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2008/01/25(金) 「冷酷非道で矯正不可能」鈴香被告に死刑求刑…秋田連続児童殺害事件
秋田県藤里町で2006年に発生した連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職・畠山鈴香被告(34)の論告求刑公判が25日、秋田地裁であり、検察側は「冷酷非道で矯正は不可能」と死刑を求刑した。弁護側は最終弁論で、長女・彩香ちゃん(当時9歳)への殺意などをあらためて否定。鈴香被告は最終意見陳述で、米山豪憲君(当時7歳)の遺族に対し「大事な家族を奪い申し訳ない」と謝罪、昨年9月に始まった公判は結審した。判決は3月19日。

 その瞬間、無表情だった鈴香被告の顔は明らかにこわばり、視線が左右に泳いだ。「極刑をもって臨む以外にない」−。検察官の求刑の声が法廷に響くと、鈴香被告は少し間をおき、大きな息を一つはき出した。

 論告で検察側は、鈴香被告が彩香ちゃんに対し「自分の生活に邪魔と感じて日ごろから根深い嫌悪を抱き、死ねばいいと考えていた」と確定的殺意があったと指摘。2軒隣の豪憲君殺害では「娘を殺害したとの疑いの目をそらすための犯行」と計画性を強調した。

 約1か月の間に幼い2人の命が犠牲になった事件。検察側は「身勝手で凶悪極まり、情状酌量の余地はない。まさに鬼畜のなせる業」と非難した。

 最大の争点となった彩香ちゃんへの殺意の有無で検察側は「自分の不満を長女に向けて爆発させた」とし、「欄干の上で急に抱きついてきたので驚いて振り払った」とする弁護側の主張には「橋の上で『魚を見たい』と駄々をこねる彩香ちゃんを、いら立ちが極限まで達した被告が突き落とした」と否定。物証や直接の目撃証言はないが、捜査段階の自白などから殺意の立証は十分とした。

 豪憲君事件については「殺す相手は、か弱い存在なら誰でもよかった」と指摘。殺害を認めた上で心神耗弱を主張した弁護側に対し、精神鑑定結果などを踏まえ、刑事責任能力は十分あると反論。「死刑を求める遺族の被害感情を重要視すべきだ」とも述べた。

 これまで「極刑にしてほしい」と死をもって償う覚悟を示してきた鈴香被告。この日は、髪を一つに結んで左側にたらし、黒いジャケットとズボン姿で出廷。弁護側の最終弁論の後、藤井俊郎裁判長に促され、証言台に立った最終意見陳述では「米山さん一家には、大事な家族を奪ってしまい申し訳ない。地域の皆様にも不安、恐怖を与え申し訳ありません」と抑揚のない小さな声で謝罪。だが、彩香ちゃんへ向けた言葉はなかった。

 一時は「判決で娘を殺害したと認定されたら多分控訴する」などと供述したり、公判中、日記に「(豪憲君の両親が)なんであんなに怒っているのか分からない。まだ子どもが2人もいるじゃない」と記すなどしていた鈴香被告。判決は3月。雪の中、戻った拘置施設で、1人で何を考えるのだろうか。


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