|
2008/09/26(金)
ナベＱ男泣き！西武４年ぶり２１度目Ｖ
|
|
|
青年監督が宙を舞った。西武ライオンズが、前身の西鉄時代を含め４年ぶり２１度目のパ・リーグ制覇を達成。優勝マジック１で迎えた２６日、札幌ドームでの日本ハム戦は０−２で敗れたものの、２位オリックスが楽天に負けたため優勝が決まった。チーム１９１本塁打の強力打線を武器に４月５日以降、首位を明け渡さなかった。昨年の裏金騒動、２６年ぶりのＢクラス（５位）転落からのチーム再建を託された渡辺久信監督（４３）は、１年目で若いチームを束ねて名門再建を果たした。西武は１０月１７日からのクライマックスシリーズ・パ第２ステージ（６回戦制）で、同第１ステージ勝者と日本シリーズ進出をかけて対戦する。
敵地ファンの拍手に包まれた渡辺監督の涙が止まらない。顔をクシャクシャにさせながら４度宙に舞う。４年ぶりのリーグ優勝。現役時代、優勝でも涙ひとつ見せなかった男が、指揮官として初めて登るお立ち台で目を真っ赤に腫らしていた。
「みんなの汗と涙の結晶がここにある。本当に選手を誇りに思います。今までの優勝の中で最高です」。昨季２６年ぶりのＢクラス（５位）に沈んだチームから、４番のカブレラ（オリックス）、５番の和田（中日）が移籍。シーズン前、チームの成功を、周囲は信じなかった。会見では「こんなに泣いたのは９０年の有馬記念でオグリキャップが勝って以来だよ」。挫折から奇跡の復活を果たした名馬にダブらせたのは偽らざる本音だった。
「うちのチームの潜在能力は一番だと思っていた」。昨季まで３年間、２軍監督で鍛えた眼力を信じた。開幕戦のスタメン平均年齢は２５．７歳。２５歳にして初のキングを視界にとらえる中村をはじめとした若獅子打線は両リーグ断トツの１９１発と爆発。この日は今季ワーストの２安打完封負けだったが、パ界を席巻した攻撃野球の輝きは色あせない。
『ＮＯ ＬＩＭＩＴ』。黄金期を象徴する「管理野球」とは真逆で、選手に自由な雰囲気の中で限界を超えてほしいという思いを今季のスローガンに託した。選手らを怒鳴りつけまいと心に決めていたが、宮崎・南郷春季キャンプで“禁”を１度だけ解いた。
同僚の門限破りなどの規則違反が球団に“密告”されていることを知って激怒。宿舎の会議室にコーチ陣、球団フロント、チームリーダーの平尾を集めた。「おれは管理野球上がりだから、門限や規則違反を細かくチェックしてもいいぞ」。携帯電話を壁に投げつけ、テーブルをたたいた。「だが、お前らが本当の力を出すにはそれじゃダメだからやっていないんだ！！ おれみたいに負けて全部背負えねえやつらが、偉そうなことをいうんじゃねえ！！」。“球団批判”を覚悟で自由な雰囲気を守り通した。
４月５日以来、一度も首位の座を譲らなかったが、内心は穏やかではなかった。９月に入って３カード負け越し。マジック「２」から本拠地３連敗もした。心労で腰と首の痛みに苦しんだ。８月２日の４３歳の誕生日に真木子夫人から贈られたマッサージチェアが晩酌代わりだった。
「きょう“だけ”は喜びに浸らせてください」獅子のサクセスストーリーは、ここが終点ではない。クライマックスシリーズ、そして日本シリーズ。現役時代に６度の日本一を経験した１２球団最年少監督が見すえるのは、８０年代から９０年代にかけて憎らしいほど強かった『黄金時代』の再現だ。
|
 |
|
|
前の月
