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2006/03/08(水)
<ボクシング>亀田興毅が六回KO勝ち、10戦10勝
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見たか! これが亀田のケンカKOや! プロボクシングWBA世界フライ級4位“浪速の闘拳”亀田興毅(19)=協栄=が8日、東京・両国国技館でWBC世界フライ級13位のカルロス・ボウチャン(25)=メキシコ=に6回2分20秒、KO勝ちし、9月にも世界へ挑戦する可能性が急浮上した。ローブロー気味の反則スレスレのケンカボディーで相手を倒し、6戦連続KOでデビュー10連勝(9KO)。5月下旬の次戦を突破すれば、いよいよ世界ベルトに挑む。(観衆8000)
亀田は怒とうのボディーでボウチャンの胃袋をえぐった。6回だ。体が「くの字」になった敵に牙をむいて襲いかかり、反則スレスレのケンカパンチを下腹部へ3連発。トドメは左ボディーだ。プロアマ通算151戦で一度もダウンのないメキシカンに、初めての10カウントを聞かせた。
ゴング直後、ボウチャン陣営は「ローブローだ」と猛抗議。父・史郎さん(40)も飛び出し、リング上は混乱した。闘拳は「反則やったら立って来いや!!」と抗議を完全に無視し、堂々と勝ち名乗りを受けた。
試合後はマイクを手に「ストレスたまっとる人もいると思うし、景気も悪いから一緒に叫んでスッキリしようや」と観衆8000人を総立ちにさせ「ヨッシャー! オラァ!」の雄たけび。「気持ち良かったわぁ」。尊敬する横綱・朝青龍が陣取る東支度部屋の奥座敷。九重親方に贈られた大座布団に腰を下ろし、2006年の初陣を笑顔で締めくくった。
世界戦以上の舞台設定に、心臓が高鳴っていた。あこがれの両国国技館で歌手の大友康平さんがリングアナウンサーを務めた。しかも初のゴールデンタイムでテレビ中継。「プレッシャーあったな」。2月26日に弟・大毅(17)が23秒KOの鮮烈デビュー。「兄貴として負けてられへん」。長男の重みも硬さとなった。
手数で圧倒され、時折クリーンヒットする左は単発。うまくいなしてくる相手にてこずり、試合で初めて顔を腫らした。普通は焦りで空回りするが、この19歳は違った。KOを予告していた5回。突如、ノーガードに出て強烈なジャブを2発受けた。「今まで試合でパンチもらったことないやろ。自分がどれだけ打たれ強いんか見たかったんや」この戦法に真価が隠されていた。
「これが亀田家のボクシングや」有効打で敵を圧倒した内容に、史郎さんは合格点。当初は慎重だった年内の世界挑戦に「5月に良ければ9月に行こうか」とゴーサインを出した。照準はフライとライトフライ級の2階級。「世界王者になって最高の年にするよ。亀田の年や」大相撲の聖地に横綱級の雄たけびが響いた。
◆亀田 興毅(かめだ・こうき)1986年11月17日、大阪市西成区生まれ。19歳。小学4年で空手を始め、同学年で全国優勝。6年生からボクシングを始める。03年全日本社会人選手権フライ級で優勝。アマ戦績は16勝12KO・RSC1敗。03年12月にGツダジムからプロデビュー。05年4月に破格の移籍金3000万円で協栄ジムに移籍。同年8月に東洋太平洋フライ級王座を獲得。身長166センチの左ファイター。
◆ボウチャン激怒「意図的なローブロー」
敗れたボウチャンは、亀田が放った反則スレスレのフィニッシュブローを「意図的なローブローだ」と激怒。トレーナーで父のバルガスさん(51)も「WBCに提訴したい」と怒りをあらわにした。初回から足を使ってジャブを放ち、手数では上回った。だが、有効打に乏しく、アマプロを通じた152戦目で初のKO負けという屈辱を喫した。亀田と同じように父がトレーナーを務め、兄弟がボクサーで家族対決とも騒がれたが、結果は敗戦。「調子は良かった。次はメキシコで戦いたい」とホームでの再戦を訴えていた。
◆打倒バスケスに照準
亀田興毅に9月の世界戦が急浮上したが、ターゲットはWBA、WBCのフライ、ライトフライ級の全部で5人の世界王者となる。
中でも注目は、WBAライトフライ級王者のロベルト・バスケス(22)=パナマ=だ。4月29日にパナマで予定する3度目の防衛戦の相手は、亀田が昨年11月26日にTKOで倒したノエル・アランブレット(31)=ベネズエラ=。亀田親子は、アランブレットが勝てば「一気に挑戦したる」と掲げている。
フライ級はWBC王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(28)=タイ=が6月にタイで14度目の防衛を計画。同暫定王者のホルヘ・アルセ(26)=メキシコ=は4月8日に米ラスベガスで防衛戦が決定。ただ、両者は統一戦が義務づけられており、WBA王者ロレンソ・パーラ(27)=ベネズエラ=は進退が不透明。王者たちの今後が見えないため、現時点で亀田の世界初挑戦はライトフライ級で行われる公算が高い。
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