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2006/04/11(火)
めぐみさん夫は拉致韓国人 北に全面解決迫る DNA鑑定 政府、確率99%
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政府は十一日、一九七七(昭和五十二)年に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=拉致当時(13)=の夫が、七八年八月に韓国・仙遊島で拉致された高校生、金英男(キム・ヨンナム)さん=同(16)=だった可能性が極めて高いとするDNA鑑定結果を発表した。政府は同日、この結果を北朝鮮側にも伝え、拉致事件の全面的な解決を強く迫った。韓国政府にも拉致事件での連携を求めた。 鑑定結果を発表した安倍晋三官房長官は、「今回のDNA鑑定により、拉致事件が国際的に広がっている事実がはっきりした」と述べ、解決へ向け国際的な連携を強めていく考えを示した。 政府は二月中旬、外務省を中心とする調査団を韓国に派遣。拉致被害者の少年五人のうち、金英男さんら四人の家族から血液、一人から毛髪の提供を受けた。これらを神奈川歯科大と大阪医科大の二カ所に持ち込み、めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさん(18)のDNAサンプルと照合。神奈川歯科大は99・5%、大阪医大は97・5%の確率で、金英男さんとヘギョンさんが父子関係にあることを示す結果が得られた。 「めぐみさんの夫だった」と名乗るキム・チョルジュン氏はDNA鑑定の材料となる毛髪などの提供を拒否したため、金英男さんと同一人物であるかは確認できないが、関係者は「顔などの特徴は一致している」と証言しているという。 今回のDNA鑑定は、韓国人が北朝鮮工作員に拉致された事件であり、日本の警察権は及ばないため、あくまで拉致被害者家族会などの要請を受けて「日朝協議のための外交上の情報収集活動」として行われた。 政府は公表に先立ち、めぐみさんの両親である横田滋、早紀江さん夫妻らに鑑定結果を説明。北朝鮮に対しては、十一日午後に都内で行われた外務省の佐々江賢一郎・アジア大洋州局長と金桂寛外務次官の会談冒頭に伝えた。これに対し、金次官は「注意深く検討し、考慮したい」と述べるにとどまった。 鑑定結果が、六カ国協議の首席代表による断続的な協議にあわせる形で発表され、安倍長官は「金桂寛外務次官に直接会って事実を伝え、問題解決を求めることができたのはタイミング的によかった」と述べた。 ◇ ■横田滋さん 日韓で救出運動を DNA鑑定の結果について、内閣府で外務省アジア大洋州局の梅田邦夫参事官らから説明を受けた横田めぐみさんの父、滋さん(73)は「鑑定の結果、高い数値が出たので間違いない。国際結婚は多いし、相手が韓国人であれ日本人であれ関係ありません。今後、北朝鮮に対しても拉致問題解決の突破口になる」と報道陣に語った。また、今後の対応については、「いずれ韓国の家族とも会い、手を携えたい。日本、韓国双方が協力して救出運動が起きるよう働きかけたい」と述べた。 母、早紀江さん(70)は、めぐみさんの夫の可能性が極めて高いことが分かった金英男さんの母に対して、「だれも経験したことのない大変な人生を送り、私たちと同じ思いでしょう。『希望を捨てないで』といいたいですね」と気遣った。 早紀江さんらは米下院の公聴会で今月二十七日(現地時間)、拉致問題について証言することになっており、今回のDNA鑑定の結果は“追い風”になりそうだ。
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