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2007/06/02(土)
脱北者か 男女4人保護 青森・深浦港に国籍不明船
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青森県深浦町の深浦港で2日午前、男女4人が乗った国籍不明の船が入港しているのを住民が見つけ、110番した。4人は「北朝鮮から来た」などと話しており、北朝鮮からの脱北者の可能性が高いとみられる。青森県警と第2管区海上保安本部(塩釜)が不法入国の疑いがあるとみて事情を聴いている。
調べに対し、4人は朝鮮語で話し、「生活が苦しく、北朝鮮から逃げてきた」と説明。毒薬を所持しており、「北朝鮮当局に見つかったら、飲んで死のうと思っていた」などと話しているという。
深浦町役場によると、国籍不明船はこの日午前6時半から同7時ごろにかけて入港。乗っていたのは20〜60歳代の男性3人、女性1人で、漁協関係者に対し「新潟はどこだ」などと話したという。
船は全長7〜8メートル。木造で屋根がないが、モーターは付いており、燃料や食料を積んでいたが、武器などはなかった。衰弱した様子はなく、男性1人はジャンパーと少し汚れたズボンを着用、日焼けしていたという。
県警は船を鰺ケ沢署に運び、実況見分して船内を調べている。
公安当局などによると、北朝鮮からの脱北者が日本沿岸に現れた例は極めてまれという。4人が日本への「政治亡命」を求めているとの情報もある。
海上保安庁幹部は「北朝鮮から遺体が流れ着くケースはしばしばあるが、脱北者の『ボートピープル』は聞いたことがない」と話す。
日本へのボートピープルは昭和50年代後半から、ベトナム難民や日本への不法入国を目的とした中国の経済難民らが、九州などに流れ着いたケースが多い。
海保の関係者によると、南方からは黒潮に乗って流れ着くため長距離の航海も容易だが、北朝鮮から日本に向かう場合は海流の向きが違い航行は難しいという。
4人の取り扱いについて、政府は当面、保護を続けながら、今後の対北朝鮮外交も考慮しつつ、対応策を検討する。
政府内では、最終的には人道問題として4人の意思を尊重することになるとの見方が強い。
過去に中国などで発生した日本の在外公館などへの脱北者の駆け込み事件では、現地国の政府との調整や、脱北者が出国を希望する第三国政府との調整などで、外交的な配慮が求められた。2002年には中国・瀋陽市の日本総領事館から中国警察が亡命希望の北朝鮮住民5人を連行し、日中間の外交問題に発展したケースもあった。
しかし、今回、4人は最初から日本国内で日本政府の保護下にあるため、「過去のケースに比べると、さほど複雑ではない」(政府筋)とみている。4人の身元や第三国への出国希望の有無の確認などを進め、対処方針を決める考えだ。
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