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2006/03/19(日)
王ジャパン、韓国粉砕し世界一に王手!福留殊勲の代打V弾
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3度目の正直だ!! 日本が準決勝で韓国を下し、WBC初代王座に王手をかけた。両軍無得点で迎えた七回一死二塁、福留孝介外野手(28)=中日=が値千金の代打2ラン。王貞治監督(65)のさい配が的中して、この回5点を奪い、結局6−0で宿敵に完勝した。決勝は、20日午後6時(日本時間21日午前11時)。アマ世界一のキューバと対戦する。
魂をこめた打球がサンディエゴの神風に乗る。息詰まる0−0の均衡を、力づくで破る右中間への大飛球。七回一死二塁、福留が放った代打2ランを見届けた王監督が、着弾と同時に渾身のガッツポーズを見せた。
「(福留は)調子はよくなかったから先発から外したけど、チャンスがあればと思っていた。韓国の投手がサイドに変わったので、あそこは福留君しかないと思って打席に送りました」
“世界の王”のさい配がズバリ的中だ。韓国と3度目の決戦。「2度負けているから」と、まずは打線改造に着手した。大会打率.105の不振の福留を外し、イチローを3番に。その一方で「きのう、きょうの練習はよかった」と福留の復調も感じつつあった。試合前には外野にいた福留に歩みより、両肩をもみながら「いい場面がきたらいくからな」。その約束が殊勲の一発を呼んだ。
「届け、届いてくれ!という気持ちだった。技術じゃない。気持ちで打ちました」。値千金の決勝2ランに福留自身も興奮していた。どん底から這い上がった男に勇気をもらった日本は里崎、代打・宮本、イチローのタイムリーも飛び出し“ラッキー7”に6安打を集中。一挙5点で試合を決めた。
「韓国に勝ちたいという気持ちがチーム全体にみなぎっていたよ」と、王監督は言う。その負けん気が、倍返しのリベンジにつながった。選手の様子を見て、決勝進出を信じて疑わなかった王監督は、準決勝第1試合前のキューバ−ドミニカ戦を視察。さらに、きょう19日(日本時間20日)のディナーも予約していた。首脳陣、選手、スタッフ、トレーナーら全員を集めて、総勢約60人の大決起集会をポケットマネーで開く。
この一丸ムードは、たとえ誤審があっても、もう断ち切れない。アマ最強のキューバが相手でも動じることはない。「過去にキューバと対戦した日本より、今回のチームの方が最強だと思っている。決勝まで来たことに自信を持って、思い切って自分たちの野球ができればチャンスはある」
最後に王監督は、高らかに世界一獲りを宣言。神風に後押しされた王ジャパンが、記念すべきWBC初代王者に上りつめる。
■上原 宿敵止めた、国際大会12連勝
大塚から手渡されたウイニングボール。上原は申し訳なさそうにしながら、右尻のポケットに押し込んだ。
「最後に一番いい投球ができた。この球場はホームランが出ないと聞いていたし、初球から大胆にいけた。打たれてもファウルかフライでアウトに取れると思った」
7回3安打8奪三振で無失点。絶対に負けられない一戦で、韓国の勢いを止めたのは上原の右腕だった。24打者中、初球ストライクが21人。無四球どころか3ボールは2人だけ。今大会5本塁打の李スンヨプは3打数無安打に封じた。「スライダーを多めにして内外角へ大胆に遊びながらいこうと里崎と話した。大成功でしたね」。決め球のフォークを意識させて直球、スライダーを絶妙に配した。韓国打線を翻ろうした86球。15日に決勝打を放った李鍾範(イ・ジョンボム)に「ベストの投手に自分たちの打線が崩された」と完敗を認めさせた。
これで国際大会は12連勝。その秘けつを「各国いろんな素晴らしい球場で気持ちよく投げられるから」と話した。どんな試合でも力を発揮できる頼もしい男。王監督も「本当に完ぺきな投球。快投だ。世界に(実力を)示したね」と舌を巻いた。大体大時代からメジャーのマウンドを夢見てきた。1年前のオフはポスティング・システム(入札制度)によるメジャー移籍をめぐって球団と衝突。昨年、契約更改の席上では08年に取得するFAまで、ポスティングによるメジャー移籍断念を宣言した。夢をあきらめたわけではない。今大会は米国戦も含めて3試合で2勝。世界の強豪を相手に通用することを、その投球で証明してみせた。
「中国戦の時にウイニングボールを王監督に渡したから、今度はね。最後かもしれないし、いい記念になります」
今大会を目標に年末から休みなくトレーニングを続けてきた。その成果を存分に発揮した。登板機会はなくてもまだ仕事は残っている。仲間を、勝利を信じて、声がかれるまで応援することだ。
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