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2003/06/12(木) "ハッピーの回想日記"から(6)
* 公園

ハッピーの病気は少し、落ち着いてきたようです。
今はすっかり忘れてしまったハッピーの犬友達に会い、周りの様子がちょっぴり
わかったのでしょう。
まだ積極的に彼等と接し遊ぶ事はできませんが、友達のわんちゃんは"どうして
ハッピーは自分に対してよそよそしいのだろう?"と不思議に思って"遊ぼう!"
と呼び掛けてくれます。

ハッピーはやっと近くの公園へ散歩するようになりました。
でも、まっすぐにハッピーは歩いてくれません。
私が先へ行こうとすると、ハッピーは円を描く様にぐるりと私の周りを回って
しまい、きちんと前方に進めません。

まだ平衡感覚がつかめないのでしょう。
楽しい思い出のある公園ですが、当時ハッピーにとっては新しい場所でした。
少しずつ私に慣れ親しみを抱いてくれたハッピーですが、"病気をしてからの
ハッピーは以前と違う性格になった。"と私は思いました。
-----

* 表情

1月も半ばになり、ほんの少しではありましたがハッピーの表情に変化が
見られるようになりました。
退院してきてからというもの、ハッピーは目や顔・体全体がまるで魂が抜けて
しまった様な状態でした。
ぼうっとした表情で、当初ハッピーは目が見えないのではないかと心配も
しました。

根気よくハッピーに話し掛けを続け散歩に慣れてきた頃、今迄無表情だった
ハッピーは少し嬉しそうな顔をするようになってきました。
1日のうちでハッピーと一緒に過ごせた時間はわずかでしたので、外でハッピーに
発作が起きていたのかとても気になりました。
でも入院以来ハッピーに発作の再発があったとしても、直接目にする事は
無かったので私にはわかりません。

"ハッピーが私の犬であったなら、もう少しハッピーの世話をしてあげられるのに。"
といつも思っていました。
飼主さんは毎年お正月にかけて留守をするので"その間、ハッピーをミカと一緒に
家の方で預かればミカも喜ぶのですが。"と飼主さんに一度、提案した事が
ありました。
飼主さんは面倒くさくて気がのらないようでしたので承諾してもらえませんでした。
そして外にハッピーとドッグフードを残して、1週間戻ってきませんでした。
-----

* Sachi宅

ハッピーが最初のけいれんを起こし、1年の歳月が過ぎようとしています。
ハッピーは4歳9か月になっていました。
ひどい"てんかん"の病気を煩い入院、生死をさ迷う程に悪化したハッピーでしたが
何とか生命をとりとめ元気になろうと新しい学習を続けています。

ハッピーの面倒をみてくださった獣医さんも、重態のまま病院を去ったハッピーが
あれから奇跡的にここ迄回復するとは思ってもみなかったでしょう。
少しずつ元気になってきたハッピーと共に挨拶がてらその獣医さんを訪ねたかった
のですが、動物病院が少し遠くてハッピーが病気をしてからは遠くへ連れて行って
あげる事も無くそのままになってしまいました。
ハッピーの病状が落ち着いてきたので、私は再びハッピーをマンションへ連れて
いってみようと思いました。

マンションへの道筋はハッピーにとって、忘れてしまった新しい場所でした。
マンションに着いて4階の我が家へ。
ハッピーがエレベーターに乗れるのか心配でしたが、何とかエレベーターに
乗れました。
前にハッピーはエレベーターに乗る練習をしていたので、恐らく体が覚えて
いたのでしょう。
-----

* 室内

ハッピーは再び我が家へ帰ってきました。
12月にこの部屋でひどい発作を起こして、入院してしまったハッピー。
1か月ぶりに目にするマンションです。

室内にはハッピーの遊び道具や寝床もちゃんと用意されていました。
部屋を慎重に探索するハッピー。
2年半以上に渡ってここで楽しく過ごした事をハッピーは忘れています。

以前は玄関を入ってここに来ると、喜びいさんで元気に走り回ったハッピーでした。
でも記憶を無くしてしまったハッピーは少しずつ回復し笑顔の表情も見せてくれる
けれど、マンションの生活に慣れるのに一から体験していかなければなりません。
そんな状況でしたが外だけで過ごしていたハッピーが初めてここに来た時と比べ、
思っていたより早く室内で暮らせるようになりました。
-----

* 後書き

"ハッピーの回想日記"を書いて、第二の愛犬ハッピーの1歳半から5歳近く迄の
年月を追ってきました。
私は"今日あるハッピーは記憶を無くす前とは違ったハッピーの姿である。"
と思います。

11歳半になったハッピーは元気でしたが、相変わらず鎖につながれた毎日を
送ってきました。
我が家のミカは既に高齢犬の仲間入りをしましたが、散歩などで外出する以外
室内の生活でいつも私の傍にいます。
1匹だけ外にいて飼い主さんにかまってもらえないわんちゃんよりは2匹でいる
わんちゃん、飼い主さんと共に暮らしているわんちゃんの方がより多く学習でき
幸せではないでしょうか。

2003/06/11(水) "ハッピーの回想日記"から(5)
* 伏せ

ハッピーの小屋の前では、記憶を失ったハッピーに呼び掛ける毎日が続いて
いました。
"ハッピー"という名前である事や私が誰であるのかもハッピーにはわからない
状態でした。
しかし根気よく反応の無いハッピーに話し掛けていると、ちょっとだけ変化が
見られるようになりました。

