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2006/03/31(金) 巨人 開幕戦、大勝スタート 横浜、三浦が制球に苦しむ
エースが意地の完投勝利だ。球団最多となる7年連続開幕投手を務めた上原が、横浜打線を相手に8安打されながらも粘り強い投球を見せて2失点完投勝ち。2001年以来、自身5年ぶりの開幕戦白星を手にした。WBCで王JAPANを世界一へ導いた右腕が、原巨人の日本一奪回へ向けて全力投球する。息を大きく吐き出し、ミットをにらむ。9回2死二塁。集中力は途切れない。115球目、上原が躍動感あふれるフォームから、渾身(こんしん)のストレートを投げ込んだ。村田の打球は力なく左翼に浮いた。清水が捕球し、ゲームセット。19番は両手を突き上げ、大歓声に応えた。球団史上最多、セ・リーグ最多タイとなる7年連続開幕投手の栄誉。8安打2失点での完投勝利で、大役を見事に果たした。

 波乱の出だしだった。初回、佐伯のライナーが右ひざを直撃。苦痛の表情を一瞬浮かべるエースに、ベンチの不安がよぎった。さらに2回2死三塁、打者・三浦の場面で、まさかのボークを犯し失点を許してしまう。エースはマウンド上でほえ、怒りをあらわにした。「自分に対しての怒り。本当にもったいなかったから。明らかにボークだからね」だが、その後を修正できるのが19番の実力だ。115球のうちボール球はわずか25球と、抜群の制球力でテンポ良く打者を追い込んだ。特にインコースを果敢に突き、凡打の山を築いていった。「幅広くいかないとね。作戦通りかな、と」今季のG投の重要課題となる内角攻めで結果を残し、確かな手応えを口にした。

 新しい家族の存在が、背中を後押ししてくれた。3月20日の深夜、第1子となる長男が誕生した。上原が一報を受けたのは、米サンディエゴの宿舎。7回無失点の快投で、王JAPANを決勝に導いたWBC準決勝・韓国戦の翌朝のことだった。連絡が入った時は、まだ就寝中。寝ぼけて受話器をとったが、電話口で泣き声を聞き、熱い思いがこみ上げてきた。帰国するとすぐに病院に直行し、感激の対面を果たした。父親となって初めて迎えた開幕のマウンド。「いいお土産ができました」白星は赤ちゃんにささげる1勝となった。

 WBCを経て、あわただしく迎えたセの開幕。調整が難しい中での安定感は、精神力の成果だろう。「勝てて気持ちいい。それだけです」強いエースがその右腕で、強い巨人を先導していく。


■ヤクルト 古田新監督の初戦は白星 阪神は好機で打てず
こぶしを2度、大きく突き上げた。「ハラハラドキドキ。うれしさ倍増です!」。開幕戦での“兼任”初白星の味を聞かれ、ヤクルト・古田監督の声が上ずった。
 選手、監督としてチームを引っ張った。7番捕手で先発。石川の緩急を使った投球を引き出し、剛速球を持つ木田、五十嵐の2人には強気に内角を要求した。ラロッカが2度目の死球を受けると、厳しい表情でコーチと一緒にベンチを飛び出す場面もあった。
 「優勝目指して、積極的にいこう!」。試合前の監督のゲキに選手も燃えた。二回に主砲・ラミレスが先制弾で口火を切り、「(兼任をやるには)古田さんしかいない」と話す宮本は二塁にヘッドスライディングする適時二塁打。ケガでスタメン落ちした岩村も八回に代打で左前打を放ち、監督をもり立てた。
 29年ぶりの兼任監督。呼び名も“フルさん”から“監督”に変わった。監督としての重圧、孤独感があったのか、親しい選手に「(球場を離れたら)フルさんでいい」と漏らしたこともあったというが、初白星で肩の力も少しは抜けたはずだ。
 2000本安打達成のときは外野席に投げ入れた記念ボールだが「ファンにね。その方がいいんじゃないですか」と、メールマガジン会員にプレゼントすることを明かした。「今日は今日で忘れて、強い気持ちを持って頑張りたい」。まだ1勝。古田監督を中心に結束を固めた新生ヤクルトの戦いは、始まったばかりだ。


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