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2006/10/24(火)
泉ピン子号泣…藤岡琢也さん、「渡鬼」一家に見送られ天国に
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20日に慢性腎不全のため亡くなった俳優、藤岡琢也さん(享年76)の葬儀・告別式が24日、東京・芝公園の増上寺光摂殿でしめやかに営まれた。TBS系の人気ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で、大家族の父、岡倉大吉役としてお茶の間に愛された藤岡さん。涙ながらに弔辞を読んだ二女、五月役の泉ピン子(59)ら万感の「渡鬼」ファミリーに囲まれて、天国に旅立った。
「お父さん、お疲れさまでした。安らかにお休みください」
「渡鬼」ファミリーを代表して弔辞を読んだピン子の声は震えていた。葬儀会場の最前列にはピン子のほか、長女役の長山藍子(65)、三女役の中田喜子(52)、四女役の野村真美(42)、五女役の藤田朋子(41)と“5人の娘”が勢ぞろい。寄り添い、抱き合うように祭壇に飾られた藤岡さんの遺影を見つめていた。
葬儀には芸能界関係者や親族ら約350人が参列。主要な出演者が50人を超える巨大ドラマだけあって、会場の前方は出演者で埋め尽くされた。まさに「ファミリー葬」だった。
ピン子は葬儀が始まる前、喪主の千鶴夫人に「藤岡さんが大好きだった花がいっぱい飾られていていい祭壇ですね」と声をかけ、2人で肩を抱きながら大粒の涙を流した。
弔辞は便箋(びんせん)3枚に下書きをしたためてあったが、思い出の数々が頭をよぎり、何度もアドリブがまじる。「お父さん」という言葉を使ったのは実に23回。「15年間で354回も続けてきて私たち娘は思い出がありすぎて、お別れをいうのがつらすぎる」。言葉に思いを込めた。
腰の手術のリハビリのため参列できなかった脚本家、橋田壽賀子さん(81)のメッセージも代読した。
式終了後も涙が止まらないピン子。「藤岡さんは第6シリーズ(平成14〜15年)ぐらいから、ひそかに病気と闘っていた。倒れてからは集中治療室に出たり入ったりしていたし、娘にそういうところ見せたくないだろうと思ったので、病室には行かなかった」と明かした。
持病の糖尿病や肺炎のため2月に入院。15年間演じ続けた大吉役を4月の第8シリーズから宇津井健(75)に譲った。その無念を察してか「できたら降板を知らないまま亡くなっていてほしい」。棺には降板が決まる前に収録された4、5シーンなど、藤岡さんの名前が記された台本が納められた。
出棺の見送りでは俳優、長門裕之(72)が「琢さん、お疲れさま!」と絶叫。親戚(しんせき)の少女らはいつまでも泣きやまず、誰からも愛された人柄がしのばれた。葬儀後の告別式にはファン約350人も駆けつけ、関係者と一緒に“日本のお父さん”の死を悼んだ。
映画、ドラマで昭和、平成を通じ名脇役として活躍した藤岡さん。多くのファミリーや友人に囲まれ、最後は“主役”として天国へと旅立った。
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