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2006/05/09(火)
JR新橋駅 憩い消えた「SL広場」 路上ライブなど排除
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東京都港区のJR新橋駅西口にある「SL広場」から、アーティストの姿が消えた。港区が3月、広場を道路法に基づく「道路」として告示、露天商とともに道路交通法による取り締まりの対象となったためだ。アマチュア音楽家や手品師などが集まり、会社員たちが輪になって盛り上がる風景は、サラリーマンの街・新橋の象徴だった。それだけに、柔軟な対応を望む声も上がっている。 国土交通省によると、駅前広場は不特定多数の人が通るため、道路に認定されているケースが多い。ところが都の再開発事業で71年に整備されたSL広場は、都とJR東日本が所有する土地の境界が不明確だったため、道路に認定されていなかった。このため取り締まる法律もなく、露天商の営業も放置されてきた。 都とJRの交渉で03年に境界が確定。今年3月に広場の3分の2を占める都の土地が、港区に無償譲渡された。同区はその直後、広場を「道路」として告示。SL広場での露天商取り締まりを求める声が強かったことから、警視庁愛宕署に取り締まりの徹底を要請した。広場前のニュー新橋ビル商店連合会の長尾武次会長(72)は「これまでSL広場は無法状態だった。きちんと許可を取ってやるべきだ」と話す。アーティストたちも露天商とともに排除された。 十数年前にデビューし、3年前からSL広場でライブを続け、「新橋の歌姫」と呼ばれているシンガー・ソングライターの有坂美裕(みひろ)さんは「歌う方も聴く方も落ち着いた時間を共有できるいい場所だった。理解を得て使えるようになれば」と言う。新橋の若手店主の飲食店ネットワーク作りを進める鹿取啓介さん(35)も「路上ライブは新橋の新文化だったので残念だ。ライセンス制導入など何か方法はないだろうか」と話す。 港区都市施設管理課の榎本和雄課長は「アーティスト個別に許可は出せない。地元とアーティストが連携し、地域活性化を目的としたイベントなどで使用するなら、検討の余地があるのだが」と説明している。
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