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2008/02/27(水) Qちゃん中国から帰国、五輪切符かけ名古屋国際マラソンへ
Qちゃん、達観!? 事実上残り「1枠」となった北京五輪代表の座をかけて、女子マラソンの最終選考レースとなる名古屋国際女子(3月9日)に出場する高橋尚子(35)=ファイテン=が27日、高地合宿先の中国・昆明から2カ月ぶりに帰国した。シドニー五輪金メダリストにとって、名古屋は過去2戦2勝と抜群の相性を誇る大会だが、“悟りの境地”で夢を引きよせる。

 白地のダウンコートと同じ心境だった。カメラのフラッシュに浮かび上がったQちゃんのほほえみは、すべてを包み込むマザー・テレサのような落ち着きを放った。

 「今までのレースとは違う。山あり谷ありでしたが、見ている人に夢をあきらめなければ、夢はかなうことを伝えたい。それには優勝しかない」

 初めて敢行した中国・昆明合宿。昨年末に昆明入りしたQちゃんは当初、1月に一時帰国し、実戦調整する予定だったが、順調な仕上がりにトレーニングは2カ月にも及んだ。その間、昆明のほか起伏に富んだ標高3200メートルの麗江での超高地合宿も消化。1日に70キロを走り込むこともあったという。

 中国製の毒入りギョーザ騒動で揺れるなか、本場のギョーザにも挑戦。それが直接的な原因ではないが、「おなかもこわしたし、下痢もした」と告白。中国の旧正月には道路渋滞で練習ができないこともあった。それでも、「気候もよくてやりやすかった」。そげ落ちたほおにハードトレーニングが表れていた。

 焦りも過信もない。レース参戦は06年東京国際以来。ぶっつけ本番となることにも、「何がよかったかは結果次第。選んだ道を信じるしかない」。育ての親、小出義雄氏から独立して以降、2度のマラソンは最終調整段階で故障しているが、「今は次の試合のことだけ。今は自分で歩いている充実感がある。一歩一歩が楽しく、生きている感じがする」と、結果より“夢の途中”に満足感をおぼえている。

 岐阜県出身のQちゃんにとって、名古屋は地元感覚。名古屋国際は過去2戦2勝。98年に2時間25分48秒で制し、00年には2時間22分19秒の大会新記録でシドニー五輪金メダルにつなげた。選考レースに名古屋国際を選んだ理由は、この土地から羽ばたいた“恩返し”の意味も込める。

 1月の大阪国際では初マラソンに挑戦した“トラックの女王”福士加代子(25)=ワコール=が4度も転倒しながら、壮絶なゴール。日本人最上位(2位)の森本友(24)=天満屋=も平凡なタイムだっただけに追い風も吹くが、「マラソンは怖い」と悲壮感をにじませた。

 だが、レースのイメージは「あえて持たない。柔軟にいきます」と流れに身を任せる自然流。名古屋を競技人生の集大成と位置づけるだけに、中国の秘境で体得した“悟り”の境地で勝負をかける。


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