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2006/03/10(金)
真央負けた2位 フィギュアスケート世界ジュニア選手権
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女子フリーを行い、ショートプログラム(SP)2位から逆転Vを狙った浅田真央(15)=グランプリ東海ク=は、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が1回転半となるなどジャンプの失敗が響き97・25点と得点が伸びず、合計153・35点で2位だった。2003年の太田由希奈(同大)、04年の安藤美姫(中京大中京高)、昨年の浅田と続いた日本勢の連覇は3でストップ。SP1位の金妍兒(キム・ヨナ、15)=韓国=が177・54点で初優勝し、シニアを含めて韓国初の世界女王となった。
直前の演技で完ぺきな演技を見せた金妍兒の幻影に、真央が押された。最初の見せ場だった大技のトリプルアクセルが1回転半に。中盤で立て直したが、後半の3回転フリップ―3回転ループ―2回転ループなども回転不足の失敗。「いつもより緊張したかもしれない。今季一番悪いデキ」。得意のジャンプでミスを連発。天真らんまんな笑顔は見られなかった。
今季前半はシニアのグランプリ(GP)2戦で2位と優勝。GPファイナルでは女王・スルツカヤ(ロシア)を抑えて世界一になった。追われる立場で臨んだジュニアの大会。負けるわけにはいかないプレッシャーが、天才少女に金縛りをかけたのか。「シニアの方が伸び伸びできた」と打ち明けた。
同じ15歳の金に24・19点もの大差をつけられたが、本来のプログラム通りにジャンプを決めれば、約25点が加算されていた。それがわずか3点止まり。ジャンプが決まらないと…。弱点が浮き彫りになった。「真央はジャンプだけ。失敗したら負けちゃうけど、向こうはスケーティングが上手で表現力があって滑りが優雅。ジャンプも高く軸がピーンとしている」素直にライバルの力を認めた。
12歳で3―3―3回転連続ジャンプを跳んだ。14歳でトリプルアクセルも成功した。怖いもの知らずで突っ走ってきた15歳が、初めて味わう屈辱。「誰でも通る道。これをいい試練にしたい」と山田満知子コーチ(64)。アルベールビル五輪銀メダルの伊藤みどり(36)にもスランプはあった。トリノ五輪金メダルの荒川も、16歳で出場した1998年長野五輪から8年かかっている。
「近ごろ悔しい思いをしたことがなかった。(金妍兒は)いいライバルだと思う。一緒にやっていくだろうし、お互い頑張ればいい」。バンクーバー五輪まで、あと4年。15歳同士のガチンコ勝負が、真央の進化を加速させる。
◆2人の今後 ともに1990年9月生まれの浅田真央(25日)と金妍兒(5日)は、来季(2006〜07年)から舞台をシニアに移して激突する。第1弾は全6戦中最大2戦にエントリーできるGPシリーズ。6月ごろには選手が発表される。もう一つは来年3月の世界選手権。舞台は東京で、激しい日韓バトルが見られそうだ。
◆“同級生”金圧勝!韓国初の栄冠
韓国のスーパー少女が、歴史を変えた。シニア、ジュニア問わず同国で初の世界女王に輝いた金は「ジャンプで少しミスがあったけど、高い得点が出てうれしい」。昨年2位の雪辱を見事に果たし、照れくさそうに笑みを浮かべた。
161センチの細みの体で優雅に舞った。演技直前の練習で3回転ループが不調とみると、本番では確実なダブルアクセルに。さらに予定していた3連続ジャンプの3つ目を跳び損ねると、その後のジャンプに付け加えて3連続にする機転も利かせ、自己最高点をマークした。
同国連盟が定める強化選手は日本の約40人に対し8人。リンク数は日本の約150か所に対し40か所と少ない。金は“大リーグボール養成ギプス”に似た強化ベルトを体に巻きつけてジャンプ練習に取り組み、一躍シンデレラガールとなった。来季からはシニアの世界で真央の前に立ちはだかる。
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