ハッピーは相変わらず無表情でうつろな目をしていましたが、私がハッピーに
"伏せ !"と言った時にまだその言葉の意味がよくわからないにせよ"伏せ"をして
くれました。
ハッピーが病院から戻ってきて10日目だったでしょうか。
ハッピーの心の中には以前のハッピーと私の関係は消えて無くなっているけれど、
何かを感じてくれたようです。

私はハッピーに希望への道が少しでも開かれる事を願いながら、少しずつ話し
掛ける言葉を増やしていこうと思いました。
しかし"伏せ"にせよ、私が言った事をはっきりと理解してくれるのに時間が必要
でした。
ハッピーの状態は、毎日が良くなっては悪くなるという繰り返しでした。
-----

* 暮れ

まだまだ無表情なハッピーでしたが毎日ハッピーに会いに行って話をしていると、
元気な頃ハッピーが言われてしていた動作を少しずつするようになってきました。
"伏せ"もそうですが、犬小屋に入って寝るという"ナイナイ寝て"をです。
紛れもなくハッピーは私を"まだよく知らない、別の人"と思っているでしょう。

けれどもハッピーは私が伝えたい言葉の意味を何となく察して、その行動を
とるようになってきたのです。
私が小屋を去ろうとして別れぎわに小屋の前でお座りをしているハッピーに
"ナイナイ寝て !"と言うと、ハッピーは自分から犬小屋に入っていくように
なりました。
ハッピーが退院してからも発作を起こしていたのか私にはわかりませんが、
M さんは"ご飯の時に飼い主さんはハッピーに薬を飲ませているようだ。"と
教えてくれました。

ハッピーが入院してからというもの、飼い主さんは私がハッピーの事で干渉
するのを好ましく思っていないようでした。
でも私にとっては大切なハッピーですし、もしこのままかまってもらえないと
ずっと記憶を無くした無表情で病気のハッピーになってしまうのです。
"何としても、元気なハッピーに戻ってほしい。"
これが私の心からの願いでした。
-----

* 新年

ハッピーは何とか持ち直して、少しずつ学習できるようになってきました。
1日1日と過ぎていき私の心の中に、"果たしてハッピーは記憶を回復してくれる
かしら?"という迷いの気持はありました。
でもハッピーには私の言う事に対して、何かをしようとする意思がかすかながら
感じられたのです。

飼主さんは毎年暮れから1週間に渡って帰省しますが、いつもハッピーは
留守番です。
そんなハッピーの様子をM さんは気にして、見にきてくれます。
私がハッピーの所へ行っても、以前の様に全身に喜びの表情を浮かべしっぽを
振って出迎えてくれるハッピーではありません。
が、ハッピーは私を受け入れ少しだけ認識できる存在としてとらえているのです。

"今日はちょっと私のことをハッピーはわかってくれたのかしら?"と思うと、
翌日にはもう私を忘れているという繰り返しでした。
本当に毎日が一歩前進、一歩後退というハッピーです。
こんな状態でしたが、私はハッピーを散歩に連れ出してあげようと思いました。
-----

* 学習

久し振りにハッピーと散歩をしてみました。
12月に発作で倒れて入院。その後、記憶の無いまま無理に退院してきた
ハッピーでした。
犬小屋に寂しく閉じ込められていたハッピーは新年と共に、新しい一歩を踏み
出そうとしています。
退院してからの2週間、英気を無くしおとなしくなっているハッピーはまだ
明るい表情を見せてくれませんが"これからでもハッピーは学習ができる!"
と私は感じていました。

今迄ハッピーと共に過ごしてきた事はもう、ハッピーの心に残っていません。
私は散歩の綱を持ってそっと、ハッピーを歩かせようとしました。
初めは歩くのをためらいしっぽをすくめ、不思議そうな顔をしていたハッピー
でした。
外界に出るのを少しこわがっているようです。
ちょうど、子犬が初めての散歩に出かける"お散歩"と同じ様に。

それでも恐る恐る地面の匂いを嗅ぎながら、ハッピーは新しい世界へと歩き
始めました。
散歩があんなに好きだったハッピー!
今は近所にいる犬の友達の顔もすっかり忘れ、恐がりながらわんちゃん達に
挨拶しているハッピーでした。
-----

* 復帰

新しい世界へ一歩一歩、歩きだそうとしているハッピーでした。
しかし"初めてのお散歩"を無事終えたものの、ハッピーの具合は良くなって
くれません。
どうしたのでしょう。生気の無い、とろんとした感じの表情に戻っています。
散歩は最初、短い時間で近くを。
そしてハッピーの負担にならない様に少しずつ距離を伸ばし、回数を重ねて
いきました。
ハッピーが病気である事を知っている近所の人達も、ハッピーを応援してくれて
います。
でもハッピーはその優しい人達のことを忘れてしまって、きょとんとした顔を
していました。

"早く前の様に元気で明るい表情のハッピーに戻ってね!"という近隣の人の願いを
支えにハッピーは少しずつ学習して、周辺の状況になじもうとしています。
"ちょっとした言葉でも毎日続けてハッピーに話し掛けてあげる。"
これがハッピーの記憶を呼びさます唯一の方法でした。

2003/06/10(火) "ハッピーの回想日記"から(4)
* 危機

ハッピーの状態を見届け、重い足取りでその場を去りました。
次の日もハッピーの様子を見に行きましたが、犬小屋にいません。
そして近所のM さんから、ハッピーが入院した事を聞きました。

