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2006/10/15(日)
533犠打川相、素晴らしきバント人生
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セ・リーグの06年シーズン終了直前、プロ野球を支えた人々が去った。バント職人の異名をとった中日の川相昌弘内野手(42)は、24年間の現役を引退する。 別れのあいさつはやはりバントだった。3回、無死から荒木が二塁打で出た。川相が打席に向かう。バットを横に倒しただけでスタンドからは大拍手だ。初球。内角高めの難しい球を三塁線へ転がした。 「バントがあったからここまでこれた。そういう役割を与えてくれた(巨人時代の)藤田監督(故人)、僕の前に塁に出てくれた人。みんなに感謝したい」。 自身の世界記録を更新する通算533個目の犠打。職人は大声援に右手を上げてこたえた。 試合後のセレモニー。家族から花束を受け取った川相は目を潤ませながらマイクを持った。「今年いっぱいで24年間の現役生活を終わることになりました。ジャイアンツで21年、ドラゴンズで3年。特にこの3年間は僕にとって本当に素晴らしい時間でした」。本拠地最終戦、4カ月ぶりに「2番サード」でスタメン出場。第1打席に左前打を放った。7回にはショートも守った。“最後の舞台”を用意してくれた周囲に感謝しながらプレーした。 12日阪神戦(甲子園)の前に落合監督から来季構想外の通達と、1軍守備コーチ就任要請を受けた。迷いはなかった。「3年前とは違う晴れやかな気持ちです」。03年は巨人で引退を表明しながら、監督交代によって撤回した。だが自由契約となって入団した新天地で完全燃焼できた。 ただ、川相は言った。「日本シリーズを有終の美にして、本当の引退としたいと思います」。落合監督はシリーズ40人枠に入れることを明言。まだ最後の仕事がある。だからこそ涙はこらえた。
■土橋ヒット!!山部K締め!!…ヤクルト一筋感激引退試合
あふれ出る涙を右手で隠しながら、土橋が宙を舞った。引退セレモニーのあいさつでは、何度も声を詰まらせた。「皆さまの応援に感謝しています。東京ヤクルトスワローズをこれからも応援してやって下さい」20年間の現役生活をヤクルト一筋にささげてきた男が、泣いていた。
自ら引退試合を彩った。4回、2死。内海の直球を中前に運んだ。4度、リーグを制覇した1990年代。“いぶし銀”と称された堅実なプレーでチームを支えた。1464試合に出場して打率2割6分6厘、79本塁打、427打点。「今、思い出すのは今年、代打で打てなくて苦しい思いをしたことばかり」戦い続けた男は来季、2軍打撃コーチとして後進の指導にあたる。
95年に16勝を挙げた山部は9回に登場。6月4日のオリックス戦(神宮)以来のマスクとなった古田兼任監督と黄金バッテリーを復活させ、代打・堀田から空振り三振を奪った。来季、2軍投手兼コンディショニングコーチに就任する左腕は「数々の素晴らしい経験を生かして、頑張っていきたい」とキッパリ。ファンの温かな声援に包まれながら、2人のベテランがユニホームを脱いだ。
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