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2008/06/21(土) 「社会貢献好き」64歳女容疑者ズレた“信頼関係” 入居者焼き殺した「明確な殺意」
神奈川県綾瀬市の知的障害者施設「ハイムひまわり」に放火して全焼させ、4人を死傷させた殺人、放火容疑などで逮捕された施設所有者の志村桂子容疑者(64)は海外でボランティア活動に励み、近所からは「面倒見がとても良く、親切な人」と評判だった。が、施設の中では「施設の人からいじめに遭っている」と周囲に漏らすなど、鬱積(うっせき)を募らせていた。「火をつけてなくしてしまいたかった」。入居者を殺害するまでに発展した施設側との“歪んだ信頼関係”とは…。

■社会貢献への強い関心、世話好き…
 施設を運営する社会福祉法人「聖音会」(神奈川県鎌倉市)が志村容疑者所有の建物を知的障害者施設として賃貸契約を結んだのは平成6年のことだ。
 社会貢献に強い関心を持っていた志村容疑者と聖音会の思いが一致しての契約だった。
 志村容疑者は18年3月まで、世話人として施設で働いていた。入居者の朝食や夕食作り、身の回りの世話などを熱心にやり、ときには入居者の相談相手にもなっていた。
 「志村さんは入居者を自分の子供のように接していた」
 近所に住む主婦(60)はそう証言する。
 その志村容疑者はカンボジアやブラジルでのボランティア活動にも精を出していた。近所から古着を集めて送ったり、自ら海外に赴いて活動をすることもあったという。
 「野菜を分けてくれることもありました。とても気持ちの優しい人です」
 近所の主婦がそう語るように、志村容疑者は「世話好きな人」として通っていたようだ。
 ところが−。
 施設の中での志村容疑者の「顔」は、ずいぶん違っていたのだ。
■いじめ、給料…施設側との確執?
 関係者の話によると、志村容疑者は平成8年ごろから、食事作りをしないなど、態度に変化を見せ始めるのだ。
 このため入居者は朝食抜きで仕事に行ったり、夕食を食べないで寝ることもあったという。
 さらに志村容疑者は、入居者の私物の洗濯機を無断で使用することもあったという。
 こうした状態に対し、聖音会は志村容疑者を注意したこともあったという。
 志村容疑者の逮捕当日に会見した聖音会の小原勉理事長は「トラブルはなかった」としながらも、こう漏らしている。
 「志村さんの行動に振り回されているという感じは…ありました」
 しかし、志村容疑者の“言い分”はまったく違う。
 「洗濯機を貸してくれないなどのいじめを受けていた」
 「施設の風呂に入っていたら、『ただで入っている』と嫌みを言われた」
 “被害”を受けていたのは自分だと釈明しているのだ。断片的ながら判明する取調室での志村容疑者の言動からは、入居者に対し、徐々に鬱憤を溜めていった様子がうかがえるのだ。
 入居者へのいらだち以外にも志村容疑者は不満があったようだ。「給料を減らされた」などとも供述しており、金銭面での不満も増大していったようなのだ。
 聖音会などによると、世話人の仕事は月150時間勤務だったが、17年4月からは勤務時間に応じた時給制になり、給料は減額された。
 「体調を崩して休みがちだったため、志村さんからの申し入れで勤務時間を減らした」
 聖音会はそう話す。
 志村容疑者が貸していた施設の賃料も下がる。聖音会との家賃契約は平成6年から10年契約で「月額40万円」だったが、16年に4万円減額され、「36万円」になった。
 「入所者の負担にならないよう、賃下げを要求しました。スムーズな契約更改でした」
 聖音会はそう強調するが、昨年春ごろには志村容疑者が「別の利用方法を検討する」と聖音会に申し入れ、来年7月の契約満了で志村容疑者側に明け渡される予定になっていた。
 「『施設の上の人ともめている』と(志村容疑者が)よく話していた」
 志村容疑者と20年来のつきあいがあるという女性はそう証言した。彼女は志村容疑者からこう打ち明けられていたという。
 「ハイムひまわりも最初は条件が良かったが、更新の際にもめたと言っていた。志村さんもローンを払わないといけないのに『家賃を下げろ』とか、『志村さんの給料が高いから下げる』とか言ってきていたらしい。60歳になったから定年でやめさせられたようだ」
 志村容疑者は平成2年ごろからうつ状態で断続的に通院していたという。
■逃げられぬことを知り抜き…明確な殺意
 単にうさばらしに火をつけたのではなく、神奈川県警は志村容疑者に「明確な殺意」があったとみている。
 志村容疑者が火をつけた1階物置付近には、2階に通じる階段があった。県警は▽志村容疑者は、入居者が熟睡している時間を選んで火をつけている▽寝ているところに火をつければ、建物の構造上、入居者が逃げられないことを容疑者は十分認識していた▽2階の窓に転落防止用の柵があり、入居者が乗り越えられないことを容疑者は知っていた−などの理由が、「明確な殺意」を裏付けると県警はみて、殺人容疑を適用したのだ。
 県警は火をつけた手口や計画性、さらに詳しい動機などについて、志村容疑者を追及している。
 自らが所有する建物に火をつけ、4人もの死傷者を出す最悪の事件を引き起こしてしまった志村容疑者。十数年来の“取引関係”にありながら、聖音会との間に築いた信頼関係は最悪の結末を迎えた。
 避けることができなかった悲劇。聖音会の小原勉理事長はこう言って肩を落とした。
 「『社会貢献をしたい』という夢と、(現実の)ギャップがあったのかもしれません…」


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