M さんはハッピーを子犬の頃からよく知っていて、"ハッピーが子犬の時は飼い主
さんは時々ハッピーを家に入れたりしてかわいがっていた。"と教えてくれました。
M さんもわんちゃんが好きでご夫妻で2匹飼っており、ハッピーの飼い主さんが
泊りがけの旅行にでかけてしまうと残されたハッピーの事を気にかけて面倒を見て
くれます。

ハッピーが入院した所はM さんちのわんちゃんも行く動物病院で、前にハッピーと
その付近を散歩した事がありました。
私はハッピーの容態が心配で、病院にハッピーの様子を聞いてみる事にしました。
-----

* 入院

電話口に獣医さんがでたので、入院しているハッピーの状態を尋ねてみました。
すると飼い主さん以外にハッピーの事は教えられないような口ぶりでしたが、
こちらが詳しく事情を話すと親切に応対してくださいました。

"ハッピーは肝臓をひどくやられていて、意識が無い。何とか点滴でもたせているが、
ここ一週間が危ぶまれる。"と聞き、とても胸が痛みました。
"あんなに元気だったハッピーがこんな風になろうとは。もしもの事があったら。"
等といろいろ考え続け、夜になっても悲しみの淵から抜けられない日が続きました。

その後2、3日間は電話でハッピーの様子を聞いていました。
意識が少し戻って命はとりとめたものの、決して良い状態でないようです。
ハッピーは相変わらず、点滴をして生命を維持していました。
-----

* 治療費

ハッピーが入院してからの毎日、私はとても悲しくて心配ばかりしていました。
そして"一度、ハッピーのお見舞いに行ってこよう。"という思いにかられました。
動物病院は歩いて25分位の所にあります。
初めてそこを訪ね、担当の獣医さんにお会いしました。

すると"飼い主さんがたった今、車でハッピーを連れ帰った。" と言われ、私は
びっくりしました。
"入院はまだ必要なのに、治療費がかさむからという理由で飼い主さんが無理やり
ハッピーを退院させた。"
"ハッピーは飼い主さんのことがわからず、今にも噛みつきそうな状態であった。"
と聞かされました。

そこで、私は獣医さんに"これから、ハッピーはどうなっていくのですか?"
と尋ねました。
獣医さんは少しためらいがちに"ハッピーは記憶喪失の状態なので回復の見込みが
無い場合、もしかすると飼い主さんはハッピーを保健所に渡してしまうかも
しれない。"と言われたので、私は"本当に大変な状況になってきた。"と不安な
気持になりました。
-----

* 記憶

病院を去って行ったハッピーの事が心配だったので獣医さんに、これからも
ハッピーの相談にのってくださるようにお願いしてハッピーの様子を見に行き
ました。
あたりはもう闇に包まれていて、外の犬小屋にハッピーは戻っていました。

入院前にその場所で、私がハッピーに会った時と同じ様な顔つきをしていましたが
少し険しさも混じっていました。
恐らく、なじんでいた病院から無理やりここに連れてこられたからでしょう。
ハッピーは勿論、私のこともわかりません。
"ハッピー !"と声を掛けながら、私は小屋の中に手を差し出してハッピーを
呼ぼうとしました。

この時ハッピーは初めて、私に対して"ウウッ !"と怒りの表情を見せました。
見も知らない人[私]が自分の縄張りに侵入してきたからです。
私はさっと手をひっこめ、記憶を失ってしまったハッピーを悲しげに見つめて
いました。
-----

* 病気

ハッピーが入院していたのは3日間でした。
こうしてハッピーは自分の小屋に戻ってきましたが、それは悲しい退院という
べきものでした。
私は無表情のハッピーの姿を目にし、どうすることもできないまま我が家へ
戻りました。

翌日の夕方遅く、再びハッピーに会いに行きました。
犬小屋すれすれに木板と自動車が置かれていて、その狭い場所にハッピーは寂し
そうに後ろを向いて"お座り"していました。
かわいそうな事につながれているハッピーの鎖は30pも無く、身動きができない
位に短いものでした。

それは私には飼い主さんがまるで病気のハッピーを小屋に閉じ込めて、人目に
触れさせないようにしているとしか思えませんでした。
私は生い茂った庭の横手からハッピーに近寄って、"ハッピー !"と呼び掛け
ました。
昨日の厳しさの表情はハッピーから消えていましたが、そこにいるのは魂の
抜けた顔をしたハッピーでした。
-----

* お話

ハッピーが退院してきてからの1週間、私は毎晩ハッピーに会いに犬小屋へ
行きました。
12月も終わりに近付いてきて、あたりは真っ暗でとても寒い毎日でした。
それでも遠い街灯でハッピーの姿は見えました。

ハッピーにしてあげられるのはただ"ハッピー、ハッピー !"と辛抱強く呼び掛け、
何かのきっかけで元気なハッピーに戻ってくれるのを待つ事でした。
飼い主さんはもう家に帰ってきていますが、ハッピーがいる場所は隔離された様に
離れているので私がハッピーに話し掛けていても気がつかれないし、迷惑にも
なりません。
懸命にハッピーに呼び掛ける事を続けていると、ハッピーとそこにいた時間は
40分以上にもなっていました。

いつもハッピーの事を気にかけてくださっているM さんはそうしている私の姿を、
わんちゃんと散歩していた時に目にしたと言っています。
M さんご夫妻もハッピーが元気になってくれる事を願っていてくれました。
そんなM さんと真剣に"今後ハッピーが回復しない時はハッピーを引き取りたいが、
飼い主さんは恐らくそうしてくれないのではないか。"と話し合ったものです。

