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2006/07/23(日) <プロ野球球宴>全セ、乱打戦制し連勝 MVPは藤本
雨で1日順延されたプロ野球の2006サンヨーオールスターゲーム第2戦は23日、宮崎市のサンマリンスタジアム宮崎に2万9777人の観客を集めて行われた。オールスター戦の九州での開催は01年の福岡ドーム以来で、宮崎での開催は初めて。シーソーゲームを全セが八回の藤本の適時打で勝ち越し、昨年から4連勝、通算の対戦成績を65勝73敗8分けとした。最優秀選手には、決勝打の藤本が選ばれた。
○全セ7―4全パ●
 計29安打の乱打戦を全セが制した。二回、阿部の右前適時打で先制。四回にはアレックスの左越え2ラン、六回にはシーツの中越えソロとアーチ攻勢。同点の八回2死二、三塁から藤本の2点適時打で勝ち越した。全パは三回に森本の2ランで逆転、五回にも森本、西岡の重盗など多彩な攻撃を見せたが、及ばなかった。
 ○…表彰選手…○
 ☆最優秀選手 藤本敦士(阪神)
 ☆優秀選手 シーツ(阪神)▽アレックス(中日)▽森本稀哲(日本ハム)▽中島裕之(西武)

試合後、全セの岡田監督は表情こそ変えながったが、内心はほくそ笑んでいただろう。シーツが六回に同点アーチを放ち、八回に登板した藤川は打者3人をピシャリ抑えた。そして、藤本が勝ち越し適時打を打ってMVP。お祭りの舞台で阪神勢が大暴れし、宮崎のファンを沸かせた。
 「思い切っていこうと思った」とは藤本。八回2死二、三塁の場面で、相手投手は速球自慢の馬原だ。1球目のボール球を見て「速い球だなと思ったので、バットを短く握り直した」。2球目の152キロの直球を流し打って左前適時打とした。
 実は、この回の1死からシーツが出塁した直後、ベンチで岡田監督から声を掛けけられた。「ええ場面で回って来そうやな」。すると、近くにいた落合コーチから「お前の給料はいくらや?」と聞かれ、金額を答えると「(MVPを)取ってこい」と言われたという。それで、緊張感から解放され、無理に引っ張らない普段通りの打撃ができた。
 MVPが決まると、藤本はベンチの選手たち一人一人と握手を交わし「一番楽しめた球宴。いい投手の直球をしっかり打てるようになった」と自信をのぞかせた。優秀選手に選ばれたシーツは「この調子をみんなが後半戦に出していければいい」。中日との首位争いを繰り広げる阪神にとって、球宴での選手たちの活躍は後半戦に向けての弾みになっただろう。

◇新庄「パフォーマンス」の後継者は森本?
 今季限りでの引退を表明している日本ハム・新庄が、「パフォーマンス」の後継者として期待をかけているのがチームの後輩、森本だ。初出場となった今回の球宴。第1戦ではアニメのキャラクター「ピッコロ大魔王」の特殊メークでグラウンドに現れ、この日はタレント・加藤茶さんがコントでかぶるような「かつら」をかぶって登場し、ファンを沸かせた。
 しかし、森本がこの日最も球場を沸かせたのは、パフォーマンスではない。プレーでだ。
 まずは打撃。三回無死二塁から、広島・黒田の直球を左翼席に運ぶ逆転2ラン。本人は「打てると思ってなかった。1打席で代えられないように必死でした」と謙そん気味に振り返るが、打った瞬間に本塁打と分かる当たり。どんぴしゃりのタイミングでとらえた証拠だ。
 お次は足だ。五回1死から俊足を生かし二塁内野安打で出塁して、続く西岡の右前打で勢いよくスタートを切って一気に三塁に到達。そして、その西岡が二盗を仕掛けたことに気を取られたセ・リーグバッテリーのすきをつき全力疾走。見事な本盗を決めた。
 新庄はパフォーマンスの極意について「プレーが伴わないと、ただの目立ちたがり屋になってしまう」と語っている。その極意を見事に実践した森本。「後継者」としての資質十分であることを、大舞台で証明した。

○…名勝負を繰り広げる阪神・藤川と、オリックス・清原の対決が、球宴で実現。藤川が救援に立った八回、2死無走者で「代打清原」。「オールスターは自分がひと回り大きくなる舞台。真っ向勝負でバックスクリーンにホームランを打たれたい」と清原との勝負を楽しみにしていただけに、すべてこん身の直球。4球目、151キロの直球で清原のバットが空を切ると、マウンド上で白い歯を見せた。「参った。こうやって話すのが精いっぱいなくらい、悔しい」と清原。対照的に藤川は「マウンドで感極まった。自分の成長のためにもホームランを打ってほしかったんですが」と余裕たっぷり。


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