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2005/08/20(土)
駒大苫小牧 57年ぶり夏連覇
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深紅の大優勝旗は再び北の大地へ。第87回全国高校野球選手権大会最終日(20日・甲子園)は満員の5万人の観衆を集めて決勝を行い、昨夏優勝の駒大苫小牧(南北海道)が京都外大西(京都)に勝ち、1947、48年(第29、30回)の小倉(福岡)以来57年ぶり、史上6校目の夏連覇を達成した。 粘り強い野球で初めて決勝へ進んだ京都外大西は、56年の平安以来49年ぶりの京都勢優勝はならなかった。 抜けるような青い空に向け、マウンドに集まった駒大苫小牧ナインは人さし指を突き上げた。昨夏にも見たこの光景。おれたちが1番だ―。「みんな、最高だー」。インタビューに立った林裕也主将の絶叫が、甲子園にこだました。 夏、連覇。57年ぶりの偉業は、1県1校制になって初の快挙だ。昨年に続いて胴上げの歓喜を味わった香田監督は「辛かったり、苦しかったり、いろんな葛藤(かっとう)があった。選手があきらめず頑張ってくれた」とナインをたたえた。 「全員で優勝旗を返しに行く。夏2連覇を目指す」。掲げた大目標への道のりは、平たんではなかった。想像を超えるプレッシャーがのしかかる。選抜はあわやノーヒットノーランという屈辱を味わい、2回戦敗退。春季北海道大会は、初戦で敗れた。林は「何をやったらいいか分からなくなった」と振り返った。見失いかけた目標を口に出す者はいなくなった。 「5、6月と、夏に向けての練習試合で思うようにいかなかった。夏が近づけば近づくほどダメだと思った」と香田監督は明かした。「お前らは必要ない」と松橋、吉岡の2投手をベンチから外した。地方大会間近、チームはどん底だった。 「去年とは違う。自分たちは弱い」。林を中心に、3年生だけのミーティングを繰り返し、「勝っても負けても、素晴らしい結果と言えるようにしよう」と話し合った。そのためには地道に練習に取り組むしかない。林が野手陣を、ベンチから外された松橋と吉岡が投手陣をまとめた。全員で自分たちの野球を、追い求めた。 全員がヒーローだった。主将として1番打者として、林は5試合すべてで2得点を記録。闘志を全面に出し、引っ張った。2回戦で松橋が完封。最大の関門だった大阪桐蔭を吉岡が抑えた。 そして、参加4137校の頂点に立った。「『日本一の夏にしよう』がスローガン。だれが見ても僕たちが日本一」。林の声が、誇らしげだった。
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