2003/06/09(月) "ハッピーの回想日記"から(3)
* 秋

夏が終わりその後もハッピーは発作を起こすことがありましたが、ハッピーとの
楽しい生活は続いていました。
当時、我が家の"ミカ"は2歳になっていました。
ハッピーとの時間を過ごし、ミカの所に戻ると時折"ハッピー"と呼びかけて
しまう事がありました。

ミカはすっかり我が家の生活に慣れ、私が何日かぶりに顔を見せると"きゃんきゃん"
といって部屋を駆け回る程の喜びようです。
ひと月に何日かマンションでハッピーと過ごしていて、てんかんの症状がでたのは
数える程でした。

ハッピーは元気で明るい表情をしていましたが、その年の10月にはけいれんの
発作が3日間で6回も起こりました。
そして11月に1回と。
発作がおさまって落ち着くと、いつもハッピーは元気な顔に戻っていました。
-----

* 12月

いつ起こるかわからないてんかん症状をかかえたハッピーでしたが、発作の時を
除けば以前と変わらない愛嬌たっぷりのハッピーでした。
夕方にハッピーを迎えに行って、散歩を終えマンションへと。
この事は飼い主さんの了解済みで、いつも鎖につながれているハッピーにとって
楽しい自由な時間でした。

ハッピーは飼い主さんといるよりも私と共に過ごす時間が増え、今迄に経験しえな
かった学習ができたと思います。
ハッピーの愛らしい表情の写真も撮りました。
飼い主さんが気付かない、ハッピーの賢さもわかりました。

その年も終わろうとしている、寒い12月の日でした。
忘れる事ができない最悪の事態にハッピーは直面します。
-----

* 異変

ハッピーの散歩中に発作が起きた事はありませんでした。
いつも静かにしている時に突然、てんかんの症状がでます。
12月の半ば、ハッピーはその日も元気に目をさましました。

ハッピーとゆっくり午前中、マンションで過ごそうとしていた矢先です。
9時頃にハッピーは激しいてんかんの発作を起こしました。
口から泡をふいて手足をばたばたさせ、とても苦しそうです。
急いでハッピーをしっかりとひざの上に抱きかかえ、舌が呼吸を邪魔しないように
しました。

はあはあと激しい息使いにハッピーはなり、私も発作がおさまるようにと必死
でした。
やっと落ち着いたのでハッピーを抱いて日差しの良い窓辺に寝かしてあげました。
ハッピーが休めた時間はわずかで、その後すぐに発作が起こりました。
その日は最悪で、ハッピーは昼過ぎ迄けいれんの激しい状態に悩まされます。

何度も襲ってくる発作からハッピーは"いつ体の自由を奪われるのか?"という
恐怖の為、発作が起きると壁にぶつかりながらもハッピーは部屋の奥まった所へと
逃げ込みます。
排便さえも自制できない程ハッピーの体はまいってしまい、ハッピーを支えて
あげるのに大変な思いをしました。
-----

* 一大事

この様に、てんかんの病状が悪化してしまったハッピーです。
今迄は発作がおさまると自分から水を飲み少し休むと元気な姿に戻っていました。
しかし、この日は違っていました。
さすがにぐったりとして水を飲む元気もなく、自分で歩く事もできません。

ふらついて、うつろな目をしています。これは一大事。
しばらく様子を見て発作が起こらない時に、気をつけてハッピーを飼い主さん宅へ
戻しに行かなければなりません。
18sのハッピーをそっと抱いて、4階のマンションから7分程離れたハッピーの
家へ。

歩く気力もないハッピーをかかえての道のりは私にとって、精神的にもとても
重く感じられました。
飼い主さんにハッピーの容体を話して、病院に連れていってあげるようにお願い
しました。
飼い主さんはハッピーの病気の重大さに気がつかないのか、"今日は忙しいから、
明日にでも。"と言いました。
-----

* 急変

悲しい気持ちで、ハッピーのいなくなったマンションに戻ってきました。
部屋はハッピーの非常時で、とても汚れていました。
部屋の拭き掃除をしながら、ハッピーが元気になってくれる事を願うだけでした。

ハッピーの健康管理はやはり飼い主さんに委ねられているので、ハッピーの
具合が悪くても勝手にお医者へ連れていく事はできません。
こんなに悪くなってしまったハッピーですが、私がハッピーの健康面に関して
飼い主さんにお願いをすると先方さんはさも迷惑そうな顔をしました。
翌日もハッピーの事がとても気がかりで、犬小屋へ様子を見に行きました。

ハッピーはまだ、お医者さんの診断を受けていないようでした。
私が行くとハッピーは私のことがわからないようで、顔をぐるりぐるりと円を
描く様に動かしていました。
うつろな目をしていて目の前に手をかざしても反応がなく、顔は円運動をして
いて無表情でした。
昨日の発作のひどさで、神経がおかされてしまったようです。

2003/06/08(日) "ハッピーの回想日記"から(2)
* 留守番

ハッピーがマンションに泊まるようになって、今まで迄廊下だけにいたのが
バルコニーへ、そして室内へと入ってくるようになりました。
その頃にはハッピーはマンションでの生活にすっかり慣れていました。
夕方にハッピーを迎えに行って散歩をすませ、第二の家路に着きます。
部屋に入ると喜びのあまり、16畳のリビングを駆け回ります。

