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2007/01/04(木)
20歳女子短大生バラバラ遺体 21歳予備校生の兄が殺害
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東京都渋谷区幡ケ谷、歯科医・武藤衛さん(62)方の3階で3日夜、長女の短大生・亜澄さん(20)が手足など十数か所をバラバラに切断された遺体で見つかり、警視庁は4日、死体損壊容疑で、兄で予備校生の武藤勇貴容疑者(21)を逮捕した。調べに対し、勇貴容疑者は「(亜澄さんから)『夢がない』となじられたので殺した」と供述。亜澄さん殺害についても認めているという。エリート歯科医師一家を襲った惨劇は最悪の結末を迎えた。
「夢がない」−。妹からの言葉に、医師を目指し何年も勉強を続ける兄はキレてしまった。調べに対し、勇貴容疑者は「妹に『ゆうくん(勇貴容疑者)は自分が勉強しないから成績が悪い、と言っているけど本当は分からないね。わたしには夢があるけれど、ゆうくんにはないね』となじられ、頭にきて殺した。遺体を切り取り、部屋に隠した」と供述している。
調べでは、勇貴容疑者は昨年12月30日午後、自宅で亜澄さんの遺体や頭部や両肩、腹部や両脚などを切断した疑い。直前に自宅で殺害、台所の包丁と高校の授業で使ったのこぎりで切断したという。
翌31日には、衛さんに「友人からもらった観賞魚のサメが死んだので、においがしても部屋を開けないで」と話し、同日午後2時すぎ、予備校の合宿で1月11日までの予定で神奈川県葉山町に向かった。「(遺体は)合宿が終わってから捨てようと思っていた」と供述している。
遺体は二重、三重にしたごみ用ポリ袋4袋に分けて口を結んでいた。自室クローゼットから3袋、同キャビネットから1袋が見つかった。自宅内をふいたとみられるなど隠ぺい工作をしていた。
勇貴容疑者は大学歯学部を目指し予備校に通い、31日から予定通り合宿に参加。捜査1課は4日未明、葉山町の合宿先から任意同行した。当初は「何もしていない」などと話していたが、取り調べ中には「すみません」と泣きながら謝罪したという。
30日午後3時ごろ、妻(57)が亜澄さんと会話。衛さんは同日外出し、午後11時ごろ帰宅しており、捜査1課はこの間に犯行に及んだとみている。
武藤さん方は夫婦と大学生の長男(23)、勇貴容疑者、亜澄さんの5人家族。妻と長男は30日に、衛さんは31日深夜に福島県内に帰省。2日深夜に3人で帰省先から帰宅した。妻が3日午後9時ごろ異臭を感じ遺体を発見した。
武藤さん方は夫婦とも歯科医で1階が医院、2、3階が住居。現場は京王線幡ケ谷駅西数百メートルで、マンションや民家が建ち並ぶ住宅街。一時、周辺には報道陣が殺到し騒然とした雰囲気となった。
◆「まじめ」評判いいも学業は思い通りにいかず…
「優しい感じ」「あいさつがよくできる」−。勇貴容疑者に関し、自宅付近では良い評判が聞かれる一方、学業が思い通りにいっていなかった側面も見え隠れした。
勇貴容疑者は都内の有名私立高校を卒業し、通常ならば、次が4回目の受験。昨年4月から通っていた医学系の予備校では、理事長が「私立の歯学部を目指していた。早めに(願書を)出すよう指導しているが、彼は年をまたいでしまった」と話した。志望校を決め、早ければ願書も提出済みのこの時期、勇貴容疑者は未提出だったという。
「性格的には、まじめでおとなしいという話しか入っていない。カッとなって声を荒らげたとも聞いたことがない」と同理事長。友人の輪の中に加わることも多かった。別の関係者によると「(歯科医院の)後を継ぎたい」と話していたという。
自宅の近所に住む男性(65)によると、武藤家は衛さんの父の代から続く、評判のいい歯科医院。衛さんはかつて「警察の監察医の仕事なんかもしていたようだ」と言い、妻と夫婦で治療に当たっていた。
勇貴容疑者の兄は大学の歯学部に在学中。家族仲は良く、昨年11月にも家族が車で出かけるところを見たと言う。しかし12月末、勇貴容疑者とすれ違ってあいさつを交わしたときは「髪が伸びていた。別人かと思った」と話した。
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