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2006/04/10(月)
「過去最悪の事故」 船会社、有効策なく苦慮 鹿児島・高速船衝突
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9日起きた高速船「トッピー4」の衝突事故は、高速船を運航する全国の船舶会社にも大きな衝撃を与えた。衝突の原因とされるクジラを回避する有効策がないことから、各社とも頭を抱えている。
「これだけ事故が続発すれば、高速船存続の議論も出てくるかもしれない」。今年に入りクジラとみられる4件の衝突事故が相次いでいる「ビートル」を運航するJR九州高速船の幹部は、今回の影響の大きさを懸念。新潟―佐渡間で高速船を運航する佐渡汽船も「過去最悪の惨事が起きてしまった」と、衝撃を隠さない。
事故が相次ぎながら、抜本対策を打ち出せない現状も、各社の苦悩を深めさせる。JR九州ではビートルにクジラが嫌がる音を出す水中スピーカーを取り付けたが「逆に気が立ったクジラの攻撃対象になる可能性もある」として、現在は装置を停止するなど、対応も明確には定まらない。
「減速で衝突の衝撃を緩和するしかない」というのは博多―壱岐・対馬で高速船を運航する九州郵船の万谷住雄運航管理者。最高速度(80キロ)の約10キロ減速で衝突の際の衝撃力は約25%軽減されるという。水産総合研究センターも「時速約10キロで泳ぐクジラが80キロ近い高速船を避けるのは難しい」と指摘する。
しかし、減速走行は「速さが売りの高速船の自殺行為」(東海汽船)。トッピーと航路が同じコスモラインの大村五十夫業務営業課長も「40キロ以上でないとフェリーと変わらない」と困惑している。
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