ハッピーを散歩させるようになり、体もひと回り大きくなりました。
鎖でつながれていておとなしかった時とは大違い。
とても元気でおちゃめ、そして物覚えもいいハッピーでした。
退屈するとわんちゃん用の骨ガムを噛んだり、ボール遊びをします。
ボールを投げて"持ってきて!"と言うと、とってくるようにもなりました。

どうしても外に出たくなると、"早く帰ってくるのよ。"と言って階段室に出して
あげました。
ハッピーの足音が静かに響き、待っているとちゃんと戻ってきました。
初めは部屋の外に寝かしていたのが私のベットの傍で、そしてふとんの足元で
寝るようになっていました。
私が遅くなると、ハッピーに"ナイナイして!(good night、寝るのわんちゃん語)"と
言うと自分から隣りの部屋に行ってふとんの所で寝ていました。

こんな日日が続き、日中もハッピーを残して外出する事がありました。
おとなしく待っていたようで、帰宅してマンションに到着すると玄関口ポストの
隙間から待ちわびたハッピーの嬉しそうな鼻先が見えました。
-----

* 思い出

ハッピーとの楽しい思い出はたくさんあります。
休日や時間がある時には、ハッピーを連れていろいろな所へ行きました。
近くに入園者の殆どいない広広とした公園があり、ハッピーにとって格好の
遊び場でした。
いつもは思いっきり走り回れないので、ハッピーに"ちょっと遊んでおいで。"
と言ってあげます。

そうすると元気よく駆け出していって、姿が見えなくなります。
がしばらくして"ハッピー"と呼ぶと、どこからともなく現れてちゃんと戻って
きました。
川辺を散歩していた時に、綱が離れハッピーは喜びいさんで走り出しました。
驚いたことに、川にいる魚をつかまえようとしているではありませんか。
ハッピーの所に追いついたら、彼は水濡れで泥だらけ。
きれいにしてあげるのに苦労しました。

買い物をしに通りのスーパーに行って入口の外にハッピーを待たせておきました。
少し時間がかかりハッピーの所へ戻ってみると、綱が解けてゆうぜんとした
ハッピーが嬉しそうに駆け寄ってきました。
びっくりしていると外でその様子を見ていた人が、"よくもハッピーがどこかへ
行ってしまわなかったものだ。"と感心して教えてくれました。

ハッピーと多くの時間を過ごし、お互いにわかり合えるようになっていました。
言葉に出して言うと"人と犬との相互理解"で少し違和感があるかもしれませんが、
気持が通じたと感じる事は実際にあると思います。
ハッピーに出会ってから一年後に、"ミカ"が我が家の一員になります。
-----

* 発作

マンションでは週に何日か、ハッピーとの生活が続いていました。
吠える事は殆どなく、頼りになる番犬でもありました。
ハッピーは明るく元気で、健康に問題は無いように思えました。

胃の調子がおかしくなるのか、時折ハッピーは黄色い泡状の粘液を吐いて
いました。
飼い主さんはハッピーの詳しい健康状態を知らなかったので、飼い主さん宅に
戻す時にハッピーの事を報告しました。
けれど、飼い主さんは特に気にもしていない様子でした。
こうして2年間、ハッピーとの楽しい生活が続いていました。

ハッピーが3歳半を過ぎた頃に突然、予想もしない事が起こります。
それは1月の夜遅くのことでした。
私より先にハッピーが寝ている隣りの部屋で、何やら"バタンバタン"とうるさい
音がします。
"しょうがないなあ。退屈してひとりで遊びまわっているのかしら。"と思って、
寝室へ見に行きました。

そこには壁にぶつかりそうになる程ふとんから投げ出され、体をばたばたと
激しく震わせているハッピーの姿がありました。
とても異様な光景で、その様なハッピーを見たのは初めてでした。
呼吸も体の動きも激しくなっているハッピーをひざの上にしっかり抱きかかえ、
体の震えが止まるのを待ちました。

ハッピー自身も"何事が起こったのか。"とびっくりしたようでしたが、発作は
数分でおさまりました。
そしてハッピーは落ち着きを取り戻し、水を飲むと再び眠りにつきました。
翌朝目をさますと、昨夜の出来事がうそだった様に元気な顔のハッピーが
いました。
-----

* 病状

ハッピーはその後、元気でした。
食欲もあり迎えに行くととても喜んで、散歩の時をいつも待ちかねていました。
あの発作はてんかんの症状で、はっきりした原因はわかりません。

本などでハッピーの病気の事を調べましたが、後天性のようです。
ハッピーが飼い主さんからもらうご飯は夕食のおかずなどで、味の濃い物を
食べていました。
2月以降もハッピーは元気にマンションに来ていましたが、夏が終わる迄に数回
突然にてんかんの発作は起こりました。

その時はあわててしまいましたが、どうすれば落ち着くかという事が私と
ハッピーにもだんだんわかってきました。
ハッピーにとって、その年はなおもつらい月日になります。

2003/06/07(土) "ハッピーの回想日記"から(1)
"ミカの部屋"のHPに"ハッピーの回想日記"と"わんちゃん日記帳"を掲載して
いますが、本当に"ハッピーの回想日記"となってしまった今、ハッピーとの
出会いからの抜粋をここに書き改めておきます。

