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2008/11/14(金)
年金基金常務理事逮捕 広報冊子製作費水増し容疑
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国民年金基金の広報冊子の製作費を水増し請求させたとして、警視庁捜査2課は14日、厚生労働省の認可法人「埼玉県国民年金基金」(さいたま市)常務理事、黒沢博史(62)=同市浦和区常盤4▽出版会社「社会保険研究所」(東京都千代田区)企画営業部次長、清裕(せいゆたか)(46)=埼玉県ふじみ野市大井=の両容疑者を背任容疑で逮捕した。00〜07年度に計約500万円の被害を同基金に与えたとみて追及する。
調べでは、黒沢容疑者は05年4月から07年3月まで3回にわたり、国民年金基金のPR冊子を発注した際に、清容疑者に計約240万円を水増しした見積書を作成させ、同基金に損害を与えた疑い。
捜査2課によると、黒沢容疑者は、「2社以上から見積もりを取る」という内規を無視して社会保険研究所と随意契約を結んでいた。1部の単価を3割水増しするよう清容疑者に指示し約240万円を増額した計約2000万円の製作費を請求させて、水増し分は「原稿料」として自分の金融機関口座にキックバックさせていた。自分の小遣いに使っていたという。
黒沢容疑者は69年に川越社会保険事務所に就職し、99年11月に所沢事務所長で退職。その後、県国民年金基金に事務長として天下りし、05年4月からナンバー2の常務理事に就任していた。
「基金の加入者に申し訳ない」と供述しているが、「県内の各社会保険事務所に勤務していた時代にも裏金を作っていた」とも話しているという。
国民年金基金は、厚生年金と国民年金の支給金額の差を埋めるため、自営業者らが積み立てる任意の公的年金制度。各都道府県に徴収や広報の組織を置いており、埼玉県国民年金基金もその一つ。今回着服されたPR冊子の製作費は、保険料から支出されていた。
民間信用調査機関によると、社会保険研究所は厚労省や関連団体の広報誌製作が収益の柱。清容疑者は東京や新潟、静岡などの年金基金事務所の営業も担当していた。
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