|
2007/02/06(火)
線路に女性、はねられ重傷 救助の警官重体 自殺志願?保護しようと
|
|
|
6日午後7時半ごろ、東京都板橋区常盤台の東武東上線ときわ台駅構内の線路上で、池袋発小川町駅行き下り急行電車(10両編成)に男女2人がはねられた。男性は駅近くにある警視庁板橋署常盤台交番勤務の宮本邦彦巡査部長(53)で、線路内に入った同区内の無職女性(39)を保護しようとして事故に遭った。宮本巡査部長は頭の骨を折っており、意識不明の重体。女性も腰と両足首の骨を折る重傷を負った。
調べでは、女性はときわ台駅から池袋方面に数メートルのところにある踏切から線路内に入り、ときわ台駅方向に歩行。宮本巡査部長は追いかけて線路内に入り、女性をホーム下の空きスペースに避難させようとしたが、ホームに入ってきた電車にはねられた。
電車の運転士は「警笛を鳴らし、急ブレーキをかけたが、間に合わなかった」と話している。急行電車はときわ台駅を通過する予定で、事故当時は時速60キロ程度で走行していたとみられる。
2人は約50分後に現場から病院に搬送された。踏切には警報機と遮断機があり、女性が線路内に入る際、遮断機は下りていたという。
常盤台交番から踏切までは約20メートル。宮本巡査部長は午後7時ごろ、線路内に入った女性をいったん保護。交番まで連れて来たが、逃げ出した女性が再び線路内に入ったため、追いかけ、事故に遭った。
女性は精神科に通院していた。
この事故で東上線は池袋〜小川町間で上下線が運転を見合わせ、約2時間後の午後9時半ごろ、運転を再開した。
◇
■電車に「止まってくれ」
自分で遮断機をあげ、線路に入る女性、追いかける制服の警察官−。事故は帰宅ラッシュ時に起きた。帰宅途中のサラリーマンは目の前で起きた悲劇に絶句した。
カン、カン、カン…。女性は交番付近で宮本巡査部長を振り切ると、警報機が鳴り出した踏切に走り出した。「危ない。こっちに来い」と必死に追う宮本巡査部長。女性は自ら遮断機をあげ、線路内に入った。
「止まってくれ。止まってくれ」。宮本巡査部長は駅に進入してくる電車に向かって、手を激しく振りながら大声で怒鳴った。一方で、女性の肩をつかみ、必死に線路から引き出そうとする。
「間に合わない」と判断したのか、巡査部長がとっさにホームの下に女性を押し込もうとしたところで、急行が通過。2人の姿が目撃者たちの視界から消えた。
事故を目撃した専門学生の女性は「急行列車だったので、間に合わなかった。急ブレーキをかけたけど、かなり勢いがあって…」と話した。
板橋署によると、女性は事故30分前の午後7時ごろにも踏切内に侵入。それを通行人に教えられた宮本巡査部長が連れ戻した。その際、女性は「死んだっていい」と大声をあげたという。
この前後、付近でこの女性が携帯電話を見つめながら立ちつくす姿も目撃されていた。
巡査部長の人柄について、同署は「温厚でまじめな人」としている。
|
|
|
|