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2005/04/06(水)
『きのね(柝の音)』宮尾登美子
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朝から号泣だった。 一度興味のない本につかまると、その後暫くは本を読まない。本の存在を忘れちゃう。 ところが好みの物語に当たると、一気に読み続け家事・育児はおろそか。そんな調子だから朝から本を読む。 そして今朝は号泣。
この物語にはモデルがあります。 十一代目市川団十郎。海老蔵(「お〜いお茶」のCMでお馴染みの)のお祖父さんに当たる方で、その団十郎に仕え、そして彼を愛し続けた女性がこの物語の主人公です。 暴力をふるわれてもなお彼を愛し続け、どこまでも静かにただひたすらに尽くすその姿は現代ではもう見られないんじゃないのかな。(それが良いとは言わないけど) それが時代の生き方(昭和初期)とも言えるし、それだけの魅力が彼にあったのだと思う。そして彼女の内に秘めた情熱の激しさに驚きと羨望。 読み進めるうちに私は主人公・光乃になり、雪雄の言葉1つひとつに喜んだり胸が痛くなったり。 終盤の二人の別れの場面では涙無くして読めず、朝からえひめをほったらかして号泣と言う有様。
一見しただけの家系図では判らない、人間の生きてきた道の深さに気付く。 それは自分も同じ。そして自分の祖先も同じ。 墓碑に記された名前の分だけ人生があって、そこには色んな出来事があったんだなーと、しみじみ思ったのでありました。
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