がてんこ、Dig Your Own Hole
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最新の絵日記ダイジェスト
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2003/11/28(金) 旬を逃して借金に関する話1。しかも長い。
以前、司法書士事務所に勤めていた。元々は法律の知識は無かったけれど、働いているうちにけっこう覚わった。知っていると意外に役に立つことも多いので、全然知らないよりはまあよかったな。
司法書士の仕事は不動産や会社の登記が主なので、無担保でお金を貸す消費者金融よりも、中小企業に融資する金融会社とのほうが何かと縁があった。
そういう企業からもらった仕事をやる時はけっこうドキドキであった。融資した中小企業やそこの役員さんが担保にいれた不動産に、金融会社の抵当権を登記するのだけれど、中には本当に焦げ付き寸前の危ない企業もあるのだ。一歩違いで差し押さえの登記がはいってしまったりとか、他の金融会社の抵当権が入ってしまったりとか、兎に角急がなければならないけれど、ちゃんと調査もしなければならなかったのだ。(この辺はなにわ金融道の世界だね。)
特に、わたしが勤めていたところの先生は、二世ではなかったので、開業当初顧客獲得のためにかなり危ない仕事も引き受けていたらしく、その時何かと仕事を回してくれた金融会社にはずっと頭があがらず、どんなに忙しいときにいきなり入った仕事でも引き受けていた。おかげで、すんごい大金を抱えて一駅分走ったりとか、新幹線を使うのと車で高速を飛ばすのとどちらが早いか、瞬時に判断しなければならなかったりなど、なかなかできないことをさせてもらった。

逆もあった。事業をしている友人の保証人になった人が、その友人に逃げられたのだ。とりあえず、その友人にお金を貸している金融会社に押えられる前にその人の家土地を奥さん名義に代えるべく、偽装離婚させて財産分与で所有権を移転してしまおうということになった。それで彼の自宅の登記簿を調査にいってみたら、驚くことに、彼は自宅まで抵当に入れた覚えはなかったのに、しっかりその金融会社の抵当権がついていたのだ。しかも、その日(友人が逃げたことが判明した日)のうちに、彼の会社に金融会社の人がやって来て、彼の車を勝手に持っていってしまった。金融会社は取れるところから取れればいいのだ。結局こちらで張り込みをした結果、逃げた友人を確保できて、覚悟を決めて会社も財産も整理しろと説得できたからよかったけれど。

でも、これらはどちらかと言えば、ぽこ向けの話題だね。そして、ぽこには既に泣き言まじりでメールで語ったこともあったのでした。

個人向けというか、私自身がもっと「うわっ、えぐいっ!」と感じ入ったのは、清掃員だった時の体験の方でした。
すべてのフロアーが有名消費者金融各社の支店で占められたビルの、空調のフィルター掃除に行ったときのことでした。依頼主はビルの管理会社で、各店子にはあらかじめ「某日某時業者がフィルター掃除に伺います。」という通達はされているので、業務中の各社に「こんにちは〜。」って脚立背負って入っていって、フィルター外してきて洗って乾かしてまたはめてくるのね。だいたいどこの会社でもまず入るとカウンターがあって、制服姿の若い女性がいる。部屋の中の方に暇そうにしている男性社員が1人2人いたりいなかったり。まずみんな業者の挨拶に返事したりはしないので、勝手にさっさと作業を進める。そしてだいたい一番奥に、簡単なパネルで区切られたコンパートメントがある。その部分の天井にも空調があれば、「失礼しま〜す。フィルター掃除させてください〜。」と入っていくのだけれど、そうすると、くわえ煙草で足を高く組んだカウンターでお会いしたお姉さんと限りなく似たやはり制服を着た若い女性が、一瞬「あん?」って顔でこっちを見て、すぐに自分の仕事に戻る。彼女は返済の遅れているお客さんに、「借りたものを返すのはあたり前ってこと、わかってるよねえ?そのあたり前のことができないって、人間として間違ってない?」って感じで入金催促の電話をかけているのだ。
そのビルの1階部分は各社の無人契約機に占められていて、作業の為に各機の前を横切るたびに一斉に「いらっしゃいませ」と明るく語りかけてくるのだ。その屈託なく借金を勧める機械たちと、カウンター又はコンパートメントの中にいた制服の女性達とが重なってしまって、一刻も早く仕事を終えていっぷくしたいと心から思ったのでした。


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