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2007/09/09(日)
人横綱の重圧 白鵬のまれた…大相撲秋場所初日
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朝青龍(26)=高砂=の出場停止で一人横綱となった白鵬(22)=宮城野=が黒星スタートを喫した。過去、6戦全勝の西小結・安馬(23)=安治川=の豪快な首投げで敗れる大波乱。早くも一人横綱のプレッシャーを感じさせる内容は今後に大きな不安を感じさせた。新大関・琴光喜(31)=佐渡ケ嶽=は、平幕の栃乃洋(33)=春日野=を上手出し投げで破り白星スタートを切った。
白い背中にべっとりとついた土。乱れたまげ。白鵬が“一人横綱”の重圧にのみ込まれてしまった。過去6戦全勝と得意としている安馬に立ち合いから苦戦。何とか左四つで組み止めたが、前に出たところを首投げで一回転させられた。
容赦なく襲ってくる座布団のシャワー。「いつも十分(な体勢に)になったら自分が負ける。勝負だから『一気にいかないと』と思ってしまった。それを直さないとね」目を閉じながら黒星発進を冷静に受け入れた。
どうしても勝たなければいけなかった。場所前に起きた“朝青龍騒動”。国技の頂点に立つ横綱への世間の信頼が、大きく揺らいだ。横綱2場所目。信頼回復の使命が、22歳の青年に重くのしかかる。それでも「自分のけいこを頑張るだけ」と、夏巡業では、先頭に立ってけいこを盛り上げた。たとえ疲れがあっても、必ず土俵に顔を出した。
迎えた初日。朝げいこ後は「もう慣れた。これもいい経験」と笑顔を見せた。だが、本場所の土俵は、巡業とは違っていた。「緊張していたね。落ち着きがなかった」大いちょうを結いながら床山の床蜂さん(53)は、動揺する心を感じていた。北の湖理事長も「横綱として早く優勝したい意識があるのだろう」と話した。
品格と力量を求められるのが横綱。朝青龍が“暴走”する中、ファンを大切にし、サインにも快く応じる白鵬の品格は問題なし。だからこそ今場所は力量を見せなければいけない。大関と違い、常に優勝が求められるのが、横綱。しっかりと気持ちを切り替え、連敗だけは避けなければならない。
◆安馬、横綱戦2勝目 初めて白鵬を破り涙がにじんだ。「いつも負けてばっかりで後がなかったから気合を入れていった」首投げで横綱戦では06年初場所に朝青龍を破って以来となる2度目の白星を決めた。今場所は尊敬している朝青龍が不在だが「人のことは考えていない。自分の人生がかかっている。自分のためにやるだけです」と感傷を断ち切っていた。
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