- - - - -
* 出会い

ミカの他にも愛犬がいます。
その子はハッピー(男の子)で、ミカより1歳10か月年上です。
今もたまにハッピーに会いに行きますがとても元気で、私を喜んで迎えて
くれます。

ハッピーに出会ってから10年近くになるでしょうか、当時は1歳半でした。
明るい表情をしていましたが、いつも鎖につながれ静かにしていました。
そこは公園を出た所で、皆が通る道端にある家の庭にいました。

何度かそこを通っていて、そのわんちゃんの事が気になるようになりました。
初めはこちらのことを少し警戒していたようですが、1か月もたつとハッピーは
私が行くとしっぽをふって喜んでくれるようになりました。
-----

* 散歩

ハッピーが私にだんだん慣れてきた頃、ちょうど飼い主さんが庭にいました。
それ迄わんちゃんの名前も知らないで好きな呼び名をつけていたので、ハッピーの
名や年などを聞こうと飼い主さんに話し掛けてみました。
付近の人から"ハッピーはいつも散歩もしてもらえなくつながれたままで、時時
逃げ出しては公園にあらわれる。"などと聞いていました。

ハッピーの飼い主さんはにこやかに私に答えてくれました。
そこで"ハッピーを散歩させてあげてもいいですか?"と言ってみました。
そうしたら"喜んでお願いします。"との返事でした。

それからハッピーとたびたび公園など近所を散歩するようになりました。
それもちょっとした訓練をかねて。基本動作の"座って、待て、伏せ、おいで"等。
ハッピーがちゃんと"伏せ"をしてくれるのに3週間位かかったでしょうか。
他人のわんちゃんですし、もう2歳近い成犬でしたので。
-----

* マンション

ハッピーとの散歩は夕方でした。
帰宅後にハッピーの所へ行くとそれはそれは喜んで、いつも楽しみに待ってて
くれました。
相変わらずハッピーは飼い主さんからご飯をもらうだけでした。

ハッピーの犬小屋の近くはつながれっぱなしの為か、不衛生で蚊もたくさん
いました。
散歩の前にその周辺をきれいに掃除して、持参した蚊取り線香をたいたりも
しました。
そんな日日が続き、やがてハッピーを自宅に連れてくるようになりました。
(勿論、飼い主さんの許可をもらって。)

最初は玄関の外だけに、ハッピーはいました。
そこはマンションの4階の角で、専用階段の上にある門の中です。
ちょうど一戸建ての様な感じで、隣りの住人には迷惑がかからない場所でした。
当時そのマンションで犬を飼っている人もいて、ペットの飼育に関して管理組合で
検討中でした。

ハッピーが自宅に来てから玄関の外だけだったのが、玄関の中へ廊下の一角へと
入ってくるようになりました。
この頃にはもう、ハッピーは飼い主さんとよりも私といる時間の方が多くなって
いました。
やがてハッピーは夜もそのマンションで過ごすようになり、ご飯をあげ翌日に
ハッピーは飼い主さんの庭に戻って行くという日がたびたびありました。
近所の人はハッピーをよく知っていて、犬小屋の所をきれいにしていると
ハッピーに話し掛けてきます。
-----

* 友達

散歩したりして仲良くなった5か月後から、ハッピーは家で夜を過ごすように
なりました。
当時いつも通りの庭につながれていたので、マンションという空間はハッピーに
とって未知の場所でした。
最初の頃は落ち着かない様子で、自分の家に戻りたがっていました。

が、だんだん慣れてくると散歩の後はマンションに行けるという楽しみに
変わりました。
4階へは内階段からでも行けますが、エレベーターを利用しました。
"(中に)入って!"と言われて、ハッピーが恐がらずに乗れるようになるのに少し
時間がかかりました。

その頃に住んでいたマンションは建物自体がゆったりと造られていて、夜は通路
などで住人を見かける事は殆どありません。
ハッピーは階段の方がいいらしく私がエレベーターで行くと、階段で先に着いた
ハッピーが玄関口で待っていました。
それ位、ハッピーは私の言う事がわかるようになっていました。

ハッピーと散歩していると、いつもつながれてばかりいる事を知っている人達は
"ハッピー、散歩できてよかったね。"と言います。
その様なきっかけで彼らと友達になる事ができました。
ハッピーがいるあたりの家並は門塀がなく、外にいるわんちゃん達と話ができます。

2003/06/06(金) 別れ
去年わんちゃん日記帳を最後に書いてから、半年以上たってしまいました。
その間にも新しいわんちゃんとお友達になったり、また近所にいて知り合いに
なったわんちゃんがいなくなってしまった事もありました。

がどうしても、わんちゃん日記帳を書こうという気持ちになれなかった大きな
別れがありました。
それは今はもう大分落ち着いてきましたが、この"わんちゃん日記帳"の始まりと
なった"ハッピーの回想日記"の主人公である"ハッピー"の事です。
そして更に気を落としてしまったのですが、同時期にリッキーとももう会えなく
なってしまったからです。

昨年4か月ぶりにハッピー達に会うのを楽しみに、ハッピーの所を訪ねました。
秋も深まった頃で、ハッピーの小屋に着いたのは午後8時を過ぎていました。
いつもの様に草むらをかきわけ、ハッピーと呼びかけて庭先の奥まった所へと
進んで行きました。
そして街灯のあかりを頼りに犬小屋に近づき、中を覗きこみました。
しかし、その中にいるはずのハッピーの姿は見えず何だか仏壇に飾るような花や
おちゃわんが置かれていました。

