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2006/05/13(土)
<サッカー>日本代表、W杯前にVならず スコットランド戦
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サッカーの国際親善試合、キリンカップ最終戦が13日、5万8648人の観客を集めて埼玉スタジアムであり、日本代表は0―0でスコットランド代表と引き分けた。日本は1分け1敗(勝ち点1)で2年連続の最下位。優勝は1勝1分けのスコットランド(同4)で、1勝1敗のブルガリア代表(同3)が2位。6月9日に開幕するワールドカップ(W杯)ドイツ大会に向けた強化が仕上げの段階となった日本代表は、国内組のみで臨んだ国内最後の国際Aマッチを勝利で締めくくることができなかった。W杯登録23選手は15日に東京都内で発表される。 △日本0―0スコットランド△ 互いに無得点のまま引き分けた。5バック気味に引いて守るスコットランドに対して日本が終始攻め続けたが、前半43分、ゴール前での小野のシュートがGK正面を突くなど、決定力を欠いた。後半終了間際にも三都主の2度のFKがいずれもGKに阻まれ、相手を上回る15本のシュートを放ちながら、最後までゴールを割れなかった。 ▽日本・ジーコ監督 最後まで自分のため、観客のため戦う意思は感じられて満足している。日本で最後の試合というより勝ちたかった。 ▽スコットランド・スミス監督 守りに照準を合わせた試合だったが、GKと守備陣がうまく守った。無失点の引き分けに持ち込めて良かった。日本は運がよければ得点できたと思う。 ◇日本はW杯までに、緩急をつけた連係を高める必要 W杯での戦いを想定するには十分な展開であった。まず相手が、がっちり守ってきたこと。リードを奪われた場面で相手が安全第一を選択したことが想定できる。そして、スコットランドの大半の選手が、日本が1次リーグ初戦で対戦するオーストラリアと同様、イングランドでプレーする選手で、身体能力が高かったこと。 その厚い壁をどう崩すかは、日本にとっては絶好のシミュレーションで課題を残した。 日本は15本のシュートを放ったものの無得点に終わった。シュート力以上に、攻めに緩急がなかったのが気になる。相手に奪われないように中盤で丁寧にパスを回して、サイドに展開、ゴール前のパスと組み立てはできた。ジーコ監督は「これだけチャンスを作った。ゴールが決まらないのは精神的な部分が多い」と指摘する。 しかし、同じテンポでは相手が間合いを詰めやすく、日本がシュート態勢に入ると、相手は鬼気迫る勢いで迫った。この状況では、シュートを冷静に放つのはなかなか難しく、多くがブロックされた。 ただ、ヒントになるプレーもあった。前半43分、左サイドから三都主が直線的に早いパスを入れて、小野がGKと正対する決定的場面を作った。ゆっくりと攻めてきた三都主が一瞬でギアを上げたことで、相手の対応を遅らせることができたのである。すると、余裕を持ってシュートの態勢に入ることができる。 日本はW杯までに、緩急をつけた連係を高める必要がある。ジーコ監督は「W杯への準備は、23人の選手リストを提出してから本格的に始まる」と話したことがある。中心となる中田英、中村が合流して、どう攻撃を熟成させるか。本大会での成績は、本当に最後の調整期間にすべてがかかることになった。 ◇W杯1次リーグ突破、道のりは険しい…? W杯へ向けた国内での代表戦がすべて終わった。ジーコ監督はW杯登録23選手の選考はこれまでの実績を重視すると公言しているが、選手たちがこの2試合を国内組に与えられた最後のチャンスと思うのは当然だ。それだけに選手たちの表情に明るさはなかった。 交代出場した佐藤寿は前線で好機を作ったもののシュートを打てずに終わった。「点を取ってこいと送り出されたので満足できない。代表から外れたからといってモチベーションが下がるわけではない」と覚悟を決めた発言。フル出場した玉田の表情もさえない。「(ジーコ監督の)期待は感じます。自分のよさを見せられたとは思うけど、すべては見せてない。おれはまだまだできる」と自らに言い聞かせるよう。 4バックでの攻撃的MFとしては代表初先発だった遠藤。表情にいつもの明るさはない。「この2試合がすべてではない。今までの3年半の中で、しっかりアピールできた。どきどきはしていない」と強気に話した。チーム最多の5本のシュートを放つ一方、不用意なミスでボールを失う場面もあった小笠原は無言のまま立ち去った。 ジーコ監督は試合後会見で「4年間数多くの選手と一緒にできた。欧州組も含めてこれまでの貢献度、生産性を公平な形で考えて決めたい」と改めて語った。すでに胸の内にリストは完成しているのだろう。ロッカールームでは「漏れてもモチベーションを落とさずに」と選手たちに声をかけたという。 ○…日本ベンチが肝を冷やしたのは、後半開始直後。相手選手と交錯した中沢が頭を強打し、そのままこん倒した。担架でピッチ外に運び出された後、立ち上がったものの、まだ足元がおぼつかない。結局、頭をタオルで押さえたまま退いた。9日のブルガリア戦では村井が左ひざのじん帯を断裂する重傷を負って離脱したばかり。相次ぐ選手の負傷に、ジーコ監督も心配そうだった。
★中沢は軽傷 サッカー日本代表のDF中沢佑二(28)=横浜マ=は、13日のスコットランド戦の後半開始直後に相手選手との接触で右まぶたを切り、出血してそのまま退場した。1針縫ったが、脳しんとうなどの症状はないという。
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