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2007/11/29(木)
森光子「放浪記」名物でんぐり返し封印
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女優・森光子(87)が29日、都内で行った主演舞台「放浪記」(2008年1月7日スタート、東京・日比谷のシアタークリエ)の製作発表会見で、1961年の初演以来絶やさなかった舞台上でのでんぐり返しを封印することを発表した。万が一のけがを心配した製作の東宝に頼み込まれ、渋々納得した森は「ひと言で申し上げられないほど複雑です。なるべく長くやるようにというお気持ちと受け止めたい」と、さみしげな表情を見せた。 森のライフワークである「放浪記」。その中でも、でんぐり返しは、主人公・芙美子が喜びの表現として行った、舞台のハイライトの一つだった。作品の上演回数は昨年10月までで1858。初期には3回転しており、通算では2800回以上回っていた。 森は日々のスクワットも続けており、体力にはまだまだ自信があるが、来年は地方を含めて100回以上を予定していることもあり、東宝からストップがかかった。東宝の演劇担当・増田憲義専務(61)は「今や日本の宝である森さんを預かる立場として社会的責任がある。危険もあるのでやめてほしいと要請しました」と無念の表情で説明した。 数日前に要請を受けたという森は「ひと言で申し上げられないほど複雑です。“さみしい”で済むものでもないし…」と肩を落とした。時には五輪の体操選手を見て動きに磨きを掛けてきた思い入れのあるシーン。観客の期待度も高いだけに「ある日、突然やってしまうかもしれません」と未練たっぷりだった。 共演の黒柳徹子(74)は「あんなにでんぐり返しをした女優は世界中探してもいない。パンダ以上に貴重です」と偉業をたたえた。演出の北村文典氏によればでんぐり返しに代わるアクションは行わないという。 「放浪記」は08年に上演1900回を超え、単独主演での公演回数は国内ではダントツの1位だ。2000回も視野に入るが、森は「目指すつもりじゃなかったんですけどねぇ」。思い入れのあったでんぐり返しを封印し、大台を通過点にまだまだ歩みを止めるつもりはない。
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