一瞬"ハッピーはどうしたのかしら?"と不思議に思いましたが、しばらくしてから
"もしかすると、ハッピーの身に一大事が!"という暗い念に変わりました。
詳しい事情がわからなかったので、まずMさん宅に伺って様子を聞かなければと
思いました。
夜の時間でしたが、いつもハッピーの事を気にかけてくださっているMさんが
玄関先に出てきてくださってハッピーが亡くなった事を知りました。

ハッピーとのお別れは9月1日で、ハッピーの悲しみから1か月半が過ぎて
いましたがMさんもハッピーがいなくなった感じがしないと話されていました。
原因は誰かからもらったイカをハッピーが食べたら、急に具合が悪くなったと
いう事でした。
そして、"その前日の夜は元気なハッピーの姿を見たのですが・・・"、とも
言われました。

あんなにハッピーとの楽しい再会を期待してやって来たのですが思いがけない
事態になっていたとは、Mさんは暗い表情で話を続けました。
ハッピーの亡骸は毛布にくるみダンボールに収められ、火葬にされたようです。
ハッピーと今迄一緒に過ごしてきて体験したいろいろな出来事。
それらを思い出しながら、もうここで2度とハッピーに会えないと考えると
何とも言えない悲しさがこみあげてきました。

ハッピーの事でいつも親切にお世話くださったMさんにお礼の言葉を残し、
その場を去りました。
帰りがけにもう一度ハッピーの小屋に寄ったのですが、ハッピーがずっと
つながれていた鎖とハッピーの首輪が犬小屋の所に置かれていました。
どうした事かハッピーの臭いは全く残っていませんでした。
非常事態により死を迎えたハッピーですが、飼い主さんともう少し違った幸せな
生活があればよかったのにと思わずにはいられませんでした。

2003/06/05(木) 再びハッピーと
再びハッピーに会ってきたのは、7月下旬のある夜でした。
ちょうどその日は台風が近くに来ていて、ハッピーの所に着いた時には雨・風が
とてもひどく辺りは暗くなっていました。
いつものように草むらをわけて、ハッピーの小屋に近づいていきました。
どういうわけか周囲の状況が少し変わっていて犬小屋も見えず、ハッピーはどこへ
行ってしまったのかと一瞬驚いてしまいました。
それで仕方なくハッピーのことを聞く為に、様子をよく知っている近所のMさん宅に
寄ってみました。

門の呼び鈴を鳴らすとMさんが出てきてくださって、飼い主さんとハッピーの近況が
少しわかりました。
"つい最近駅前に飲食店を開いたそうで、今は不在である。
ハッピーはこの頃耳が遠くなってきて、この間は蚤がたくさんついていた。
でも今迄の様にちゃんと小屋にいる。"と話してくださいました。
私はMさんに挨拶をし、再びハッピーの所に戻っていきました。

するとさっき見あたらなかった犬小屋は草むらに隠れていて、ずっと奥の庭の方に
ありました。
相変わらず雨はひどく降り続いています。
私は小屋に近づいて、ハッピーと呼びかけてみました。
何の返事やハッピーのいる気配もありません。
でももっと側に寄って小屋の中をのぞきこんでみるとハッピーは中にいて、私の
事がわかると外に出てこようとしました。
今迄の元気なハッピーだったら、もっと早くに喜びの表情で私を迎えてくれたのに。
風雨のせいもあったのでしょう。
ハッピーは耳が遠くなってきていて、私がハッピーを呼んだ声や近づいていった
物音にも気がつかなかったのです。

それでも私の姿を見つけるや少し弱弱しい感じはしたけれど、ハッピーがいつも
全身で見せてくれるうれしそうな顔がありました。
私はもっとハッピーと話をしていたかったのですが、雨でお互いずぶぬれになって
しまうので仕方なく小屋を離れることにしました。
ハッピーもなごり惜しいような表情でしたが、"入って!(犬小屋にのこと)
バイバ〜イ。ハッピー又くるから、元気でね。"と言って私が去っていくのが
わかると小屋の中にハッピーの姿が消えていきました。
私はそれを見届けながら、リッキーの所へと向かいました。

2003/06/04(水) ハッピーは元気
2002年の3月末にハッピー達に会ってきました。
昨年10月以来ですが、その日ハッピーの所に到着したのは遅めの午後でしたが
周囲はまだ明るくハッピーの姿がよくわかりました。
数か月にやっと一度位ハッピーを訪ねるのですが、不思議な事にその時も偶然
ハッピーの面倒をみてくださるMさんが私のいる方へと歩いてきました。
あちらも私に気が付かれたようで、いつもの様にちょっと挨拶をして今迄のハッピーの
様子などを聞いていました。
すると横道の奥に置かれている犬小屋に入っていたハッピーはまだ私達の姿が見えなかった
のですが、声で私の事もわかりしきりにクーンクーンとないているではありませんか。
やはりMさんから伺うハッピーや飼い主さんの事はいつも気になっていて、少し話が
長引いてしまいました。
飼い主さん夫婦は何でも駅の近くに飲食店をだしたそうで、相変わらずハッピーは
散歩をさせてもらっていなくそれでもご飯だけは何とか食べているようです。
そして、ハッピーが私を呼んでいるので”早く会ってあげたら。”とMさんは言いました。
私は待っているハッピーの所に行き、久しぶりにハッピーをよく見る事ができました。

