全性定理の解説本があった。実は、私の日記への微塵の感想に対するレスを考えて、自分の不完全性定理理解をちゃんと言葉に置き換えてみようとしているうちに、本当の意味で自分がそれを理解しているのか、怪しくなってきていたのだ。
 幸いそこにはソファーがあったので、後からもまた考えられるように、ちょっと記憶が曖昧で自信が無かった記号の意味を家まで覚えているために頭にいれながら、つまみ読みをしてみた。以前読んだものとは、同じ式でも解釈が少しづつ違う。結局じっくり読んでしまった。

 ゲーデルが証明した2つの定理を公理として体系に組み込んだとしても、また同じやり方でその体系内で更なる「ゲーデル文」を導き出すことができる、ということをより重要視している解釈もあるみたい。野矢さんの解説も、ややそうだった。
 だけれども、私には定理そのもので充分な気がする。
そもそも、この不完全性定理が大きな意味は、「数学的体系の無矛盾性が証明できるものであって欲しい」という願望があってこそなのだ。
 数論を含む体系全てにおいて、(数論を含むゆえに)その体系の無矛盾性はその体系からは証明ができない、結論付けられる以前に、世界を体系化する試みはもっと別の要素の困難に満ちている。

 ゲーデルの本を熟読してしまった手前、「匂いの帝王」はなかったけれど、何か買いたくなるような本はないだろうか、と思って手に取ったのが「光速より速い光」ジョアオ・マゲイジョ NHK出版だった。
 ぱらぱら、っとページを繰った瞬間、買うことを決めていた。そして、一気に読んでしまうだろうと思って、正にその通りになった。

 よく日記に偶然の凄さを書くけれど(大抵長々としたダラダラ文になってしまうので、私の一瞬の興奮は伝わっていないと思うけれど)、今回の体験もなかなかのもんだ。
 こないだ、bbsに「空間にも最小単位があるらしいですぜ。」と書いたが、正にそのことの本だった。
 種を明かされれば馬鹿みたいなことで、自分が考えてもみなかったことが悔しいのだけれど、「量子力学の重力子と宇宙論の時空を共存させるためには(時空の曲率を表す重力がそもそも量子だというのなら)、時空も量子化されなくてはならない。そのためには当然、時間と空間にも最小単位がある。」と考えられるのだ。重力子が本当にあるかどうかはまだ分からないと著者も言いながら、実験で確かめられる可能性のある予測はもう組み立てられている。
 あと、このエキサイティングな理論物理学者、ジョアオ・マゲイジョは、ジャズサックス奏者のコートニー・パインが大好きなのだ。私以外の人がコートニー・パインを好きなことを表明しているのに、初めて出くわした。
 あと、私がいろいろ勘違いしていたこともわかった。物理の問題を解いていて、導き出した式を計算していくうちに、左右の項が同じになってしまって、A=Aという、なんの意味も無い物になってしまうことがあるのは、拾い上げ方がまずいのだと思っていたけれど、物理の公式にはA=Aの言い換えでしかないものもあって、彼も同じ目に合う事があるみたいだった。数学が得意な物理学者も、式から導き出されるモデルを視覚化してイメージすることなんてできないってことも知った。

 とにかく、すごく面白い本。式は全然出てこなくて、でもすごく上手に説明されてて、物理以外の話もめちゃめちゃ面白い。


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