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2006/07/07(金)
王監督元気 見舞いの工藤を一喝
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胃の腫瘍(しゅよう)を摘出する手術を受けるため入院中のソフトバンク・王貞治監督(66)が7日、見舞いに訪れた巨人・工藤公康投手(43)を叱(しか)った。同投手は6日の中日戦(東京ドーム)で3回7失点。この日2軍降格が決まったばかりだった。またチームの試合をCS放送でチェックするため病室も移動した王監督。入院中でも元気いっぱいだ。
この日昼すぎ、東京・新宿区の慶応病院に王監督を見舞った工藤は、頭をかきながら出てきた。「“何やってるんだ”って怒られました」。工藤によると入院2日目の王監督はいたって元気。6日の巨人―中日戦もテレビ観戦して、工藤が火だるまになった場面をしっかりと見届けたという。
「ダイエー時代からの恩師ですから。巨人のことも心配してくれてありがたいですね。おまえも頑張れと励まされました」。古巣・巨人は苦戦を強いられており、工藤はかつて同じチームの一員として戦った。入院中とはいえ黙ってはいられなかった。それだけ気力、体力とも衰えてはいないということだった。病院に詰めている球団関係者によると、病室でもテレビやインターネットで球界の情報は常にチェック。もちろん、自らのチームについては可能な限りの注意を払っている。
この日午前中には、南側の病室に引っ越しも済ませた。CS放送のアンテナを取り付けるため、方角や障害物など必要な条件を満たす病室へと移ったのだ。8日にはアンテナが設置され、ソフトバンクの全試合が視聴できるようになる。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の期間中も、パソコンでマネジャーに電子メールを送り、選手、コーチに転送させていた。今回も同じ方法で気になる部分を指導する。
WBC期間中は米国遠征などで目が届かなかったが、今回は違う。和田も「逆球とかチェックされますね」と、パソコンでの“指導”に期待する。試合中の情報伝達は禁止されているが、試合前後のミーティングなら問題ない。5月には孫正義オーナーから、テレビ電話付き携帯電話をプレゼントされており、これを使えばミーティング参加も可能だ。
胃の腫瘍摘出手術のため、休養を発表した5日の会見でも「一番好きな野球から離れるのは残念だし、寂しい」と話していた。現場からは一時的に離れることになったが、工藤を叱り飛ばすほど気力は充実している。入院中でも野球人であることに変わりはない。王監督や病院でも戦いを続けている。
≪精密検査スタート≫王監督は再来週に予定される手術に向けた精密検査を開始した。検査は午前8時からと午後の2度。肉体的な負担の少ない腹腔(ふくくう)鏡下胃手術が可能かどうかなど、胃を中心にその周囲まで約1週間かけ検査する。午後3時すぎに報道陣に対応した球団の木村広報部長は「検査の内容は言えない。ただ、すべて必要な検査」と説明した。
■ミスターが電話で王監督激励!2年前と逆、ONのきずな健在
巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(70)が7日、都内で開かれたパーティーに出席し、胃の腫瘍の摘出手術のため入院中のソフトバンク・王貞治監督(66)を電話で励ましたことを明かした。王監督の負担にならぬようお見舞いは控えるものの、ONのきずなは健在だ。
NからOへ、直接のエールが送られていた。長嶋さんはこの日、長船騏郎・全日本アマチュア野球連盟副会長(82)の叙勲を祝う会に出席。パーティーに出席した関係者に対して「(王監督と)電話で話をしました。『がんばってくる』と言っていました」と明かした。さらに帰り際に報道陣から自分の状態を問われると「(体調は)ぼちぼちです」と、笑顔も見せた。
関係者によると、王監督の休養と入院の発表を知ったミスターはいてもたってもいられず「(入院先の)病院へ行く」と声を上げた。だが長男の一茂氏(巨人・球団代表特別補佐)はじめ周囲から「いま会いに行けば混乱を招いて、結果的に王監督の負担が増す」と説得され、お見舞いを自重。代わりに直接電話をかけて激励したという。
今回、王監督の入院を聞いた際には「逆境に強い王さんですから、十分な治療をして、復帰してくれると信じています」というコメントを発表したミスターだが、2年前は逆の立場だった。04年3月、脳梗塞(こうそく)で倒れた長嶋さんに、王監督は「見舞いに行くとミスターはかえって無理をしてしまう。回復に全力を注げるように、周りも状況をつくってあげよう」と、自らが動かないことで周囲に自重を求めていた。
「後でこうしておけばよかった、とか悔いは残したくない。長嶋さんもそうだったろうけどね」と言い残して入院した王監督の脳裏には、回復を信じてリハビリを続ける長嶋さんの姿があったはず。盟友であり、最大のライバルだったONは、病という共通の敵の克服へむけて、再び強いきずなで結ばれた。
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