最近ずっと明るい時にハッピーに会っていなかったのでわからなかったのですが、
12歳を過ぎたハッピーの目は白内障で全体的に白く濁っていました。
でも視力そのものは大丈夫で、耳もまだちゃんと聞こえました。
犬小屋の周囲はいつもの様に草がのび、排便の跡を踏まないように気を付けながら
ハッピーと話をかわしました。
全体的に見た感じですがハッピーは元気そうで、綱でひっぱられて首がしまる程
私に飛びついてこようとこちらに手足を寄せてきます。
私はできるだけハッピーの側に近づいてあげますが、衣服はハッピーが蹴った泥などで
汚れてしまうのは覚悟しています。
いつも本当にちょっとした時間しかハッピーに会えませんがハッピーに水を境内から
くんできて、帰り際にもハッピーの元気な姿を確認してミカの待つ家路へと向かいます。
もっとハッピーの所を掃除したりしてきれいにして一緒に散歩もしたいのですが、
飼い主さんの手前を考えハッピーにそうしてあげられないのがいつも心残りです。
でもハッピーはちゃんと私の事を覚えて待っててくれ、別れの時に”ハッピーまた
来るね。ナイナイ寝て、バイバ〜イ!”と言うと吠えもせず自分から小屋の中へと
入って行きます。

以前はハッピー以外に近所のわんちゃん達の事も気になり様子を見に行ったものでした。
しかし、彼らは飼い主さんからかわいがられよく世話をしてもらっているようですので
ハッピーとリッキーだけに会ってきます。
リッキーも同居犬がいなくなりもう10歳近くになると思いますが、いつも寂しげに
金網の小屋にいます。
でも私がリッキー!と小声で小屋の外から呼びかけると、暗闇の中から姿を現し
耳や体全体を金網の方に押し付けてきて、ひっつき虫を取ってほしいそぶりをします。
そしてしばらくリッキーと話していると必ず小屋の上の方に飛び上がろうとして
下の金網に足をかけ踏んばっては顔全体を必死になって私に近づけようとします。
ジャンプする時リッキーの頭は小屋の天井にぶつかるし、苦しそうな姿勢なので
いそいでリッキーの顔を撫で”もう降りなさい。”とリッキーに言います。
それでも下に下りるとまた上に登ろうとするので、”リッキーまた来るからバイバ〜イ。
吠えてはダメよ。”と話しながらその場を去ります。
そして、いつもその後にはリッキーが私を呼び止めるようなわんわんという声が
しばし響き渡るのです。

以上この3月に元気なハッピーとリッキーに会ってきた時の様子を書きましたが、
7月になって再び彼らを訪ねた際に目にした状況は少し違っていました。

2003/06/03(火) ハナちゃん
今迄いろいろなわんちゃんと、友達になる事ができました。
でもこれから紹介しようと思うハナだけとは仲よくなれませんでした。
ハナは通勤途中の新聞店にいたわんちゃんでした。
中型のハスキーがかったわんちゃんで、目の色が青と茶色で片方ずつ違って
いたのが特徴的でした。
ハナはいつもその店先に置かれた犬小屋につながれていました。
新聞店には何人かの従業員が働いています。
でも、その人達にはなじんでいるようで特別吠えたてる事はありませんでした。

何気なく通り過ぎているその店にハナがいるのに気が付いてからというもの
やはり、私はそのわんちゃんと親しくなりたいと思いました。
初めてハナの犬小屋に近づき、ちょっと様子をみました。
たいていのわんちゃんは最初の出会いで私が話しかけると、警戒しながらも
じっとこちらの様子をうかがっています。
そして私がそのわんちゃんに挨拶を終えその場を去ろうとすると、
今迄緊張していたのかわんわんと吠えたてます。
ハナも同じで、そういった状態が何回か続きました。

やがてこちららがそのわんちゃんに会いにいくにつれ、段段と私に対して
心を開いてくれるようになるのですがハナだけは違っていました。
ちょっと近づくだけでも顔にしわを寄せ、今にも怒りだそうといつも構えていました。
私がハナに話しかけ帰ろうとするとすごい勢いで猛烈に吠えまくり、嫌悪の感情を
むきだしにしていました。
しかし一度だけ、わんちゃんが店員さんに連れられ散歩をしていた時ハナという名で
まだ年も若い事を知り、私はちょっとだけハナをなでる事ができました。
それ以外は犬小屋に近づいていかないと、ハナに会えませんでした。
ハナは通りがかりのわんちゃん達どの子にも吠えまくり、知らない人が手を出すと
噛みつくという評判でした。
数週間が過ぎ、ある時ハナの小屋に行ってみました。
するとその屋根の上にボール紙がかけてあり、”この犬は噛みつくので近寄らないで
下さい。”と書かれていました。
私は何となくハナがかわいそうで、どうしてこのわんちゃんと友達になれないのかしら?
と思いました。

その時以来ハナの事が気になって通勤途中に様子をみに犬小屋を訪ねていたのですが、
しばらくたって再びその新聞店をのぞくといつの間にか新しいわんちゃんが同じ
犬小屋にいるではありませんか。
私はてっきりハナが噛むのでどこかにやられてしまったと思い、店員さんにハナは
どうしたの?と聞いてみました。
するとあのわんちゃんは他の店のわんちゃんで一時ここで預かっていたので、また
前の所に戻って行ったと言われました。
私は少し安心しましたが、ハナに対する私の気構えがハナの心に通じてしまったのか
残念な事にとうとうハナとは親しくなれませんでした。

6月絵日記の続き


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