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2006/10/02(月)
第85回凱旋門賞、ディープインパクトは3着
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世界最高峰のG1「第85回凱旋門賞」(芝2400メートル、優勝賞金114万2800ユーロ=約1億7000万円、8頭)が1日、仏ロンシャン競馬場で行われ、武豊騎手(37)騎乗のディープインパクト(牡4歳=池江泰郎厩舎)は力を振り絞って奮闘したが、3着。日本最強馬をもってしても世界最高峰の壁は崩せなかった。
最後の直線に差し掛かかっても、まだ武豊騎手の手綱は動かない。「それいけ、インパクト!」。ロンシャンのマンモススタンドから日本語の絶叫がこだまする。だが、外から仏国の3歳牡馬レイルリンクが襲いかかった。さらに外から同国の6歳牝馬プライド。デビュー12戦目で初めて後続馬に差された。あと一歩及ばず3着。日本人の夢は散った。
武豊は馬上でがっくりと肩を落とした。「直線もハミを取らずに…。いつもなら直線で、もうひとつのギアがあるのに、それが出せなかった」。ショックの色は隠しきれなかった。「ディープインパクトでだめなら日本の競馬関係者ががっかりしてしまう」。事前に話していた言葉がまさか現実のものとなってしまうとは…。昨年まで、凱旋門賞84回の歴史は、そのまま欧州調教馬最強決定戦の歴史でもあった。門外不出の絶対的タイトル。そして今年も…。地元の意地はすさまじいものがあった。
レース前のパドックでは理想的な筋肉を身に付け、眼光鋭く堂々と周回する愛馬の姿があった。この馬が、このコンディションで敗れたのなら、仕方ない。無言でインパクトを見つめる池江泰郎調教師の表情はそう語っていた。
「勝った馬が強い。インパクトはよく走っている」。池江敏行助手は唇をかみしめていた。ポケットには厩舎の先輩馬メジロマックイーンの写真をしのばせていた。レース中、何度も握りしめ、声がかれるまで声援を送った。50日以上に及んだフランスでの生活。疲れがたまってレース1週前には39度の熱を出した。だが「ここで休んでいられるか」と気合を入れ、インパクトにまたがり続けた。
武豊も無念さを隠しきれない。94年ムーラン・ド・ロンシャン賞(スキーパラダイス)など、ロンシャンでいくつもの勝ち星を積み重ねてきた。高低差10メートルのきつい起伏も、フォルス・ストレート(にせの直線)も、すっかり手の内に入れていたはずだった。だが地元勢のマークは想像以上に厳しかった。優勝騎手パスキエもファロンもスミヨンも、道中、視線は常にインパクトに向いていた。プレッシャーはきつかった。欧州最強馬ハリケーンラン(4着)に先着したのがせめてもの意地だった。
夢は破れた。だが敗戦は馬も人も大きくする。世界の頂点へ、また出直しだ。
≪武豊に聞く≫
――レースを終えて感想を。
残念です。悔しいというか残念。
――先行する形になったが?
もしかしたら先手もあると思っていたので想定の範囲。内にいるのが嫌だったので、途中でいったん下げて外に出した。
――手応えよく直線を迎えたように見えたが…。
いい感じだったけど…。いつものような、もうひとつのギアが出なかった。伸びない…ウーンという感じ。きょうは力を出し切っていない。
――体調面は?
よかった。人馬ともにベストを尽くしたと自信を持って言える。
――日本のファンへひと言。
やり残したことができた。また挑戦したい。本当に残念です。
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