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2005/05/19(木)
巨人工藤完投13K、最強のおじさん42歳!
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おじさんが頑張った。今月5日に42歳になった巨人工藤公康投手が強打のソフトバンク打線から13三振を奪って完投勝ちした。42歳以上での完投は50年の若林忠志(毎日)以来、55年ぶりのすご〜い記録となった。セ・リーグの最年長記録を更新。40歳過ぎての13奪三振は史上初の快挙だ。最後は1点差に迫られ、フラフラになりながら、137球を投げ抜いた。本当にお疲れ様でした。ゆっくり休んでください。 まるで優勝の瞬間のようだった。バンザイ、そして工藤は声を出して豪快に笑った。9回裏、1点差まで迫られ、なおも2死一塁。1発出ればサヨナラ負けのピンチだったが、宮地を一飛に抑え、試合終了。最終回に2点を取られても、堀内監督は「動けなかった。腰が抜けたのかと思った(笑い)」と最後まで任せてくれた。その期待に見事に応え、捕手村田の手と頭を笑顔でたたいた。 圧巻の滑り出しだった。初回に3者連続三振を奪うと、2回にも2つ、3回にまた3者連続の三振ショーだ。さすがにペースは失速したが、9回で13奪三振。23歳のときにマークした自己最多の1試合15奪三振まで“あと2歩”だったが「ムリ! でもうれしい」と喜んだ。自身が持っていた40代の1試合奪三振記録「12」を自分で塗り替えた。42歳の完投勝利は55年ぶり、セ・リーグ史上初の快挙だ。 かつて5年間守り続けた福岡ドームのマウンドが、自分らしさを思い出させてくれた。「フォームで悩んでいたことがあったけど、ここに上ったら昔のフォームを思い出した」。最近、下半身の使い方に疑問を感じていたというが「(軸足に力を)ためるときに1テンポ置くことを思い出せた」という。躍動感を取り戻し、快投につなげた。 ベテランらしい駆け引きもフル回転させた。カーブで三振を奪った、2回のズレータの打席だ。2−1と追い込むと、村田のサインに3度首を振り、1度プレートを外した後も、また4度首を振った。サインが合わなかったわけではない。「2、3打席目のことも考えて、わざとね」と工藤。事前の情報分析で、相手の外国人3人が緩急に弱いことを知った。そこで首を多く振って惑わせ、さらに苦手とするカーブを第1打席から多投。3人から計5三振を奪い作戦は成功した。 してやられたソフトバンク王監督は脱帽した。「投手の神髄みたいな投球だった。自由自在という感じ。そういう域までいけるのだから、うちの投手も目指してほしい。そう受け止められるのが、交流戦のいいところ」。かつてバッテリーを組み師弟関係にある城島も「あのオヤジは本当にすごい。完投するのだから大したもの」と3打数無安打に押さえられた悔しさを忘れ、絶賛するしかなかった。 これで5位広島に0・5ゲーム差まで迫った。堀内監督も「明日は監督賞を出さないとだめでしょうね」とおじさんパワーをたたえた。「球筋を知られているから」と心配していた交流戦でこれで3連勝と、工藤の勢いは止まらない。「またやっちゃったよ。うれしいねえ」と笑う42歳に帰り際、多くのファンが「ありがとう! 」と声を掛けた。
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