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2006/10/20(金)
藤岡琢也さん７６歳、腎不全で死去…厳しく優しい“日本のオヤジ”に幕
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ＴＢＳ系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の父親役で知られる俳優、藤岡琢也さんが２０日午後３時１８分、慢性腎不全のため東京・信濃町の慶応義塾大学病院で死去した。７６歳だった。大家族の父、岡倉大吉役を１５年にわたって好演。“日本のオヤジ”としてお茶の間を魅了し続けたが、新シリーズ開始を目前に控えた今年２月に肺炎で入院し降板。糖尿病のため、人工透析を受けるなど闘病生活が続いていた。
国民的人気ドラマで説教くさいが心優しいオヤジとしてお茶の間に親しまれた藤岡さんがこの世を去った。
藤岡さんは妻、千鶴さんと親しい知人に見送られ、病院で静かに息を引き取った。病魔との闘いのため、平成２年から演じ続けた大吉役を今年２月に降板したが、表情は最後まで安らかだった。
「渡鬼」の石井ふく子プロデューサーは１９日夜に容体悪化を知り、病室を訪問。「お父さん、私、来ましたよ」と声をかけると、藤岡さんは目を動かして返事をしたという。
遺体は２０日午後７時ごろ、東京・芝公園の増上寺に運び込まれた。最期に立ち会えず同所で“対面”した石井さんは「正義感は強いが愛嬌（あいきょう）のある方でした。何とかお元気になっていただけると思っていたので、残念です」と言葉を詰まらせた。
藤岡さんの演じた大吉は５人の娘を持つ“子だくさん”だったが、私生活では子供はなく、妻の千鶴さんとの２人暮らし。千鶴さんは「岡倉大吉として送り出してほしい」と石井さんに頼んだという。
この日は偶然にも「渡鬼」の撮影が行われていた。横浜市の緑山スタジオでは、今年４月の新シリーズ開始から大吉役を引き継いだ宇津井健（７４）、五女役の藤田朋子（４１）、従業員役の野村昭子（７９）、板前見習役の長谷川純（２０）が収録に参加した。
午後６時に撮影が終わり、悲報が伝わると、出演者とスタッフが黙祷（もくとう）をささげた。藤岡さんが１５年間守り続けた料理店「おかくら」のセットは、当時のままだった。
大吉の妻役で平成１１年に他界した山岡久乃さんと天国で“夫婦”再会とを果たすことになる。
一家の“大黒柱”だった大吉は、日本の父親像に大きな影響を与えた。藤岡さんは世を去っても、全身全霊で演じてきたオヤジの姿は、ずっと生き続けていく。
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