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2006/01/05(木)
江藤が西武移籍 FA豊田の人的補償
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西武からFA宣言し、昨年11月に巨人入りした豊田清投手(34)に対する人的補償として、巨人・江藤智内野手(35)の西武移籍が5日、両球団から発表された。江藤は「気持ちの整理がつかない」と会見はしなかったが「巨人での6年間はいい思い出ばかり。少しでも長く野球をやりたいので、西武で一生懸命、頑張ります」と新天地での活躍を誓った。西武でも背番号は「33」で、DHか三塁での起用が有力となっている。
運命のいたずらだった。巨人の新守護神として期待される豊田が自主トレ先のグアムに飛び立ったその日に、交換要員となる人的補償が発表された。1999年オフにFAで広島から移籍、かつてはクリーンアップを任された右の大砲、江藤だった。
この日午後、都内のホテルで巨人の清武代表から西武行きを告げられた。「気持ちの整理がつかない」と会見には臨まなかったが、移籍を了承。その後、巨人の球団事務所に向かい、職員を前にあいさつした。「泣いちゃうかもしれない」と感極まったが「6年間いい思い出ばかりでした。少しでも長く野球をやりたいので、西武に行って頑張ります」と新天地での活躍を誓った。
新生・原巨人は清原、ローズらが抜けるなど、スリム化を図っている。ベテランの大砲がリストから外れるのも無理はなかった。清武代表は「戦力として期待していたが、ルールなので仕方がない。FAでの獲得はそれだけ痛みを伴う」と苦渋の決断だったことを明かした。
西武は当初、人ではなく、金銭による補償を検討していたが、伊東監督の強い希望で江藤獲得を決断した。昨年末の時点で2〜3人に候補を絞り、4日に伊東監督と黒岩代表が話し合い、最終的に江藤に決まった。この日、巨人側に打診して即日合意した。若手の中村が育っているが、フェルナンデスが楽天入りし、DHおよび三塁が不確定。新外国人のリーファーの実力も未知数のため、獲得に踏み切った。
巨人でのあいさつを終えた江藤は、西武・黒岩代表に電話をかけ「一生懸命、頑張ります」と決意を述べた。伊東監督は「右の大砲として期待している。まだ、老け込む年ではない。今、チームは若いので、彼の経験や功績は若手に対して良い刺激になるだろう。ただ、勝負の世界なので、その中で競争してポジションを取ってほしい」とエールを送った。DHか三塁で起用する方針で、入団発表は後日、行われる予定。
00年の巨人入団時にはミスターの背番号「33」を継承し、リーグ優勝決定試合では同点満塁弾を放つなど活躍したが、ここ数年は出番が減り、昨年は通算350本塁打にリーチをかけながら、81試合出場で打率1割7分2厘、本塁打ゼロに終わっていた。35歳のベテランは、新天地で再び燦々(さんさん)とした輝きを取り戻す。
◆江藤 智(えとう・あきら)1970年4月15日、東京都生まれ。35歳。東京・関東高(現聖徳学園高)から89年ドラフト5位で広島に入団。99年に巨人へFA移籍。95年には本塁打、打点の2冠を獲得。家族は友紀夫人と1男1女。182センチ、95キロ、右投右打。 ◆人的補償 FA選手と契約した球団が、選手の在籍した旧球団へ選手と金銭を補償するルール。野球協約で定められている。旧球団は契約球団の支配下選手のうち、プロテクトされた28人と外国人を除いた選手名簿から1人を獲得できる。さらに、契約球団はFA選手が最初の権利行使なら前年俸の80%、2度目以降の行使なら40%を旧球団に支払わなくてはならない。
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