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2006/02/13(月)
ユーミンの父死去していた…悲しみ乗り越えライブ“完走”
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歌手松任谷由実(52)の父で、東京都八王子市の「荒井呉服店」の会長、荒井末男(あらい・すえお)さんが、2日に心肺腎不全のため同市内の病院で死去していたことが13日、分かった。93歳。毎冬恒例の新潟・苗場公演中に悲報を聞いたユーミンはステージ後に駆けつけ、無言の父と対面。思い出を胸に秘め、この日の最終公演まで休まずに歌い続けた。
通夜は5日、葬儀は6日に、いずれも自宅のある八王子市内で親族だけで執り行われた。公演中でみとることはできなかったユーミンだが、苗場から駆けつけ、手を合わせた。近所の人たちによると、1年ほど前に体調を崩してから、ユーミンは「たびたび実家を訪れていた」という。1月30日に開幕した苗場公演がスキー場でのパーティーであることを考慮し、観客には父の死は伏せた。13日の最終公演も悲しみをひとり胸に秘め、女王“Yuming”として明るく歌い続けた。
末男さんは1912年(明45)、現在の東京都あきる野市で生まれた。親しい人の話によると、織物関係の仕事をした後、呉服店を八王子に構え、市内屈指の大店(だな)に成長させた。温厚で明るく、話し上手。気さくでおちゃめな性格から、町の実力者であるだけでなく、人気者だった。
ユーミンが最初のアルバム「ひこうき雲」を発表した時には、地元の八日町商店街に「アーケードで流してほしい」と頼んで回った。新作CDが送られてくるたび「由実のCDが来た。再生してくれ」と隣家を訪れ、うれしそうに聴いていた。昨年6月には、八王子で行われた全国ツアー公演に訪れ、娘の生歌に酔いしれた。
八王子市議時代に末男さんと親交のあったタレントで会社社長の佐野美和さんは「お会いするたび“由実は昔から勉強ができた”“中央ハイウェイ(実際は中央フリーウェイ)はいい曲だ”と話されていた。“マーちゃん(夫の正隆氏)は本当にいい人なんだ、由実は幸せ者だ”ともおっしゃっていた」と話した。初めて会ったのは市議に立候補した時。つじ立ちの際「私は由実の父親だ!」と突然言われて驚いたという。「地域貢献にも尽くされ、商人のかがみのような方でした」と故人をしのんだ。
社葬は3月1日午後1時から、東京都八王子市上野町32の1、八王子市民会館=(電)0426(22)8251=で。葬儀委員長は樫崎彰男八王子商工会議所会頭。喪主は長男邦彦(くにひこ)氏。
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